闇に消えた歴史、パキケファロサウルス!実は頭突きはしない
2016/09/30
- 食性:草食
- 体長:5~8m
- 出現時期:白亜紀後期
- 発見場所:アメリカ、カナダ
- 分類:周飾頭類(けんとう竜、角竜など) 厚頭竜類 パキケファロサウルス科:草食
特徴的な見た目にも関わらず、名前はかなり覚えにくい恐竜のパキケファロサウルス。
頭にドーム状の骨があり、写真を見れば知っているかも知れませんが、名前を聞いたとしてもピンと来ませんね。
ですのでまず、その難しい名前の覚え方からレクチャーしましょう。
パキケファロサウルスの特徴
名前の意味・由来・覚え方
パキは「分厚い」、ケファロは「頭」、サウルスはいつも通りトカゲという意味なので、私が考えたのが…「パキッと分厚い、頭に毛貼ろ(ケファロ)サウルス!!」失笑を免れないことは覚悟の上です。
これで名前と意味はバッチリです(サウルス=とかげは頑張って覚えましょう)。
体の特徴分厚い頭蓋骨について
分厚いと言っても一体どれくらいなのか。パキケファロサウルス科のドーム部分の厚みは最大25cmにもなり、頭蓋骨の3分の1を占めています。
その他の特徴としては、厚頭竜の中で最も大きな身体を持ち、頭の後ろや頬、鼻の上部が大小の角やコブで飾られていました。
ただ同じ種類の中では、ドームの高さは低い方で、より発達した(高さを持った)恐竜もたくさんいました。
そもそも堅頭竜類の仲間には、丸みを帯びたパキケファロサウルス科と、平らな頭という意味のホマロケファレ科の2種類に大別されます。
ホマロケファレの覚え方は…まあまたの機会に。
どちらも頭に特徴があり、基本的に2足歩行と考えられていますが、詳しいことは解明されていません。
あえて解明されていないとしたのは、普通詳しく解明されない理由として挙げられるような、骨格標本が見つかっていない、保存状態が悪いなどが、パキケファロサウルスには当てはまらないことです。
全身骨格や状態のよいものも発見されていますが、なかなか結論が出ず、未だ様々な議論が展開されています。
次にそのいくつかをご紹介しましょう。
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未だ謎多く、解明されていない
パキケファロサウルスの前脚は小さく、2足歩行であることは先にお伝えした通りですが、胴体と腰の骨格は幅広く、まるで4足歩行の鎧竜(アンキロサウルスなど)に近い体格でした。
しっぽは太く、網のように張り巡らされた腱で固められていて、身体全体を支えることも可能だったと言われています。
ですが、パキケファロサウルスの生態において、この体格と太い尾の必要性が見いだせず、有力な説すら出ていません。
また口元の化石から判断して、鳥盤目の特徴の一つであるくちばしがなく、分厚い唇を持っていたと唱えた学者もいました。
この推論は、後に見つかった他の鳥盤目の化石から、くちばしに薄い皮膚(つまり唇を持つものもいる事実)が発見され否定されています。
そんなパキケファロサウルスも、一番の特徴である頭の骨については詳しく判明……していればよかったのですが、実はこれが最大の謎です。
実は頭突きはしていなかった?
この石頭を使って想像する頭突き。
化石を発見した当初はほとんどの人がその姿を想像したでしょう。
今ではほぼ否定されています。その理由は、どれだけ硬い頭であっても、ぶつかった時の衝撃を和らげられなければ意味がないからです。
金属バットで地面を叩いても手がしびれるだけ、それと同じです。
頭を支える首には衝撃を吸収できるような構造はなく、むしろ弱かったので、そんな衝撃を受けたらたちまち首が折れていたかもしれません。
何よりオス同士の戦いの時に、どちらも丸みを帯びていたらツルッと滑って、うまく頭突きが決まりません。
冷静に考えれば考えるほど矛盾が生じます。
今では、ディスプレイのため、武器に使ったとしても脇腹など身体の柔らかい部分を横から(やさしく)攻撃したとの見解が強く、頭突きをしている姿は幻だったと思うしかありません。
研究者を悩ますパキケファロサウルスですが、様々な論争が続く中で、関連する化石は次々に見つかっており、新説も続々と提唱されています。
「全く違う種類と思われていた恐竜の化石が、実はパキケファロサウルスの幼少期のものかもしれない」や「堅頭竜類の発祥は実はアジアだった!」など。
これからもこれらの説を検証し、研究は続くことでしょう。知られざる彼らの歴史は、今なお混乱し続けているのです。
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