動物JP

日本に生息する動物を中心にお馴染みのペットなどを紹介

野鳥

ヤンバルクイナの生態や保護活動について。鳴き声や体の特徴

yanbarukuina

ヤンバルクイナは20世紀も終盤にさしかかる1981年、沖縄で発見された新種の鳥です。
さんざん調べ尽くしたと考えられていたこの国で、しかも鳥類が20世紀に発見されるというのは大きなニュースになりました。
現在でもヤンバルクイナの知名度は大きく、沖縄の森の象徴として大切に保護されています。

SPONSORED LINK

ヤンバルクイナの生態と特徴

生息地

沖縄島北部の大宜味村、国頭村、東村の森林に暮らす日本固有種です。
この地域は「山原(やんばる)」と呼ばれているため、この名が付きました。
平地から標高500メートルまでのジャングルで暮らし、発達した足で素早く駆けながら暮らしています。

ヤンバルクイナが長年発見されなかったのは、人があまり立ち入れない森の中でひっそり暮らしていたからです。飛ぶことがほとんどなく、素早く駆け回るため、なかなか人の目に留まることがなかったと考えられます。

特徴

飛ばない鳥

ツル目クイナ科の留鳥です。
日本で唯一の「飛ばない鳥」であり、20世紀に発見された新種でもあり、非常に特徴のある鳥です。
絶滅危惧IA種の希少な鳥で、天然記念物に指定されています。生息環境は悪化の一途を辿っていますが、保護活動などにも力を入れています。
空はほとんど飛ばず、その代わりに脚力が発達しました。素早い足で森を駆け抜け、天敵から身を守ります。
非常に慎重な鳥で、なかなか人前に姿を表しません。

体の特徴

yanbarukuina2

くちばしの先からしっぽの先まで35cm、翼を広げると48~50cmくらいです。
体のわりに翼が短いですが、ヤンバルクイナはほとんど空を飛ばないため退化したと考えられます。翼を動かす筋肉も退化し、滑空するのが精一杯といわれています。
広げた翼は丸っこく、飛翔能力がほとんどないのが分かります。

くちばしと足、瞳は赤く、真っ黒の顔に頬には白い線が走っています。
お腹は白黒のまだら模様で、背中は黒みのある褐色です。
この色合いは森の保護色になり、野生環境ではなかなか見つけることができません。

飛ぶ必要がないヤンバルクイナは、体重の制限が軽減されました。そのため体重は340~430gと比較的重め。
足が非常によく発達し、目にも留まらぬ早さで駆けることができます。

鳴き声

なわばりを持ち、互いに干渉しないように暮らしています。普段は大人しい鳥ですが、夕方になるとつがいで大きな声で鳴き交わします。鳴き声は大きく、周囲になわばりをアピールする効果があります。

敵から教われないための行動

ハブなどに襲われないために、夜は鶏のように木の上に上がって眠る習性があります。活動している間は陰に隠れてほとんど観察できませんが、眠る姿は比較的見つけやすいと言われています。

つがい~産卵、ヒナの特徴や注意点

一度つがいになると、どちらかが死ぬまで関係を続けます。
5月ごろに地上で産卵し、枯れ葉を集めた巣に4~5個の卵を産みます。雛は全身真っ黒で、親よりもさらに目立たない姿をしています。
この時期、ヤンバルクイナは雛に餌を与えるために行動範囲が広がります。道路に飛び出し、自動車事故が増えるのも、この時期です。

