コミミズクの特徴と生態。ペットとして飼育できるか?
2016/11/03
日本には何種類もフクロウ(ミミズク)がいますが、みんな一年中同じ場所にいるようなイメージがあります。
コミミズクは日本のフクロウの中では珍しい、渡りをする鳥です。
コミミズクの生態
生息地
日本には冬鳥として、シベリアや中国から日本各地に飛来します。
非常に数が多く、絶滅の心配のない鳥とされていますが、沖縄への飛来数は少ない傾向があります。
世界的にも広く分布し、南北アメリカ大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸の北部、台湾、日本、西インド諸島、ハワイ諸島などの世界各国の群島に生息します。
オーストラリアとアフリカ南部を除けば、ほぼ世界を網羅したフクロウです。環境の良い場所なら一年じゅう留まりますが、高い緯度で暮らす個体は冬になると暖かい地域に渡りを行います。
地域により羽の色が若干異なり、10種類の亜種が確認されています。
特徴
体の大きさ
フクロウ科トラフズク属の鳥類です。
コミミズクという名前ですが体は大きく、くちばしの先からしっぽの先まで38.5cmあります。コミミズクのコ(小)というのは、頭に生えた耳のような羽毛(羽角)が小さいことから名付けられました。
体重は200~500gほどと、個体差や時期によって大きく異なります。
体の特徴
顔は白く、目は黄色で大変よく目立ちます。
お腹は白と茶色の縦斑、翼と尾は茶色とこげ茶の縦斑です。これは夕方の茂みに紛れるのに便利な色合いです。
比較的ありふれた鳥ですが、威風堂々とした姿は人気があり、バードウォッチャーにも人気のフクロウです。
鳴き声
鳴き声は「フ・フ・フ・フ・フ・フ・」と鳴きます。雌雄で鳴き交わしていることも。
見られる場所
水辺の草原、湿地などで生息します。農耕地や沼地、砂丘から廃れたゴルフ場など、様々な環境に適応できます。
地面に降りることが多く、杭など目立つところに留まることが多い鳥です。人の視線を集めてもあまり動じず、悠々としています。
群れをつくる
コミミズクの珍しい生態に「群で暮らす」ことが挙げられます。
猛禽は一羽か、つがいで暮らすのが一般的。餌の確保が難しいため、各自でなわばりを築き、個々で暮らすように進化しました。
コミミズクは越冬地で群れを作ることが知られています。7~10羽ほどの小集団を作り、ゆるい共同生活を送っているようです。
サシバのように、渡りの時だけ群を作る例はありますが、生活を共同で行う例はあまりありません。
コミミズクが世界中で繁栄しているのも、餌の乏しい冬に仲間と暮らして餌にありつく機会を増やしていることが考えられます。
繁殖地ではほかの猛禽と同様、単独かつがいで生息します。
夜行性だが昼間も見れる
フクロウは一般的に夜行性ですが、コミミズクは昼間でも活動することがあります。そのためバードウォッチャーにも人気のある野鳥です。
コミミズクが飛来した淀川などの河川敷には、ハリウッドスターを待つカメラマンのようにウォッチャーがたくさん集まっています。
食性および餌
草原や水辺などにたくさん生息するネズミが主なエサです。
アシ原などに好んで生息するハタネズミ、草原に隠れて暮らすハツカネズミなどの小動物を捕らえます。昆虫、カエル、小型鳥類なども好んで食べます。
獲物を捕まえてもその場では食べず、別の場所に移動してから食べる習性があります。
害獣のネズミをたくさん食べてくれるので、農地ではありがたい存在です。
天敵
地面にいることが多く、地面で狩りを行うため、ノネコ、イタチなどの脅威に晒されることがあります。
他の猛禽類と同様に、カラスに襲われることも度々あります。
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飼育について
日本で生息するコミミズクを捕まえて飼育することは、鳥獣保護法違反になります。無許可の保護でも懲罰対象になるので、厳に慎みましょう。
海外から正式な手続きを経て輸入されたコミミズクは、ペットとして飼うことができます。
しかし一般的にあまり流通していない鳥で、購入先も限られます。取り扱う業者はプロなので、エサの管理や飼育環境などの飼育方法を事前に確認しましょう。
全くの初心者がいきなり飼うのは避けるべきです。
注意点
バードウォッチ
バードウォッチャーに人気のある鳥ですが、コミミズクが昼間に狩りをしているのは、夜の間にエサが十分に確保できなかったからだと言われています。
ただでも飢え苦しんでいる時に、良い写真を撮りたいからと近づきすぎ、生息域を荒らすのは大きな問題です。
中には飛翔する写真を撮りたいという理由で、茂みで休んでいるコミミズクに投石する輩もいるようです。
このような非常識な行為は厳に慎み、もし見かけたら遠慮なく警察に通報しましょう。
保護した場合
冬鳥のため、日本の自然環境でひなを拾うことはありませんが、衰弱したコミミズクを発見することはあります。
猛禽なのでクチバシや爪が非常に鋭く、保護するだけでこちらが怪我をするおそれがあります。猛禽に慣れていなければ、気の毒ですが自然に任せたほうが無難でしょう。
もし保護できるなら保温を行い、すぐに県の環境保護課に連絡しましょう。休日でも担当者が控えていることもあるので、速やかに報告しましょう。
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