刺されたら?クマバチの生態と毒性!飛行が苦手な蜂
2016/09/30
クマバチとはハチ目・ミツバチ科の昆虫です。
意外かもしれませんが、クマバチはミツバチ科の分類です。
よく『クマンバチ』とも呼ばれますが、その理由は方言や言いやすいからです。
ク(U)マ(A)バ(A)チ(I)だと母音がAAと続き、口を開け閉めしなければならず言いにくいです。
しかし、ク(U)マ(A)ン【N】バ(A)チ(I)となるとNで口を閉じて発音し、次のAで口を開けて発音するので言いやすくなります。
クマバチの生態と特徴
生息地
クマバチの生息地、見られる時期は次の様になっています。
- 地域:北海道、本州、四国、九州
- 場所:低山、平地、雑木林
- 時期:5月~10月
クマバチは北から南へと全国的に生息しています。
特に見られる時期は5月~10月となっており、初夏から秋にかけて見る事が出来ます。
特徴
クマバチには次の特徴があります。
- 体色は頭部と腹部が黒地、翅は褐色不透明(成虫)
- 体長は30mm程度(成虫)
- 体は全体的に大きく、細かな毛が全身生えている
- 腹部が球体状
- 翅は褐色で不透明
- オスには針がない
- オスには複眼の周辺に白い三角形がある
ずんぐりむっくりしたハチで、触ってみると毛でモコモコしています。
腹部が真ん丸なので、体が大きく見えてしまいます。
そしてオスの複眼の周辺には白い三角形があるのが分かります。
これはメスにはありませんので見分けに役立ちます。
この他には針があるのはメスのみと見分けやすい昆虫です。
餌
クマバチは主に花粉や花の蜜をエサにしています。
その容姿から他の昆虫類を襲っていそうですが、花粉を収集してお腹を満たしています。
よく見られるのはフジの花ですから、公園や近所のお宅で観察してみましょう。
天敵
クマバチの天敵は昆虫類、鳥類になります。
クマと名前にありますがずんぐりした体格は飛びにくくスピードが出ません。
そのため鳥等に捕食される事もあります。
また同じ目のスズメバチに襲われて団子にされたりも…。
飼い方
クマバチを次の飼育方法で飼育してみましょう。
クマバチの飼育は困難です。
ミツバチのような養蜂技術も確立されていませんので養蜂のプロでも難しいでしょう。
遠くから観察するのがお互いにとって幸せです。
捕獲方法
クマバチを次の捕獲方法で捕まえてみましょう。
使用する道具:網、帽子、長袖長ズボン
クマバチは他のハチよりもゆっくり飛びますから落ち着いて狙いを定めれば捕らえられるでしょう。
捕獲する際には長袖長ズボンや帽子を着用し、肌を露出させないようにします。
また暗色系の服装をしないでください、クマだと思って攻撃的になります。
人が死ぬような毒性はないと言われていますが、絶対ではありません。
注意点
クマバチについての注意点を紹介しましょう。
1、クマバチには毒がある?
人が死んでしまうような強い毒はありませんが、針が太いためとても痛いです。
症状としては強烈な痛みとボッコリと腫れる程度です。
温厚なのでわざわざ危害を加えたりしなければクマバチから襲ってきません。
ただしクマバチの『メス』は繁殖期や巣作りの際に刺してくる事がありますので注意。
オスは針を持っておらず、当然刺されたりしません。
2、クマバチに刺された時の対処法
もしクマバチに刺されたら落ち着いて対処します。
- 針が残っていたら手を振って落とします。※針を掴もうとすると却って刺さっていくので毛抜きで摘まむのが最適
- 針が抜けたら血を流すように皮膚を搾ります
- 血が流れたら流水で患部を流します
- 抗ヒスタミン系の薬を塗ります
- 病院へ行って処置を受けてください
慌ててしまいますが、さわがず、さわらず、すみやかに、の3Sを心掛けてください。
騒ぐとクマバチがさらに興奮しますし、触ると奥へ針が入って取れなくなってしまいます。
そして針によるハチの毒は体内に循環しやすいので速やかに薬を塗るか病院へ。
3、ハチに刺されないためにはどうしたらいいか
もちろんハチに接近しないに越した事はありません。
しかしあなたが何もしなくても、ハチから寄ってくる事があります。
もしそんな時にハチに刺されないようにするには『動かない』のが正解。
ハチは静止した対象には警戒はしますが、襲ってきません。
逆に動作した対象には躊躇なく毒針を突き刺してきます。
ですから深呼吸をしてパニックにならないよう、ジッと動かないでください。
その後ゆっくりハチから遠ざかりましょう。
4、クマンバチはクマバチではない?