SPONSORED LINK

食性および餌について

雑食性で、地面の中や地表に近い場所でエサを探します。
太く、程良い長さのくちばしは、土の中の虫やかたつむりを捕まえるのに最適です。

鋭い爪が生えた足で地面をひっかき、エサを捕まえることも。

水に飛び込んで小さなカニやエビ、カエルなど両生類などを捕まえることが知られています。

ヤンバルクイナは漢字で「山原水鶏」と書きますが、これはクイナ類が水辺で暮らすため。
種子などの植物性のエサも好物です。

天敵

おもに蛇や哺乳類、鳥類

伝統的には蛇類、特にハブなど猛毒のが天敵です。
近年、ヤンバルクイナに新たな天敵が現れました。ハブ駆除が目的で放たれたマングースです。

深刻なハブ被害をくい止めるために始めたマングースですが、肝心のハブはあまり食べずに希少種のヤンバルクイナを襲うという状況になっています。

そのため沖縄県と環境省でマングースの駆除を行っていますが、沖縄の環境に馴染んだマングースを駆逐するのは難しく、完全駆除のめどは立っていません。

マングースの北上を食い止めるために、沖縄島を東西に繋がる長いフェンスを作り、可能な限り侵入を防いでいます。
他にもノネコ、野犬、ハシブトガラスなども天敵です。

1番の天敵は人間

人間の開発事業も大きな天敵で、道が敷かれ、ダムなどの造営で生息域が分断されたのも生息数の減少に繋がったと考えられます。
ヤンバルクイナは発見時には1800羽と推測されていますが、2005年には717羽まで減少しました。保護活動のために徐々に数は戻り、2014年には1500羽ほどに回復しています。まだ安心できる数には達していませんが、懸命の保護活動で最悪の状況は脱したと考えられます。

2016年に、やんばる地方と沿岸部は「やんばる国立公園」に指定され、厳重な保護活動が行えるようになりました。
沖縄は開発できる場所が限られているため、自然破壊が起こりやすい地域です。日本でも有数の亜熱帯樹林が広がる森を保護する、国立公園の指定はヤンバルクイナ保護の大きな後押しになると考えられます。

注意点

ヤンバルクイナを見たい、と思っても、自然環境で見ることは難しい鳥です。
ヤンバルクイナ生態展示学習施設に飼育したヤンバルクイナがいるので、手軽に見たいならこちらがお勧めです。

やんばる地方は車移動が基本ですが、ヤンバルクイナを牽く事故が後を絶ちません。安全運転を第一に心がけましょう。
時々、ひなが道路の溝に落ちていることがあります。もし見かけたらすぐに溝から出して逃がしてあげましょう。親は近所にいるので、すぐに迎えに来ます。

エピソード

発見~減少、保護活動

地元では以前から知られた存在で「アガチー」(せっかち者)、ヤマドゥイ(山鳥)シジャドウイと呼ばれていました。しかし、本格的な調査が行われたのは1978年からです。
山階鳥類研究所の職員が78年に世那覇岳で発見し、81年に結成した特別調査チームが幼鳥、成鳥を捕獲し、新種と判定されました。
この捕獲した鳥は標識を付けて離し、標本は現地の人から提供された死骸から作成されました。

発見後、森の開発や天敵の増加などで、ヤンバルクイナは減少の一途を辿りました。しかし、一方で保護活動も盛んになり、1999年には「やんばる野生生物保護センター」が設立されます。
環境省も2004年から「ヤンバルクイナ保護増殖事業計画」を制定し、沖縄各地で人工飼育や孵化に成功しています。
やんばる国立公園の制定で、さらに包括的な保護活動が可能になりました。非常に厳しい環境ですが、保護環境の土壌は徐々に整いつつあります。

沖縄を代表する鳥に

ヤンバルクイナの発見で、無名だった生息地は大きく注目されるようになりました。
沖縄を代表する鳥と認知され、非公式ながら県鳥に近い扱いをされています。ぬいぐるみなど、グッズも観光客に人気です。
当時はまだ「ヤンバル」という地名は一般的でなかったのですが、自然保護には地元住民の協力が欠かせないという理由で敢えてこの名を付けました。

ヤンバルクイナ生態展示学習施設

地元ではヤンバルクイナが観光資源で、沖縄島最北端の国頭村ではキョンキョンと名付けられたヤンバルクイナを飼育展示する「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」や、定点カメラ映像が視れる「ヤンバルクイナ観察小屋」があります。
キョンキョンは人工飼育のため人間を恐れず、人を見かけるとガラス越しに寄ってくることも。野鳥ではありませんが、貴重な姿を楽しめます。
同村の辺戸岬には、ヤンバルクイナの姿を模した巨大な展望台があります。

SPONSORED LINK

-野鳥

合わせて読みたい記事