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野鳥

白鷺(ダイサギ・チュウサギ・コサギ)の生態と特徴、見分け方について

サギは多くの種類がいますが、一般的に白く、首と足が長いサギを総称して「白鷺(シラサギ)」と呼びます。
日本で生息する白鷺はダイサギ、チュウサギ、コサギ、(時にはアマサギ)を指します。いずれもサイズが異なるだけで姿はほぼ同じです。
首とくちばし、足が長く、身体が真っ白です(アマサギは頭と首が薄い茶色)。大変美しい姿で、古来より美術、芸術品のモチーフとして盛んに用いられています。
性格は臆病ながらも貪欲で積極的なので、養殖家泣かせの鳥でもあります。

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サギの生態と特徴について

生息地

全国の水のある場所なら、大抵はどれかのサギは生息しています。川に白鷺が佇んでいる風景はよく見かけますが、湖や沼、小さなどぶ川、時には海岸など、水の生物を好む傾向があります。
チュウサギは乾燥した環境に適応したサギです。乾燥した草原や畑などによく生息しています。

ダイサギ、コサギは留鳥です。ほぼ一年中同じ場所に暮らし、ねぐらや餌場もあまり変えません。
寒い地域で繁殖した個体は、冬になると九州など、国内の温かい地域に移動します。
チュウサギとアマサギは渡り鳥で、夏には日本で子育てをし、冬にはフィリピンなど東南アジアに渡り、越冬します。一部のアマサギは九州より南で越冬します。

チュウサギは近年、生息環境の悪化で数を減らし続けているサギです。準絶滅危惧種に指定されています。
チュウサギの保護のためにも、サギの集団営巣地(いわゆるサギ山)の保護は欠かせません。フンをまき散らして悪臭を放ち、不衛生という声もありますが、人間からある程度生活環境を離した場所での保護活動が愛知県で始まっています。

特徴

コウノトリ目サギ科の鳥です。一見すると大きさが違う程度で、羽が真っ白で、鶴のように足と首が長いのが特徴です。
初心者には見分けが難しいのですが、身体の大きさ以外でも識別法があります。

ダイサギ

サギ科アオサギ属の鳥です。
くちばしの先からしっぽの先まで89cmほど。白鷺の中ではいちばん大きなサギです。
日本全国に生息し、各地で撮影されたダイサギの画像がインターネットで公開されています。
一級河川などの大きな川、田園地帯、池や湖などでよく見かけます。都会では人が多い公園の池などにも訪れます。
野鳥のダイサギはありふれた野鳥の中では最も大きく、迫力があります。
くちばしの色は、夏は黒、冬は黄色くなります。脚は真っ黒です。

身体が大きいので、あまり動かずじっと獲物を待つか、ゆっくり歩いて獲物を追いかけます。捕まえる瞬間だけは俊敏になります。
ダイサギは夏の繁殖期に、背中や尻尾の付近に短い飾り羽が生えます。レースのように真っ白で繊細な羽ですが、他の白鷺に比べるとあまり目立ちません。くちばしから目先にかけて、緑色に染まります。
亜種に、中国東北部で繁殖して日本で越冬するオオダイサギ、日本で繁殖して冬は東南アジアで越冬するチュウダイサギがいます。

鳴き声は「ゴワァー」と豪快に鳴きます。
堂々とした真っ白な姿は他の生物にも使われ、ランの仲間「ダイサギソウ」の名にも転用されています。

チュウサギ

サギ科アオサギ属の鳥です。
近年、著しく数が減っているチュウサギは準絶滅危惧種に指定されています。
大きさはその名のとおり、ダイサギとコサギの中間くらい。くちばしの先からしっぽの先まで68cmほどです。
ダイサギとチュウサギは慣れるまで識別が難しい鳥ですが、あるポイントを見ると判別しやすくなります。(詳細は後述)
乾燥した場所に適応したサギで、田植え前の田んぼや畑でバッタなど昆虫類を捕まえて食べます。

チュウサギは渡り鳥で、夏は日本で繁殖し、冬は東南アジアに渡って越冬します。
チュウサギの鳴き声は「グェッグェッグェッ」「ギャッ」など。あまり良い声ではありません。

