飛べない翼竜?プテラノドンの特徴について。
2016/10/04
- 食性:肉食(魚)
- 体長:約7m
- 出現時期:白亜紀後期
- 発見場所:アメリカ、イギリス
- 分類:爬虫網 翼竜目 プテロダクティルス科
かつて、地球の空には恐竜に匹敵する大きさの生き物が多く存在しました。その代表であり、名前もよく知られているのが今回紹介するプテラノドンです。
空を飛ぶ翼竜が誕生したのは三畳紀ですが、そこからさらに進化を遂げ、プテラノドンのような大型の空飛ぶ爬虫類が繁栄したのが白亜紀。特に後期には、翼を広げると12mを超えるケツァルコアトルスという種類もいました。
それに次ぐ大きさのプテラノドンですが、実は飛ぶのは苦手だったという説があります。
プテラノドンの特徴
プテラノドンの体の特徴は、頭部に後方にあるとさかと、前脚が進化した翼。
この翼は皮膚でできた大きな膜を、長くなった小指の骨で支えるような構造になっていました。
翼の縦幅はあまり広くなく、原生鳥類のような羽毛によって浮力を作り出す飛び方ではありませんでした。可能性としては、木や岸壁などの高い位置に登って、そこからグライダーのように滑空飛行をしていたと考えられています。
また、骨が空洞になっており、体重は見た目よりかなり軽かったと推測されています。そのため翼を大きく羽ばたかせることで、体を浮かし、上昇気流に乗って飛んでいた可能性もあります。
どちらにせよ、空中では自由に行動出来たわけではなく、風によって大きく左右されていたのでしょう。そうなると、地上での生活はどのようなものだったのか。
基本的に4足歩行でしか歩けませんでした。ただし、それぞれの脚にはしっかりとした爪があり、樹をよじ登ることもできたとも言われています。爬虫類から翼竜のように空を飛ぶように進化したきっかけは、木から木へ飛び移ることから始まったと考えられているので、その名残かもしれません。
食性
プテラノドンの食性は肉食ですが、基本的に魚が主食でした。
大きなくちばしには歯がなく、魚を加えて持ち帰ったあと、丸呑みにしていたことが分かっています。
これは、プテラノドンの名前の由来にもなっており、「翼」を表すプテロと「歯」を表すドンの間に、「無い」ということを表す言葉が組み合わさって「歯のない翼」という意味になっています。
ここで一つの疑問が生じます。原生鳥類のように、自らの翼で自由に上昇や下降ができなければ、水中の魚を捕まえた後、どうやって再び浮上したのか?
恐らく再浮上ではなく、水面近くを滑空したままくちばしだけを水中に入れ、魚を捕食していたと考えられます。
この狩りには多少のリスクが伴っていたようで、水中には餌となる魚の他に、プレシオサウルスなどの首長竜の仲間がいました。彼らはその長い首を活かし、水面近くの翼竜を捕食していたかもしれません。もし海の真ん中でうっかり水没してしまったとしたら、格好の餌食になっていたでしょう。
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進化論
そんなプテラノドンなど翼竜の祖先は、ランフォリンクスとプテロダクティルスという種類に分けられます。前者は三畳紀からジュラ紀にかけて、後者はジュラ紀から白亜紀にかけて繁栄していた考えられます。
ランフォリンクス類の特徴はくちばしに歯があり、長い尾っぽがあったことです。これは爬虫類の名残で、翼は持っていても、あまり大きくありませんでした。そのためどのように飛行していたかはっきり分かっていませんが、翼を羽ばたかせて飛んでいたという説が有力です。
水辺の魚や昆虫を食べて生活していたことから、まだ翼竜としては進化途中であったと考えられています。一方プテロダクティルス類は、歯はなくなり、尾は退化し、体は大きくなりました。そしてプテラノドンのような大型翼竜となった訳です。
ただこの進化の流れには大きな問題点があります。それはプテラノドンが進化の袋小路に入り込んでしまった可能性があるためです。
滑空するための大きな翼を手に入れ、原生の鳥類とは全く違う進化を遂げるまではよかったものの、天候が悪いと飛ぶことができず、狩りにでることすらできませんでした。
さらに、時代としては登場が早かったランフォリンクス類は、羽毛を持っていたことが判明しています。それがなくなったこと、つまり羽毛を得るという手段を放棄してしまっていました。これでは例え白亜紀の絶滅を生き残ったとしても、さらなる進化は望めなかったでしょう。
様々な作品や本の中で登場するプテラノドンですが、実際は将来の不安を抱え、風に吹かれるだけで右往左往する紙飛行機のような人生だったのかもしれません。
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