猛毒注意、ムカデの生態について。噛まれたときの対処。種類など
2016/10/20
ムカデとはムカデ綱に属する生き物の総称です。
ムカデを昆虫扱いする人がいますが、厳密にはムカデ綱に分類されており昆虫ではありません。
日本には約120種のムカデがいるとされていて、主に私たちが遭遇するのはオオムカデ目オオムカデ科のトビズムカデになります。
生態
生息地
ムカデの生息地、見られる時期は次の様になっています。
- 地域:北海道、本州、四国、九州、南西諸島
- 場所:雑木林、落ち葉の下、朽ち木の中、洞窟
- 時期:5月~10月
ムカデは広く全国的に生息しており、主に雑木林や落ち葉の下などの暗くじっとり湿った場所に潜んでいます。
直射日光に当たることを嫌がるので、暗い場所を常に求めて移動しています。
時期は気温が上がり始める5月頃から冬の直前である10月まで見られます。
気温が下がってくると寒さをしのげる土中や石の下に潜り、寒さが厳しい冬を越冬します。
そして雪解けした春頃に地上へ出てきて、元気に活動するのです。
越冬場所として民家の軒下や小屋が選ばれることがありますので、春先にはムカデに注意しましょう。
特徴
※アカズムカデ↑
ムカデには次の特徴があります。
- 成虫の体色は頭部は赤褐色、体色は暗緑色、手足は黄色か褐色。幼虫は黄色
- 体長は成虫で100mm程度
- 足が42本(21対)生えている(アカズムカデは46本、23対)
- 気管で呼吸を行う
- 鋭い大アゴと毒腺を持つ
- 頭部、胴部、脚部とそれぞれで体色が異なる
- 寿命は6年程度
ムカデは頭部、胴部、脚部と各パーツで体色が異なります。
体色からどの種類であるか判断がしやすいのもムカデならではです。
それから鋭い大アゴの側には毒を分泌する腺を備えています。
そのためムカデに噛まれると、鋭い大アゴに裂かれた組織から体内へと毒が回ってしまうのです。
種類
日本で見られるムカデはトビズムカデ、アカズムカデ、アオズムカデ、沖縄のハブムカデがいます。
アオズやアカズはトビズの亜種とされる説もありますが、最近ではそれぞれ独立種であると言われています。
アカズムカデ
アオズ
食性及び餌について
ムカデは肉食系なのでコオロギなどの小昆虫類やミミズなどを餌にします。
この他には人間が嫌うゴキブリや小さいネズミでも難なく捕食します。
ムカデは獲物を発見するとたくさんある足を蠢かせて近付き、大アゴを突き刺して襲い掛かります。
その際に毒腺から毒を流し込み獲物を弱らせるのです。
時には人間を恐れることなく噛みつくこともあるため、注意が必要です。
天敵
ムカデの天敵は昆虫類、爬虫類、鳥類、哺乳類になります。
自分よりも大型のカエル・ヘビからあっという間にパクリと丸のみにされてしまいますし、尻尾に毒を持つサソリや素早いクモも苦手。
それから哺乳類ではネズミやネコがムカデを捕らえたり、人間からは殺虫剤を容赦なく拭き掛けられます。
興味深い話ですが鳥類にはイソヒヨドリというムカデを好んで捕食する種類もいるんですね。
イソヒヨドリはムカデの強烈な毒に対して耐性があるからこそ積極的に捕食できるという訳です。
向かう所敵なしと思われがちなムカデですが、このように意外に天敵が多い面もあります。
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飼育について
ムカデはこう飼う!
ムカデを次の飼育方法で飼育してみましょう。
飼育に必要な道具
- 昆虫ケース
- 腐葉土
- 落ち葉、石
- 小昆虫類
- 霧吹き
- 新聞紙、布
飼育に適した環境
- 直射日光の当たらない日陰
- 多湿
飼育ポイント
昆虫ケースに腐葉土を入れ、さらに隠れ家となる落ち葉を入れます。
ムカデは湿った環境を好むので、腐葉土や落ち葉を霧吹きで濡らしましょう。
それからミミズなどの生き餌を入れると食べます。
また昆虫ケースを暗くすると活発に活動するムカデが見られますので、新聞紙や布をかけてみてはいかがでしょうか?
夜行性なので直射日光が当たらない場所に置いてあげてください。
乾燥に弱いため高温の乾燥した場所に置かれるとムカデは弱ってしまいます。
それから多湿な環境により、カビの繁殖には気を付けましょう。
捕獲方法
ムカデを次の捕獲方法で捕獲してみましょう。
使用する道具
- 網
- 軍手、長袖、長ズボン、長靴
捕獲するポイント
主にムカデは朽ち木や石の下などに隠れているので、それらをひっくり返して探しましょう。
発見時にはビックリしてケガをしないように、安定した足場を確保しつつ捕獲してください。
基本的にムカデは夜行性ですが、昼間でも暗くて湿った場所を重点的に探すと発見できます。
大アゴには毒がありますので、安全のため軍手や長袖長ズボンを着用しつつ身を守りましょう。
毒に注意
グロテスクな見かけ通り、ムカデには毒があります。
ムカデの噛み跡は2つ赤い点が浮かび、周辺が真っ赤になります。
いつどこでムカデと接触するか分かりませんから、ムカデの持つ毒や万が一噛まれた際の対処方法を学びましょう。
ムカデはどのような毒を持っているか?