クマバチをクマンバチと呼ぶのは方言だったり呼びやすいからだと冒頭で紹介しました。
しかし地域によっては『オオスズメバチ』をクマンバチと呼ぶ事もあります。
方言には気を付けましょう。
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うんちく
クマバチのちょっとしたうんちくを紹介しましょう。
もっとモコモコのハチがいる
クマバチには胸部や四肢に毛が生えており、モコモコしています。
しかしクマバチよりももっとモコモコしたハチもいます。
【オオマルハナバチ】
目科:ハチ目ミツバチ科
体色:褐色や黄色毛
特徴:翅は薄茶色の翅脈に半透明
メモ:温和な性格なので危害を加えなければ襲ってこない
セイヨウオオマルハナバチは外来種
【クロマルハナバチ】
目科:ハチ目ミツバチ科
オス体色・特徴:黄色毛、翅は横長、薄茶色の翅脈に半透明
メス体色・特徴:黒色毛にお尻は黄色毛、翅はやや丸、薄茶色の翅脈に半透明
メモ:温和な性格なので危害を加えなければ襲ってこない
果物の受粉に利用されており、数万円で売買されている
あっ、と気が付いた人がいるのではないでしょうか?
そうなんですモコモコして見えるハチは主にミツバチ科の仲間になります。
クマバチは黒色の体色が強烈な印象なので恐怖感を抱いてしまいがちです。
しかしオオマルハナバチやクロマルハナバチは鮮やかな黄色毛が生えておりメルヘンチックです。
どちらもぬいぐるみみたいにモコモコしており愛らしいです。
基本的に〇〇ハナバチという種類はモコモコしているので安全を確保しながら探してみてください。
クマバチって大きいって言われるけれど…
周りの人にクマバチの印象を尋ねると何人かの人から必ず『大きい』と返ってきます。
確かにクマバチは大きく見えますが、実際のところそれほど巨大ではありません。
クマバチ(30mm程度)よりも大きいハチはオオスズメバチ(35mm程度)やニホンキバチ(40mm程度)等がいます。
ただクマバチがデカく見えるのは横にボヨンと丸く、毛がフワッとしているからでしょう。
対して他のハチは空気抵抗を減らして飛行を速くするため流線型体型です。
人間に例えるならばお相撲体型と細マッチョ体型になります。
吸えぬなら・盗んでしまえ・クマンバチ
盗むだなんて物騒ですが、クマバチは『盗蜜』という行為を行います。
クマバチは体が大きいため、小さい花の中に蜜を吸いに入って行けません。
そこでアゴと口吻を駆使し花の根元に穴を開け、蜜だけを吸い取ってしまいます。
これを『盗蜜』と呼ぶのです。
クマバチにとっては蜜を吸えて満足ですが、花にとっては死活問題です。
花はハチによって花粉が運ばれ受粉する事で花を咲かせたり実を実らせたりします。
けれど盗蜜をされてしまっては花粉が運ばれず種の繁栄とならないので花は困ってしまいます。
~鳴かぬなら殺してしまえほととぎす~
~吸えぬなら盗んでしまえクマンバチ~
織田信長の詠んだ俳句ですが、クマバチの盗蜜はどこか似ている感じですね。
一匹で家造りから子育てまでこなすクマバチのメス
クマバチのメスは交尾が終わると、一人でせっせと産卵用の巣を作ります。
大アゴを使って木材や朽ち木を細長く切り開き、区切りごとに産卵するのです。
卵と一緒に花粉団子も詰めてやり、孵化後のエサとします。
冬が近くなるとメスは自分が作った巣に子供と一緒に入って越冬。
オスは一体どこに行ってしまったのでしょうか…?
クマバチのメスはかなり器用で頑張り屋さんですね。
ちなみにクマバチの英名は『carpenter bees』で直訳すると大工バチ。
さてクマバチ母さんが建てたマイホームからいつかは子供クマバチが巣立っていきます。
その後マイホームはもぬけの殻に…はなりません。
クマバチがまた戻ってそこで営巣するからです。
こうしてクマバチの巣は何世代にも渡って利用され続けます。
クマバチのオスは何でも追い掛けます
クマバチのオスは縄張り意識があり、進入してきた生き物を追い出してしまいます。
さらに繁殖期にはメスをブンブン追い掛けますが、この時うっかり他の生き物(トンボ、鳥)を追い掛ける事もあります。
近くに寄ってみて違うと分かれば「なんだ、メスじゃなかった」で追跡を止めます。
追い掛けると我を忘れてしまうのがクマバチのオスの性質なのかもしれません。
クマバチのハチミツはあるの?
ありません、クマバチは集団行動をしないので蜜が集まらないのです。
あのスズメバチですら集団行動をするのに…。
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