準絶滅危惧種、トノサマガエルの生態。分布や餌、飼育方法
2016/10/04
カエルといえばアマガエルに食用カエルことウシガエル、そして「ガマの油」などで知られるヒキガエルがよく知られています。
しかし、そもそも日本にはカエルの「お殿さま」がいます。西洋で言うところの「King」であるにもかかわらず、このトノサマガエル、最近でははめっきり数を減らしてしまったためか、残念なことに影が薄くなりがちのようです。
トノサマガエルの生態と特徴について
分布および生息地
トノサマガエルは日本国内では関東平野から仙台平野を除く本州、四国、九州に分布しています。北海道の一部からも分布が報告されていますが、これは教材用に持ち込まれたものが逃げ出したためといわれています。
北海道でも生息することができるように比較的寒さに強いようで、日本国外ではロシア沿海州、朝鮮半島、中国にも分布しています。平野部から標高の低い山の池、水田近くに生息し、春から秋には活発に活動しますが、冬には土中で冬眠します。
体の特徴
トノサマガエルの背中はいぼが特徴的なヒキガエルのようにぼこぼこしておらず、アマガエルのように滑らかでつるりとしています。
体色は、オスでは背面が茶褐色から緑色、メスでは灰白色と雌雄で差があります。
背中線上にはっきりとした白または黄色の線と黒い斑紋があり、斑紋同士がつながっていることが多いとされています。
普段からきれいな模様を持っているトノサマガエルですが、繁殖期のオスでは斑紋が不明瞭になり、全体的に黄色がかり、一層色鮮やかになります。
食性・餌
トノサマガエルは肉食性で、主に昆虫やクモを食べています。
口に入るならば何でも食べてしまう食いしん坊で、時には小さなヘビやカエルも食べてしまいます。
殿さまではあるものの、生き延びるためにはお上品ではいられない、といったところでしょうか。トノサマガエルは縄張り意識が強いことでも有名で、ときには争いの末に共食いが起こることもあります。
天敵
なかなかに強いトノサマガエルですが、もちろん天敵もいます。
大型に育つヘビやカメにとっては格好の餌となりますし、サギのような水鳥、モズのような肉食性の鳥にも捕食されてしまいます。
カエル界では間違いなく強者の部類に入る殿様ですが、自然界ではそううまくもいかないようです。
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飼育について
捕獲方法
トノサマガエルは俊敏な動きに定評があり、特にジャンプ力に優れています。そのため、道具なしで捕まえるのは非常に困難です。
網を使うほか、タコ糸にソーセージなどを結びつけたわなを設置し、食べるのに夢中になっている間に掬い取る待ち伏せ採集も効果的といわれています。
飼い方
水槽内の環境
トノサマガエルを飼育する場合、45センチ程度のプラケースを用意すれば十分です。
ただし縄張りにこだわる性格のため、過密飼育は厳禁です、最悪共食いの原因ともなるので気をつけましょう。
ヒーターなどは特に必要ありませんが、ジャンプ力が強いのでフタは必須です。プラスチック製のものよりも、金網のような通気性のよいもののほうがお勧めです。
ケースの底には黒土を敷き、水環境と陸環境を作ってあげます。特に陸環境は、乾燥してきたときに霧吹きで湿らせてあげなければなりません。
陸環境には雑草などを植えてあげると見栄えもよくなり、隠れ家もできるためおすすめです。ケース全体に土を敷き、小型容器に水を張って水環境を作ってもよいですし、ケース全体に水を入れ、容器に土を持って縞を作り陸環境としてもかまいません。
餌
餌はコオロギ、ワラジムシ、芋虫などを与えるとよいでしょう。ただし飼育環境は多湿のため、食べ残しはすぐに腐りにおいを放ちますので注意しましょう。
できればそっとしてください
トノサマガエルは現在、環境省のレッドデータブックにおいて「準絶滅危惧種」に選ばれています。年々数は減っていく一方ですので、運よく見かけたとしても捕まえるのではなく観察してそっと見守るのがやさしさかもしれません。
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