コサギ

サギ科シラサギ属の鳥です。
くちばしの先からしっぽの先まで60cmほど。真っ白なサギの中ではいちばん小さなサギです。
夏になると頭からアンテナのような冠羽が2本伸び、背中の飾り羽がくるんと巻き上がります。
コサギの画像を見ると分かりますが、足の指が黄色く、スリッパを履いているように見えるのが大きな特徴です。遠くからも黄色いスリッパはよく見えるので、他のサギと識別するのに役立ちます。
野生下での観察は難しいですが、足指の間に小さな水掻きが付いています。
コサギは小川やどぶ川など、水がある場所ならどんな場所でもやって来ます。水面の揺力を利用して、水面ギリギリに翼を広げて、ほとんど羽ばたかずに飛ぶこともあります。
水が深い場所では、水掻きを利用して、カモのように泳ぐこともあります。
他のサギに比べて活動的で、積極的にエサを探し回り、水中を足でかき回して獲物を追います。待ち伏せ型が多いサギの中では珍しく、自ら獲物を追いかけることも珍しくありません。

コサギの生態はダイサギやアオサギに近く、水辺を根城にして昼間に活動します。留鳥ですが冬になるとエサを求めて国内で移動することもあります。
鳴き声は「ゴワァーッゴワァーッ」と、カラスが皺がれたような声を上げます。

コサギは日本絵や工芸品などでも盛んに用いられ、多くの絵師が素晴らしいコサギの絵を残しています。
描かれるコサギは頭に冠羽が生えているので、すぐに他のサギと区別できます。

アマサギ

サギ亜科アマサギ属の鳥です。
白鷺の中ではもっとも小さく、くちばしの先からしっぽの先まで46~56cm、翼を広げても88~96cmほど。
小柄ながら、亜麻色(べっこう飴のような明るく薄い茶色)が目立つ美しいサギです。
渡り鳥で、夏は日本で繁殖して冬に東南アジアへ移動します。そのため日本では冬にはほとんど観察できませんが、冬羽は真っ白です。
九州より南では留鳥で、一年中暮らしています。

冬羽のアマサギとコサギは区別が難しいですが、アマサギはくちばしが短く、大きさもコサギより小さいのが特徴です。

夏羽は頭から首、腰にかけて亜麻色に染まります。
生態はチュウサギに近く、草原や農耕地などに広く生息します。池や湿原など水がある場所も好み、状況に応じて臨機応変に適応できます。
巨大な牛や水牛などの背中に乗り、牛が歩くときに飛び跳ねる虫を採取します。さらに、牛の体に付く寄生虫を取ることもあります。牛にとってもアマサギは掃除屋で、アマサギにとって牛は食料供給源です。
農耕機の後を追ってエサを探すこともあり、近年の開拓拡大の影響で世界的には数を増やしていると言われています。
アマサギの鳴き声は「グワァー」「ゴワァー」など。あまり良い声ではありませんが、滅多に鳴きません。

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繁殖

群れで繁殖することを好み、特に何種類ものサギが集まって営巣する「サギ山」をもっとも好みます。
サギ山を形成することで外敵から身を守り、より多くのヒナが巣立つことができます。

サギ山は木が立ち並ぶ場所(多くは小高い丘や林など)に形成します。
繁殖期は4~7月ごろで、木の上などに枝を運び込んで皿状の巣を作ります。雄が巣材を集めて雌が組み上げて巣が作られます。
おおよそ2~5個の卵を産み、雌雄が協力して卵を温めます。22~26日ほどで孵化し、両親がせっせと魚やカエル、昆虫などを与えて育てます。
夜行性のゴイサギも、繁殖期ばかりは昼も夜も関係なく働き詰めでエサ探しに没頭します。昼に活動する白鷺たちも、夜間にエサを探すこともあります。
ヒナの成長は早く、孵化して30~40日くらいで巣立ちを迎えます。

多くの幼鳥は、冬を乗り越えられずに死んでしまいます。しかし最初の冬を乗り越えたサギは長寿になる傾向があり、何年も生き延びて子孫を増やします。
サギの仲間は非常に賢く、生息環境が変わっても、サギ山を潰されても臨機応変に場所を変え、巣を作りヒナをかえします。しかし、彼らの理想の環境はサギ山です。

天敵

成鳥ではオオタカなど、大きな鳥をねらう猛禽類が最大の天敵です。
オオタカは水にサギを付け、弱らせてから食べます。捕らえた獲物にとどめを刺さず、生きたまま食べてしまいます。苦しそうに羽ばたくサギを食べるオオタカの姿が目撃されています。

