モンシロチョウの生態。卵~幼虫、さなぎの飼育・育て方
2016/09/15
モンシロチョウとはチョウ目・シロチョウ科の昆虫です。
よく住宅街の庭先でも見掛けるモンシロチョウは繁殖力が強く、冬を除いてほぼ一年中活動しています。
フワフワと飛び立つ姿はほほえましいけれど、家庭菜園の害虫として土いじりをする人から嫌われています。
生態
生息地
モンシロチョウの生息地、見られる時期は次の様になっています。
地域:北海道、本州、四国、九州、南西諸島
場所:平地、畑、野原、庭先
時期:3月後半~11月
モンシロチョウは北から南へと全国的に生息しています。
特に見られる時期は3月後半~11月となっており、初春から晩秋にかけて見る事が出来ます。
最近は温暖化と併せてエサがあるハウス栽培が行われている事から、一年中活動していてもおかしくありません。
特徴
モンシロチョウには次の特徴があります。
- 成虫の体色は全体的に薄白や灰色、翅のフチや角が灰色/幼虫の体色は薄黄緑色
- 体長は30mm程度(成虫)/25mm程度(幼虫)
- 触角の先端がすりばち状になっている
- 口吻が長く発達している
- メスは翅の付け根の黒色の面積が大きい
- 全体的に毛が生えている
- 白黄色の複眼に黒点がいくつかある
- 幼虫は繭を作らない
チョウの特徴ですが、触角の先が太くなっています。
似ているガの触角には変化が見られません。
それからオスとメスの見分け方ですが、メスが翅の付け根の黒色の面積が大きいです。
逆にオスの翅を見ても顕著な変化はありません。
口吻は普段はぐるぐる巻きになっており、蜜を吸う時に伸びます。
エサ
モンシロチョウの成虫は主に花の蜜をエサにしています。
一方の幼虫は菜の花やキャベツ等のアブラナ科の植物を好んでエサにしています。
キャベツや菜の花、ダイコンやハクサイがアブラナ科の植物です。
昔はよくスーパーで買ったキャベツの中にモンシロチョウの幼虫や卵が見られたものです。
しかし日本の農薬の使用量は世界で1位2位を争うほどとも言われています。よく言えば徹底した管理の元で野菜栽培が行われているためとも言えますが、悪くいうと殺虫剤を使って駆除している。ということでモンシロチョウの幼虫は見られなくなりました。
天敵
モンシロチョウの天敵は昆虫類、爬虫類、鳥類になります。
素早く飛べないのでトンボやカラス等の昆虫類や鳥類に捕食されてしまいます。
また家庭菜園をしている人にとってもモンシロチョウは害虫です。
卵の大きさが1ミリ程度と肉眼で確認出来るため、見付けられたら駆除されてしまいます。
このように現在は虫や鳥等の天敵による捕食よりも人間による駆除の方が確率が高いかもしれません。
子供からは人気でも家庭菜園を趣味としている大人からは目の敵にされています。
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飼い方
飼育方法
モンシロチョウを次の飼育方法で飼育してみましょう。
しかしモンシロチョウの成虫の飼育は困難です。
対してモンシロチョウの幼虫の飼育は簡単ですからチャレンジしてみましょう。
飼育に必要な道具
- 昆虫ケース
- キャベツや菜の花
- ビン
- 新聞紙
- ガーゼ
飼育に適した場所・環境
- 直射日光が当たらない場所
手順
- 昆虫ケースの中央にキャベツや菜の花を置きましょう。
- 後は床に新聞紙を敷いて完成です。
ポイント
市販のキャベツや菜の花には農薬が付いている事があるので、洗ってから与えるか内側の葉を与えるかしましょう。
またモンシロチョウの幼虫はフンを数多くするため定期的に新聞紙を取り替えてください。
フンが残ったままだと病気の原因となります。
昆虫ケースは直射日光が当たらない場所に置いてください。
ケース内で飼育するため、雨風が当たらない環境に置く事になります。
つまりエサとなるキャベツ等が乾燥し傷みやすくなるという事です。
それから幼虫は水分を摂取するのでガーゼに水をしみ込ませてエサの側に置いておきましょう。
幼虫が成長するにあたり乾燥が悪影響を与えるので、直射日光は避けてください。
大体卵からサナギになるまで一ヶ月程度時間を必要とします。
さて幼虫が成長すると緑色のサナギになってじっと動かなくなります。
サナギになってからは大体一週間程度で羽化して元気に飛んでいきます。
羽化直前はサナギがビクビク動くのでよく確認しましょう。
また羽化直後は翅がしわしわで、しっかり固まっておらずじっとしています。
この時は翅を触らないようにしてくださいね。
しばらく経つと赤い体液を排泄してから、フワフワと飛び立つので見送ってあげましょう。
人工羽化する方法もありますが、慣れないと難しいので自然に任せる方がいいです。
肝心のモンシロチョウの卵ですが、近くの畑や野原から探してみましょう。
畑をしている人に欲しいと頼んで分けてもらうといいかもしれませんね。
捕獲方法
モンシロチョウを次の捕獲方法で捕まえてみましょう。
使用する道具
- 網
逃げ足も早くないので見付け次第、網で覆うだけで簡単に捕まえられます。
モンシロチョウはキャベツや菜の花等のアブラナ科の植物を好みます。
ですから畑を重点的に探してください。
また菜の花は農道や田んぼ脇に植えられている事が多いので、そちらを探してみるのもいいかもしれません。
うんちく
モンシロチョウのちょっとしたうんちくを紹介しましょう。
モンシロチョウはどうやってオスとメスを見分けているの?
