ニジマス(虹鱒)の生態について。釣りや飼育、放流など
2016/09/27
釣り堀などで、赤い縦線が鮮やかなサケの仲間を釣ったことはありませんか。
釣りはもちろん、水族館でもおなじみの魚、ニジマスはいわゆる「外来魚」で、本来日本には生息していません。
ニジマス、という名前は、英語の「rainbow trout」を直訳したものです。ではなぜ、いないはずのニジマスが日本の各地に生息しているのでしょうか。
生態
生息地・分布
ニジマスの本来の分布域は、ロシアのカムチャッカ半島からベーリング海峡を越え、北アメリカの西岸のアラスカ、カナダ、アメリカおよびメキシコの北西部です。
日本には、関沢明清という人物により、明治時代にアメリカのカリフォルニア州から移入されたものが最初であるといわれています。
以後、日本に複数回持ち込まれ、各地の湧水池、渓流、山上湖に放流されました。このため、北海道の摩周湖や知床半島など、一部の地域では定着が確認されています。
特徴
ニジマスはほかのサケの仲間と同様、冷たい水を好みます。
食用としても重要で、チリの国家事業に代表される海面養殖のほか、日本各地では盛んに養殖もされています。
大きさはふつう40センチ以上、大きいものでは1メートル近くに育ちます。
日本では、実際に天然繁殖が確認されているのは北海道など一部であるため、外来魚ではありますがブラックバスやブルーギルほど厳格な措置がとられているというわけではありません。
しかし、要注意外来生物に指定され、世界規模でみると「世界の侵略的外来種ワースト100」にも数え上げられています。
食性・餌・天敵
ニジマスは肉食性で、水生昆虫や甲殻類のほか、魚類や陸から落下してきた昆虫類、魚卵も捕食します。
人工飼料には比較的よくなれるため、養殖下では配合飼料を与えています。
大型になったニジマスではそう天敵はいませんが、幼魚のころには水鳥、ブラックバスやナマズのような魚食性の魚が天敵となります。
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飼育について
難易度は高め
ニジマスは冷水性の魚のため、イワナやアマゴと同じく、淡水魚の中で最も飼育が難しいグループに分類されます。
そのため、初心者向けの魚とはいえません。
また、大型に育つため、相応の設備と出費を覚悟する必要があります。
飼育には90cm以上の水槽、砂利、ライト、エアーポンプ、ウォータークーラーは必須です。
また、餌には配合飼料のほか、金魚などを与えてもよいでしょう。サケ科魚類は、天然下と飼育下では餌の脂肪分などが違うためか、鼻周辺の皮がむけるなど、見た目が痛々しくなりがちです。
力強い姿が見たい、という人には北海道での釣りが向いているのかもしれません。
捕獲・放流について
ニジマスは、先に述べたとおり要注意指定の外来生物です。そのため、安易な放流は禁止されています。
大きくなって飼いきれないから川へ逃がす、という責任のとれない行動は、間違ってもするべきではありません。
品種について
ニジマスは飼育が盛んなため、様々な品種が存在します。
たとえば、色素がぬけた黄金色の体色と赤い眼をもつアルビノニジマス、体に斑紋をもたないホウライマス、脳下垂体の以上によりセルリアンブルーの体色をもつコバルトマスなどが知られています。
また、日本ではニジマスは海に降りませんが、より緯度の高い地域では降海型の「スチールヘッド」が出現します。
チリの一大国家事業として知られるサケの養殖ですが、養殖されているのは日本でもなじみ深いシロザケやベニザケではなく、ニジマスです。とくに、この品種は「ドナルドソン系ニジマス」と呼ばれ、ワシントン大学のドナルドソン博士により30年以上をかけて大型個体を継代選抜された賜物で、体長は1メートルを超え、成長スピードが早いという長所を持っています。
このほかにも、バイオテクノロジーを使うことで4倍体をつくりだし、これらとアマゴやヤマメ、ブラウントラウトのようなほかのサケ科魚類と交配した信州サーモンや絹姫サーモンなど、ご当地サーモンの養殖もさかんです。
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