イタチやキツネ、野良犬、ノネコ、北海道ではヒグマなども脅威になります。特に、卵やヒナはこれらのほ乳類や、ヘビに捕食されがちです。

白鷺の見分け方

ダイサギ、チュウサギ、コサギの見分け方は、ポイントさえ押さえれば比較的簡単です。
何種類のサギが並んでいる場合は、大きさで区別できます。ダイサギがいちばん大きく、コサギがいちばん小さい、チュウサギはその中間くらいです。

単独でいる場合は体の特徴をもとに観察します。
ダイサギは口の端が目の位置より深く切れ込んでいます。よく見るとヘビのような口をしています。
チュウサギは目の真下で口の切り口が止まっています。
ダイサギは頭が平らで、くちばしから頭頂まで流線型です。チュウサギは額が出っ張り、鳥らしいシルエットをしています。
くちばしも、チュウサギのほうが短いので、何度も観察するうちに判断できます。くちばしの長さと、額の有無を確認するのが手っとり早いかもしれません。
白鷺の中では、この2種類の判別がいちばん難しいです。

コサギは体の大きさと、夏羽ならアンテナのような冠羽で判断できます。背中の飾り羽がカールしているのも判別ポイントです。
もし歩いていて足が見えるなら、足の指を確認しましょう。黄色いスリッパのような足だったら、それはコサギです。
コサギとチュウサギの区別は、足下を見るかサイズで見分けるのが一番です。

アマサギは羽の色が特徴的な上に小柄なので、遠目でもすぐ区別できるでしょう。

エピソード

チュウサギが準絶滅危惧種になった理由

サギは生命力が強く、環境変化にも比較的対応しやすい鳥です。なぜチュウサギだけが準絶滅危惧種になるまで数が減ってしまったのでしょうか。
チュウサギは畑や田んぼなど、乾燥した地域で餌を探します。しかし戦後に農薬が大量に散布されたことで、チュウサギのエサになる昆虫や魚介類が激減しました。
さらに、サギ山もどんどん潰され、繁殖地も失いました。餌場も繁殖地も失ったチュウサギは飢えてしまい、数がどんどん減ってしまいました。
現在では田畑の過剰な農薬使用は抑えられ、有機栽培や減農薬栽培など、できる限り農薬を使わない農家も増えつつあります。そのため田畑の生態系が復活しつつあり、一部地域ではチュウサギの数は回復傾向にあると言われています。

東名阪自動車道・弥富ICと蟹江ICのサギ山保護

サギは賢く、逞しい鳥です。たとえ営巣地を奪われても、次々と新天地を見つけては巣を作ります。
しかし、サギがもっとも好む営巣地は、様々な種類のサギが数千羽も集うサギ山です。しかし住宅街の近くのサギ山は悪臭が漂い、不潔という理由でどんどん潰されています。

愛知県のサギは、高速道路の脇にある森に注目しました。弥富ICと蟹江ICの一帯に広がる森に、サギが次々と集まりはじめました。
繁殖期になるとダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ、ゴイサギ、アオサギなど、サギの見本市のような光景が広がります。
高速道路も騒音や排気ガスなどの問題があるため、ある程度住宅から隔離して作られます。その近くの森に目を付けたのは、とても良い選択でした。
現在は愛知県弥富野鳥園、日本野鳥の会愛知県支部、高速道路を管理するNEXCO中日本が協力し、保護活動が進められています。

対策が施されていない当時はサギと車の衝突事故が頻発し、大きな問題になりました。
しかし、様々な対策を行い、現在はほとんど事故が起こらなくなりました。道路の下を塞いでサギのひなが車道に出てこないようにする、フェンスの高さを上げて、トラックより高い場所を飛ぶように誘導する、車道に鳥に注意する標識を取り付けるなど、様々な対策を施しています。

いくらサギが逞しい鳥だからと言って、無碍に生息地を奪うことは問題があります。
サギの仲間は多くの水生動物を食べ、近隣の環境保全に大きな役目を果たしています。サギを追い出すと害虫やアメリカザリガニなど外来種がどんどん繁殖し、生態系が悪化しかねません。
サギ山と人間の共存は難しいですが、高速道路のサギ山は共存の可能性を感じさせる事例です。

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