シロアリの種類と生態。駆除・対策について、予防するには?
2016/10/20
シロアリはゴキブリ目・シロアリ科の昆虫です。
実はシロアリは黒光りした気持ち悪い昆虫であるゴキブリの仲間なのです。
シロアリはゴキブリの仲間だという事実を知らない人が多いので、一度話のタネに使ってみてはいかがでしょうか?
生態
生息地
シロアリ(ヤマトシロアリ)の生息地、見られる時期は次の様になっています。
地域:北海道、本州、四国、九州、南西諸島
場所:朽ち木、古民家
時期:4月~7月
- ヤマトシロアリ …ミゾガシラシロアリ科(全国)
- イエシロアリ …ミゾガシラシロアリ科(関東以西)
- ダイコクシロアリ…レイビロシロアリ科 (南西諸島)
日本で見られるシロアリをおおまかに分類すると、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、ダイコクシロアリの3種類となります。
主に北から南へ広く全国的に生息しているのがヤマトシロアリ、本州の関東から四国・九州・沖縄方面に生息しているのがイエシロアリです。
ヤマトシロアリとイエシロアリはどちらもシロアリ目・ミゾガシラシロアリ科に属しています。
またダイコクシロアリに関してはレイビロシロアリ科に属しており、南西諸島など生息地が南方と限定的です。
ですから本州の家屋で猛威を振るっているシロアリは、ヤマトシロアリかイエシロアリの2種と考えられます。
シロアリの活動時期は気温が暖かくなった4月頃から湿度が高くなる7月頃までです。
シロアリの好む気温は約25度から約28度で、それ以上に気温が高くなると活動が鈍くなります。
ですから30度を超える猛暑日が続く8月は活動があまり活発ではありません。
それからシロアリは『冬眠をしない昆虫』ですから、ほぼ一年中生きています。
湿度が低下する時期には活動を抑えてエネルギーを蓄積し、日々活動しやすい時期を待っているのです。
ですからシロアリがいなくなったと喜ぶことはできないのです。
特徴
シロアリ(ヤマトシロアリ)には次の特徴があります。
体色
- 薄茶混じりの乳白色(成虫働きアリ)
- 円筒形の頭部が褐色、大アゴが黒色(成虫兵アリ)
- 黒色(成虫羽アリ)
- 褐色&乳白色(女王アリ)
- 褐色&乳白色(幼虫)
体長
- 5mm程度(成虫働きアリ、兵アリ)
- 8mm程度(成虫羽アリ)
- 15mm程度(女王シロアリ)
- 1mm程度(幼虫)
特徴
- 体色は乳白色、ただし種類や身分によって体色や体型が異なる
- 触角がフシで連なり、ほぼ直線
- 体に細いクビレがない
- 社会性がある
※イエシロアリに関しては各種全体的に強い褐色を帯び、女王アリの大きさも約40mm程度と大きいです。
他の昆虫が単独で行動するのに対し、シロアリは集団でコロニーを形成し社会的な行動をします。
女王アリをトップに据え、働きアリ、兵隊アリ、幼虫と個々に役割が設けられています。
数を比べると働きアリ>兵アリ>羽アリ>女王の順に多くなります。
働きアリが多いのはその他のシロアリの世話をしなければならないからです。
働きアリや幼虫には特徴がありませんが、兵アリについては頭部が円筒状で杵のような形をしています。
そして鋭く発達した黒い大アゴが見られるのも兵アリの特徴です。
サイズを比較すると、女王アリ>羽アリ>兵アリ、働きアリとなります。
ヤマトシロアリとイエシロアリの見分け方
ヤマトシロアリ
- 羽アリ…半透明の翅に黒色の体色
- 兵アリ…円筒状の頭部の長さが体長の半分程度
イエシロアリ
- 羽アリ…半透明の翅に褐色の体色
- 兵アリ…円錐状の頭部の長さが体長の1/3、攻撃的で敵と接触すると乳白色の液体を分泌
餌
シロアリは主に雑食性で何でも加害します。
農作物に朽ち木などから、発泡スチロールや繊維類など化学製品まで様々です。
非常に硬いコンクリートでも脆くしてしまいます。
さてシロアリはあんな堅い木材をよくお腹で消化できると思いますよね。
実はシロアリの消化器官には鞭毛虫(べんもうちゅう)が存在しており、その虫のサポートのおかげで堅い木材(セルロース)でも消化できるのです。
もし鞭毛虫がいなければシロアリは木材を食べても消化できませんし、エネルギー摂取も不可能でしょう。
この鞭毛虫ですがゴキブリも持っていることから、シロアリとゴキブリは仲間であるという見方もされています。
天敵
シロアリの天敵は昆虫類、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類になります。
まず巣の周りを歩いている黒アリやクモ、トカゲなどに狙われます。
特に黒アリですが圧倒的な数で襲来されてしまったら、その巣が壊滅してしまう可能性もあります。
さらに水辺周辺に巣があればカエルにも捕食されてしまいますし、スズメやカラスには絶対に太刀打ちできません。
ちなみにシロアリは栄養価が良いため、大多数の生き物から捕食対象になっているんです。
もちろん人間にも昆虫食文化がありますから、南半球のアフリカでは貴重なタンパク源として愛されています。
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飼育はできるか?