モンシロチョウのオスとメスはかなり似ているので、パッと見てもどちらか分かりません。
さぞかしモンシロチョウも見分けに苦労しているだろうと思いますが、とってもラクにオスとメスを見分けています。
実はモンシロチョウ同士では『オスは黒く、メスは白』と見えているのです。
詳しく説明すると紫外線が関係しており、オスの翅は紫外線を吸収するため黒く、メスの翅は紫外線を反射するため白くなっています。
ガの卵を選ばないようにするには?
モンシロチョウの幼虫だと思って飼育してきたのに成長するにつれて『ガ』だと判明する事はよくあります。
ガッカリしないようにモンシロチョウの卵を見付けてきましょう。
モンシロチョウの卵は光沢のある黄色で、とっくり型をしています。
それからモンシロチョウの卵は『葉の裏、一か所に一個』産み付けられています。
逆に一か所に複数卵が産み付けられている場合、それはガや他の虫の卵の可能性が高いです。
幼虫からウジ虫が出てきた…
昨日までは元気だったのに次の日になって幼虫から『黄色いウジ虫』が出てくる事があります。
その幼虫はモンシロチョウの天敵である『アオムシコマユバチ』です。
アオムシコマユバチはいわゆる寄生虫でして、親がサナギになる前の2~3齢の段階でモンシロチョウに寄生します。
想像しただけで気分が悪いですが、時限爆弾をセットされている感じですね。
夏に近付くにつれてアオムシコマユバチの活動が活発になるため、夏頃のモンシロチョウの幼虫には高確率で寄生されていると見なすべきでしょう。
飼育のために持ち帰る場合はアオムシコマユバチの活動が活発でない春先、または生みたての卵を選んでくださいね。
どうしてアオムシコマユバチはモンシロチョウの幼虫の居場所が分かるのか
しかし不思議なのがアオムシコマユバチが何故モンシロチョウの幼虫の居場所を知っているかです。
実はこれには深い理由があります。
まずモンシロチョウはキャベツ等に産卵します。
その後モンシロチョウの幼虫は孵化し、もりもりキャベツの葉っぱを食べて成長します。
しかしキャベツはこのままもりもりと食べられるのはイヤなので、『カイロモン』という化学物質を分泌。
このカイロモンは揮発性なので空気中にフワフワと拡散していきます。
それをアオムシコマユバチが嗅ぎつけて、匂いのする方向へ追跡。
こうしてモンシロチョウの幼虫がいるキャベツにたどり着きます。
その後、アオムシコマユバチは触角でポンポンとキャベツの葉っぱを叩き、モンシロチョウの幼虫がいる場所を察知。
見付けたら後は寄生して役目を終えるのです。
残酷かもしれませんが、これが自然界ので生存競争なのです。
アオムシコマユバチを非難したくなりますが、彼らも必死で生きています。
モンシロチョウがお尻を上げている理由
たまにお尻がすごい角度で上を向いている個体が見付かる事があります。
この体勢をするのはメスで、交尾拒否姿勢というメッセージを送っています。
モンシロチョウのメスは交尾を一回するとお尻を上げて『もう交尾をしません』という意思表明をします。
オスとしてはガッカリですが、このままここにいても意味がありませんし時間(寿命)を浪費してしまいます。
なので時間を浪費せずメスを探してください、という仕組みなのです。
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