ムカデの毒にはセロトニン・ヒスタミンが含まれており、噛まれると多大な健康被害が生じます。
これらは主にハチが持っている毒と類似しているので、ハチに刺されたような症状が起こります。
まずムカデに噛まれると患部は真っ赤に腫れ、セロトニン・ヒスタミンの作用によりズキズキした激痛がはしるのが特徴です。
頭痛・発熱・嘔吐・リンパ節炎などの軽微な症状から、皮膚の壊死やアナフィラキシーショックなど重篤な症状まで多岐に発症します。
ただし大変苦しい思いをするものの、ムカデの毒は人間が亡くなってしまうレベルではありません。
ムカデに噛まれた時の対処方法
45度前後のお湯を掛ける
まず急いでお湯を沸かして、ムカデに噛まれた患部に数分掛けます。
日頃浸かるお風呂の温度は40度程度ですが、それよりも少し高い45度前後のお湯を使います。
実はムカデの毒は熱に弱い性質があり、お湯を掛けると多少は解毒されるのです。
お風呂のシャワーを45度にセットし、応急処置としてお湯で毒を和らげましょう。
しかしお湯があまりにも熱すぎると、やけどをしてしまうので気を付けてください。
せっけんやハンドソープで患部を洗う
熱で温めたら、次にせっけんやハンドソープを使って患部を洗いましょう。
患部に付着している毒や雑菌を洗い流して化膿や腫れを防ぎます。
病院へ行く
民間療法で何とかなると思われるかもしれませんが、一応は病院へ受診してください。
やってはいけない対処
- 患部から毒をしぼる
- 患部を冷やす
皮膚をしぼるとかえって組織内に毒が回りますし、冷やすと痛みが増します。
ムカデに噛まれたら病院ではどのような治療をするか?
治療としては抗ヒスタミン成分配合のステロイド軟膏を塗布するか、腫れに対して水湿布を施すことがあります。
こうして個々の対症療法と上記の治療を組み合わせて治癒を目指します。
状態が悪い場合には入院して重点的な治療が行われることもあるので注意しましょう。
ムカデを退治・駆除する4つの方法
潰してしまうのがカンタンですが、靴や床を汚したくないものです。
何点かムカデを退治・駆除する方法がありますのでチャレンジしてみましょう。
- 熱湯を掛ける(ムカデは熱に弱い)
- 洗剤を掛ける(界面活性剤で死ぬ)
- 殺虫剤を噴射する※人体にも環境にも有害なのでオススメしません。
3つの有名な方法ですね。
ただしどれも床が汚れますし、洗剤に関しては体内へ浸透する時間が必要です。
ですから新聞紙などで屋外へ誘導してから駆除するといいでしょう。
- 新聞紙などで叩く
これもよくある駆除方法ですが、力加減次第でムカデが潰れてしまいます。
また無意識に潰さないように手加減して、中々退治できない場合もよくあるものです。
- 掃除用のコロコロクリーナー
これが一番床を汚さずにムカデを駆除できるアイテムです。
ムカデを発見したら掃除の要領でコロコロするだけで退治完了です。
粘着させた後はシートにくるんでゴミ箱へ入れるだけ。
柄が長いタイプであれば、安全を確保しつつ駆除が行えるので便利ですよ。
ムカデの発生を予防する方法
有毒なためムカデを家屋に寄せ付けないように対策を講じましょう。
- 落ち葉や石を取り除く
- 家屋周辺に薬剤、木酢液、ハッカ油を散布する
- 苦土石灰を撒く
- 編み戸や窓をメンテナンスする
まずムカデの住みかとなる落ち葉や石は取り除いてください。
それが家屋周辺にあるだけでムカデをおびき寄せてしまいます。
それから薬剤の散布もしましょう。
ペットやお子さんがいる場合には、木酢液やハッカ油を希釈して散布するのも効果的です。
これらはムカデが嫌うにおいなので、忌避剤として利用することができます。
苦土石灰を撒くと周辺の水気を吸い取るので、ムカデにとって居心地の悪い環境となります。
最後に編み戸や窓をメンテナンスすることも大切です。
隙間があるとそこからムカデが侵入してくることがあります。
家屋内でムカデが見られたら、窓などの侵入経路に立てつけの悪い場所があると考えましょう。
コラム
ムカデのちょっとしたコラムを紹介しましょう。
シャラシャラという音が聞こえたら…
ムカデは家屋に侵入することが多々あり、遭遇した人は非常に恐怖を覚えるものです。
ムカデは主に夜行性ですから、人間が寝ている間に活動しています。
そのため夜中にムカデと鉢合わせしたという恐怖体験を経験したことのある人もさぞかし多いことでしょう。
そこでムカデの襲来に見舞われている人はお部屋に『畳』を導入してみてはいかがでしょうか?
畳の上をムカデが歩くと『シャラシャラ』という独特の音が聞こえます。
畳にムカデの足が引っかかるとシャラシャラと擦る音がするんですね。
現在はフローリングのお宅が増えているので、音を聞いてムカデの存在を察知することが難しくなっています。
354本足を持つムカデが世界にはいる
ムカデを漢字変換すると百足になります。
たしかにあの姿を見るに百本くらい足があってもおかしくはありませんね。
さて世界には百本以上足を持つムカデもいます。
それはジムカデという種類で体長が約300mm程度と非常に大きいです。
体長が約300mm程度あるということは足もたくさんあり、その数は354本(354÷2=177対)となります。
日本に生息するムカデをはるかに凌駕する大きさと足の数ですから、一目見ただけで思わず背中がゾワゾワするのは間違いないでしょう。
子供を守る母ムカデ
メスのムカデであれば一回に10~20個程度の卵を産み、その後孵化するまで大切に卵をお腹に抱えます。
孵化までは母ムカデが丸くなり、その中心に黄色い卵を抱えるのです。
その間は餌を取らずに必死に卵を守り続け、母ムカデは孵化を待っています。
中には孵化後に幼虫の状態でも母親が守っていることもあります。
気持ちが悪い姿ですが、母性愛が強い生き物なんですね。
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