シロアリの飼育難易度は比較的容易。次の飼育方法で飼育してみましょう。
飼育に必要な道具
- 密閉式容器
- 土
- 湿った朽ち木
- 霧吹き
飼育時のポイント
シロアリの飼育は特に難しくありません。
密閉式容器に土を入れ、そこに朽ち木を入れたら完成です。
朽ち木は柔らかく水気があるとシロアリは喜びます。
直射日光を避け、たまに霧吹きで湿度を上げましょう。
シロアリは下等な種は土中に、上等な種は木などを使い地上で営巣しています。
ですから様々な物を飼育ケースに入れると、一風変わった営巣模様が観察できるかもしれません。
ただし逃げ出すと家屋に住み着かれるなど多大な被害を及ぼします。
なので密閉式の容器で飼育し、万が一のために殺虫剤を用意してください
捕獲方法
シロアリを次の捕獲方法で捕獲してみましょう。
使用する道具
- 網
- シャベル
- 昆虫ケース
- 軍手、長袖、長ズボン、長靴
捕獲時のポイント
イエシロアリですと兵アリから噛まれる可能性がありますので、軍手から長靴まで全身装着します。
さてシロアリを発見したら網を地面に置いて誘導すれば、触らずに捕まえられます。
また土ごとシャベルで掬うのもいいでしょう。
狙うべき捕獲場所は古民家や古くなった納屋の床などです。
木材の変色やゆがみが見られれば、そこにはシロアリが生息している可能性があります。
また特に木材に変化がなくても、ちょっと叩いてみて音が他と違っていたらそこにはシロアリがいるかもしれません。
音が他の箇所と違う場合、木材の中心が空洞になっていることがあります。
ですから音を頼りにしながらシロアリを探すことも可能なのです。
注意点
シロアリは紛れもない家屋害虫です。
ですから発見次第すぐに対処しなければなりません。
どのような駆除・対策があるのか?
まずシロアリを発見したらすぐに駆除しましょう。
主に次の2種類の駆除方法があります。
バリア工法
- <仕組み> 家屋に薬剤を散布し、シロアリの侵入や駆除をする
- <メリット>ベイト工法よりも価格が安い。シロアリをすぐに駆除できる。
- <デメリット> 薬物に敏感な人は体調不良になる。臭いがキツい。建物の工事期間が必要
ベイト工法
- <仕組み>ベイト剤を巣に持ち帰らせて、シロアリの脱皮を阻害(シロアリは脱皮できないと死ぬ)。
- <メリット>ベイト剤は人間やペットには害がない。建物を工事しなくても良い。薬物臭がない。
- <デメリット>シロアリ根絶まで数か月以上時間が掛かる。バリア工法よりも価格が高い。
比較
高額ですが現在ではベイト工法のシェアが伸びています。
バリア工法についてはベイト工法の約半額で施工することができるのでリーズナブルです。
業者に依頼するとベイト工法は高額ですが、現在は市販のベイト商品も販売されています。
安価な市販品で済ますお宅もありますが、業者の場合には保証が付いたりとアフターサービスが充実しています。
ですから長い目でみると高額ですが業者に依頼するのも悪くはありません。
それぞれのメリットとデメリットを見比べて、自身にあったシロアリ駆除方法を採用しましょう。
シロアリを増やさない4つの予防法
-
室内コラムの湿度を下げる
- 壁や家屋の修繕をする
- 家屋を清潔に保つ
- 家屋周辺に殺虫剤を撒く
特段奇抜なことをせずとも、たったコレだけでシロアリの発生を予防することが可能です。
まず湿度は60%以下にします。
シロアリの繁殖には多湿環境が必要となるので、乾燥させるなどして除湿しましょう。
さらに家屋や壁などに綻びが見られたら修復します。
シロアリがそこから侵入し、内部で繁殖する恐れがあるからです。
修復の前後には殺虫剤を散布して、徹底的にシロアリを防ぎましょう。
シロアリが侵入しやすい基礎部、家屋周辺へ殺虫剤を撒くことも大切です。
コラム
シロアリのちょっとしたコラムを紹介しましょう。
シロアリとアリの見分け方
混同されやすいシロアリとアリの見分け方を紹介しましょう。
Q1:胸と腹の間に括れがない
→○:シロアリ
→×:アリ(極細の括れがある)
Q2:触角が数珠状に連なっている
→○:シロアリ
→×:アリ(触角が"く"の時に曲がっている)
Q3:翅の大きさが4枚均等
→○:シロアリ
→×:アリ(前翅が後翅よりも大きい)
Q4:サナギにならず成虫になる
