タマムシの生態!生息地や採集、餌や飼育方法などについて
2016/09/30
タマムシはコウチュウ目・タマムシ科の昆虫です。
特殊な光沢を持つ虫であるタマムシはたくさんの人々を魅了し続けています。
海外でも英名にはJewelBeetleと名付けられており、タマムシは世界中で宝石のイメージを抱かれている様です。
生態
生息地
タマムシの生息地、見られる時期は次の様になっています。
- 地域:本州、四国、九州、南西諸島
- 場所:枯れ木周辺、林
- 時期:6月~8月
特に見られる時期は6月~8月となっており、初夏から夏にかけて見る事が出来ます。タマムシは本州から南は南西諸島までに生息しています。
あまり長い期間出没しない昆虫ですので、うっかり時期を逃すと来年まで会えません。
しかも出没する個体数も年々減少していたりと、時期に探索しても見付けられない事もしばしば。
タマムシを漢字表記にすると吉丁虫となります。
幸運の虫という意味になりますので、もしタマムシに会えたらラッキーと言えるでしょう。
特徴
タマムシには次の特徴があります。
- 体色は2本の赤帯がある緑地光沢(成虫)
- 体長は35mm程度(成虫)
- 緑地光沢に2本の赤い帯がある
- 表面には小さな凹凸がある
- 垂直に飛行する
- 死んだふりが出来る
- 日中活発に活動する
- 翅の下は焦げ茶色をしている
- 腹部は明るい銅色をしている
表面を詳しく観察すると小さな凸凹があり、複雑な構造色の元となっています。タマムシの背には2本の赤い帯がタテに通っており、それらが体色のコントラストを引き立てています。
そしてタマムシは体をほぼ垂直にする特殊な飛び方をします。
翅に対して体が重いので自然とこうなってしまうのです。
しかし垂直に飛ぶと木に掴まりやすくなるため、木に産卵するタマムシには却ってこの飛び方が都合が良いのかもしれません。
また美しいのみならず、天敵から身を守るために死んだふりも出来ます。
美しく演技も出来るタマムシは昆虫界の俳優かもしれません。
最後にタマムシは太陽が出ている日中に活動します。
体色の光沢は太陽光を反射させ、天敵である鳥類の目を眩ます働きがあると言われています。
餌
タマムシは主にサクラ・ケヤキ・エノキ等の葉っぱをエサにしています。
幼虫においてはこれらの枯れて柔らかくなった樹皮等でお腹を満たします。
ですから成虫も幼虫も生涯サクラ・ケヤキ・エノキ等の周辺で過ごしながら生きているのです。
天敵
タマムシの天敵は昆虫類、爬虫類、鳥類になります。
しかしタマムシの最大の天敵は人間ではないでしょうか。
タマムシと言えば飛鳥時代に造られた仏具である玉虫厨子です。
きらびやかなタマムシの翅は装飾具として遥か古来から用いられてきたのです。
こうして約1200年以上前から昆虫類、爬虫類、鳥類、人間に狙われ続けているタマムシでした。
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飼い方
飼育方法
タマムシを次の飼育方法で飼育してみましょう。
飼育に必要な道具
- 水槽
- サクラ、ケヤキ等の葉っぱと木
- 土
- 水入れ
- 霧吹き
飼育環境
まず水槽に10センチ程度土を敷き詰めてあげます。
それからエサとなる葉っぱや木を置きましょう。
幼虫を育てるならば産卵出来る様に枯れた木を選びます。
これでタマムシの住まいの完成です。
定期的に霧吹きで乾燥しない様に湿らせましょう。
サクラ・ケヤキ等のエサを公園から拝借する人もいますが注意が必要です。
実の所、こうした場所では木々が農薬や殺虫剤処理されている事が多いからです。
ですから身近な場所からエサを調達するよりも、ペットショップから購入した方が良いかもしれません。
採集方法
タマムシを次の採集方法で捕獲してみましょう。
使用する道具:網
天気の良い日中、サクラ・ケヤキ等の木を見張ってタマムシを待ちましょう。
タマムシは夜行性ではありませんから、日が傾いてきたら見付かりにくくなります。
発見したら優しく網で包む様に捕獲してください。
エピソード
タマムシにまつわるエピソードを紹介しましょう。
洋服が欲しい人はタマムシをタンスに入れるべし
幸せにまつわる虫として知られており、縁起の良い言い伝えが数多く残っています。
中でも一番有名な言い伝えは"タマムシをタンスに入れておくと着物が増える"ではないでしょうか。
昔の人はタマムシの翅をタンスに忍ばせて、衣装が増える様に願ったものでした。
しかし昨今ではクローゼットの増加が顕著であり、いつしかタマムシとタンスの言い伝えは聞かれなくなってしまうかもしれません。
輝きが宝石の如く色褪せない
またタマムシの翅を用いた仏具に国宝の玉虫厨子(たまむしのずし)があります。
奈良県にある法隆寺の大宝蔵院に安置されており、飛鳥文化の影響を受けた貴重な文化財として後世へと引き継がれています。
不思議な事にタマムシの翅は死後でも色褪せる事なく、輝き続ける性質を持っています。
しかし玉虫厨子に用いられたとされるタマムシの翅は残念ながら抜け落ちており、僅かながらの残骸しか見られません。
奈良県への観光の際には一度法隆寺へ足を運んでみてはいかがでしょうか?
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