ヴェロキラプトルは進化の謎を解明する鍵?
2016/09/30
- 食性:肉食
- 体長:約1.8m
- 出現時期:白亜紀後期
- 発見場所:モンゴル、中国、アメリカ?
- 分類:獣脚類(けもの竜) デイノニコサウルス類 ドロマエオサウルス科
白亜紀の後期に繁栄した小型の肉食恐竜であり、アジアで発見された獣脚類の代表的な恐竜です。
特徴
白亜紀の後期に繁栄した小型の肉食恐竜であり、アジアで発見された獣脚類の代表的な恐竜です。
体長は2m以下で、身体の部分だけなら中型犬ほどのサイズですが、その凶暴さと頭の良さは、他の恐竜にとって脅威の存在だったと考えられています。
”集団で狩りを行い”、発達した後ろ足の大きな鉤爪で、”相手の皮膚を切り裂いていた”と考えられています。
ヴェロキラプトルとは「素早い泥棒」という意味で、”大型の肉食恐竜によって命を絶たれた草食恐竜の死肉をあさり、横取りするかのように餌にありついていたことが名前の由来です”。
…と、どこかで見たことがあるような書き出しですが、ここで訂正を入れなければなりません。” ”で囲まれている所は、「何の証拠も化石も発見されていない」、もしくは「間違った情報」であるためヴェロキラプトルの説明としては不十分です。
似たような生態を持つと考えられた同じ科のデイノニクスの化石が、草食恐竜の化石の近くで複数見つかったことから、集団で獲物を襲っていたという説が提唱されました。
しかしこれは、よく考えれば矛盾した答えでした。
なぜなら、もし集団で狩りをして一匹の草食獣を仕留めたなら、なぜ複数の肉食恐竜がその場で命を落としたのか。
草食恐竜がむちゃくちゃ強かった?
もしそうなら襲うのを諦めたはずです。普段から群れをつくっていたなら、一箇所で数体の化石が同時に発見される必要がありますが、そのような化石は見つかっていません。
それどころか、ヴェロキラプトルが単体でプロトケラトプスと戦っている状態の化石が見つかっています。
これも吹き寄せでたまたま2つの化石が絡まっただけとの見解もありますが、何もないよりかは信ぴょう性があります。
また大きな鉤爪は、可動域も広く武器に使用したことは間違いないかもしれませんが、爪の内側には相手を切り裂くような構造はなく、急所を突き刺すように使用していたとの考えが一般的。
時速50km以上のスピードで走ることもできたと言われているので、素早いことは間違いないのですが、「泥棒」ではありません。
ハイエナのようなイメージがあるかもしれませんが、それを証明する化石は一切ありません。
他の恐竜の名前で~~ラプトルと名付けられたものの仲間であると判断されたことから、その名がついたようです(ちなみにその恐竜も泥棒ではなかったらしい)。
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このように、ヴェロキラプトルのイメージや情報は、間違っていたり曖昧な点が多いです(某恐竜映画でもよく指摘されています)。
その理由の一つになるかは分かりませんが、発見された後しばらくの間、この恐竜についての詳しい研究は進まなかったそうです。それまで発見された恐竜より少し体長が大きいだけだと見限られていましたが、実はその後に、大変重要な恐竜の化石であることが判明しました。
それは何故か?
ヴェロキラプトルは身体に羽毛を持つ恐竜だったことが、最近の研究で明らかになったからです。
羽毛を持つ恐竜とはすなわち、鳥類と恐竜の間の存在。あの有名な始祖鳥と同じ、ミッシングリンク(中間化石)になり得る可能性があったのです。
近年では、ティラノサウルスなどの獣脚類にも羽毛があったとの説が有力ですが、このヴェロキラプトルの場合、前脚の骨の形状から羽毛があったことはほぼ確実なので、これから研究がさらにすすめば、恐竜などの爬虫類から鳥類への進化の秘密が明らかになるかもしれません。
彼らを代表して言います。
学術的に重要なことも知られず、未だ間違ったイメージを持った人も多いので、ヴェロキラプトルをこれを機に見なおして欲しいです。
そしてまた皆様のお力で、新しい発見がなされるよう誠心誠意身を捧げる所存です。最後になりましたが、これからも応援して頂けるよう心よりお願い申し上げます。(って選挙演説か!)
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