→○:シロアリ(不完全変態)
→×:アリ(完全変態)
Q1とQ2は目視で簡単に分かりますので、見分け材料にしてください。
また羽アリに関しては、翅のサイズも大きさが均等です。
それからシロアリはサナギにならない(不完全変態)のに対して、アリはサナギになります(完全変態)。
快適な巣作りには自信があります
シロアリは過ごしやすい巣作りが上手な生き物です。
まずシロアリは営巣をする上で、土に排泄物や唾液を混ぜて固めています。
そのため巣はしっかりした強度を保つことができるのです。
実際に巣の一部を触ってみると形が残ってしっかりしています。
そしてコロニー内には無数のトンネルが貫通しています。
トンネルはただの通り道でしかないと思われがちですが、内部に空気を停滞させず流す働きがあるのです。
つまり人間の世界で言う"エアコン"のような効果があると言えるでしょう。
空調機能のあるトンネルのおかげでコロニー内の空気は常時新鮮、気温も一定に安定させるので暮らしやすくなります。
膨大な個体数を維持し種の繁栄という最大の目的を達成するには、快適な住まいづくりが必須となるのでしょう。
女王アリはとっても長生きです
シロアリは社会性を持つ昆虫で、それぞれに役割を持っています。
そして唯一産卵の役割を持つのが女王アリです。
女王アリがいなくなっては営巣できません。
ですから女王アリを働きアリが世話をし、有事の際は兵隊アリで巣を守るという構成で固めています。
さて女王アリは非常に長生きで最長10年~15年(イエシロアリ)生きると言われています。
生涯働かずに楽そうだと感じられますが実のところはそうではないでしょう。
生涯に渡り数万と卵を産み続けなければならず、女王アリは全く動けないためほぼ卵は垂れ流し。
餌は働きアリがせっせと運んでおり、どこか介護のような印象を受けるのではないでしょうか?
その役割は決して楽であるとは言い切れないでしょう。
ほぼ例外ですが、オーストラリアに生息している『ナスティテルメス・シロアリ』については成虫になった後でも100年は生きると言われています。
100年も生きている間に自分の部下や子供が何匹も代替わりしていくのは何とも複雑なものがありますね。
シロアリも自給自足をします
シロアリには迷惑なイメージが付き物ですが、中には巣の中でキノコを栽培して暮らす種がいます。
それはタイワンシロアリという種で、フンなどから作られる菌園でシロアリタケを栽培して菌糸を餌としています。
これならばしばらくは食うに困りませんから、良い共生関係を結んでいると言えるでしょう。
たまにタイワンシロアリの巣からオオシロアリタケが地上へと飛び出してきます。
食用としても可能であり、調理すると歯ごたえがあって味は美味しいそうです。
ただこのオオシロアリタケは珍しいキノコで、市場に出回ることがほぼありません。
珍味オオシロアリタケが流通しない原因はいくつかあります。
①すぐに枯れてしまう
②地下のタイワンシロアリの巣の場所が分からない
③オオシロアリタケが必ず育つとは限らない
日本では南西諸島など沖縄方面にタイワンシロアリが生息しており、もしかしたらそちらでオオシロアリタケが食べられる可能性もあります。
いつかシロアリがエネルギーになる?
海外や日本ではバイオエタノールについての研究が進んでいます。
シロアリもメタンや水素を生成することが分かっており、それをエネルギー源として使えないかと模索している段階です。
ですから将来家屋害虫のシロアリをエネルギー源として活用する日が来るかもしれません。
ボールペンでシロアリを操ってみよう
動物はその時々で体内からフェロモンを発散しています。
例えば有名なものはハチの道しるべフェロモンでしょうか。
実はシロアリもフェロモンを使用して営巣しています。
そのフェロモンなのですが、実は私たちが普段使用する"ボールペン"にも含まれているのです。
ですから紙にボールペンで線を引くと、その線をシロアリがぞくぞくと追って歩くのです。
ただし条件がありまして、ヤマトシロアリでなければなりません。
また紙が乾燥しているとうまくいかないので、濡らしてやると成功しやすいですね。
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