ヨタカ(夜鷹)の生態と特徴。生息地や鳴き声、食性などについて
ヨタカは忍者のように森に隠れる夜行性の鳥です。
宮沢賢治の童話で有名な鳥ですが、最近はユニークな姿のタチヨタカが一部ネット界隈で人気を博しています。
ヨタカはどのような鳥なのでしょうか。
ヨタカの生態と特徴
生息地
世界の分布
ユーラシア大陸の温帯~亜熱帯に広く分布し、フィリピン、インドネシア、日本などにも生息します。
渡り鳥で、夏は日本やロシア、ブータン、ミャンマー、ネパール、朝鮮半島など寒冷な地域で繁殖し、冬はフィリピンやブルネイ、インド、インドネシア、スリランカなどで越冬します。
南アジアに分布するヨタカは、一年中ほぼ同じ場所で暮らしています。
日本では
日本では夏鳥で、九州から北で繁殖を行います。伊豆諸島などでは旅鳥で、浜辺などで集団で休んでいる姿を見かけることも。京都には4月下旬ごろから渡来します。
6月に地面に直接2つの卵を産み、雌が温めます。約19日ほどで孵化し、雌雄で子育てを行います。
通常ヒナはとてもうるさく鳴いてエサをねだりますが、ヨタカのヒナは静かでほとんど鳴きません。親のクチバシを引っ張ってエサをねだります。
親は喉に虫をたくさん貯めて、ヒナに与えます。
体の特徴
ヨタカ科ヨーロッパヨタカ亜科ヨタカ属の鳥です。漢字では「夜鷹」と書きますが、ワシタカ類とは全く異なる鳥です。
非常にユニークな姿をした鳥で、口は耳元まで裂け、全身はアブラゼミのような細かい茶色と白の複雑なまだら斑です。
この模様が保護色になり、うずくまっていると森に紛れて見分けが付きません。
口は大きいですがくちばしは小さく、顔には猫のようなヒゲが何本も伸びています。
目は大きく、夜の空でも活動できます。
翼はツバメのように曲がり、自由自在に飛行することができます。足もツバメと同じで、短く、よちよち歩くのが精いっぱい。掴む力は強いため、木の枝に水平に停まることができます。
くちばしの先からしっぽの先まで29cmもある、比較的大きな鳥です。
鳴き声
鳴き声は「キョキョキョキョ、キョキョキョキョ・・・」と鳴きます。姿は見たことがなくても、鳴き声は聞いたことがあるかもしれません。
擬態
夜行性で、昼間は枝に水平に留まってうずくまっています。その姿は木のコブにそっくり。
ヨタカは森や草原に紛れ、巧みに身を隠して生活しています。天敵が多いはずの地面に卵を産むのも、完全に落ち葉にとけ込んで擬態できるためです。
深い森よりも、開けた明るい林や森の縁、伐採地などを好みます。
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食性および餌
昆虫を主に補食します。
口を大きく開けながら虫を直接口に取り込んで食べます。
生態はツバメに似ていますが、夜は飛ぶ昆虫の数が増えるため、大きく口を開けて飛び回るだけで十分なエサが確保できます。
ヨタカの口元に生えたヒゲは、虫を感知する働きがあると言われています。
天敵
地面で営巣するため、猫や野犬、イタチ、蛇など地上の肉食獣が天敵になります。
敵が近づくと、翼を精一杯広げて威嚇します。
渡りの途中で、ハヤブサなどに補食されることも。
エピソード
準絶滅危惧種
夜行性のため、普段は姿を見ることはあまりありませんが、里山などでは鳴き声を聞くことができます。
しかし近年、ヨタカの数が減っています。山口県では50%も減少し、かつては当たり前のように見かけた京都でも珍しい鳥になってしまいました。そのため、現在は準絶滅危惧種に指定されています。
なぜヨタカはここまで数が減ってしまったのでしょうか。
最大の原因は越冬地の東南アジアで大規模な開拓が行われ、生活できなくなったためではないかと言われています。
日本でもノネコの増加などが原因で数を減らしていると言われ、ヨタカが住む森の環境保全は喫緊の課題です。
経済成長と環境保護の両立は非常に難しい問題ですが、多くの生物を守るためにも東南アジアのジャングルの保護が欠かせません。
キモカワイイと評判
宮沢賢治の童話「よだかの星」では、醜い鳥だと迫害されています。
しかし、実際のヨタカは丸みを帯びた姿と小さなくちばし、大きな瞳で愛嬌のある姿をしています。何となく気味が悪い印象もありますが、ネット界隈では「キモカワイイ」と人気が上がる兆しが見えます。
アメリカでもヨタカは「Nighthawk」(夜鷹)と呼び、「夜に悪事を働く者」「夜更かしをする人」という隠喩があります。
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