カマキリの生態と種類と飼育方法。寄生虫ハリガネムシとは
カマキリとはカマキリ目・カマキリ科の昆虫です。
逆三角形の顔に大きな目が特徴的で、カマを持ち上げて威嚇するなど好戦的な性格です。
日本には様々な種類がおり、夏季には元気な姿を見せてくれます。
カマキリの生態と特徴
生息地
- 地域:北海道、本州、四国、九州
- 場所:草むら、雑木林
- 時期:8月~10月
カマキリは北は北海道、南は九州まで生息しています。
過去カマキリ(オオカマキリ、チョウセンカマキリ)は北海道に生息していないとされてきました。
しかし近年は北上しているようで、北海道でも見られるようになりました。
ですから図鑑と現在の分布が異なる面もあります。
特に見られる時期は8月~10月となっており、夏から秋にかけて見る事が出来ます。
特徴
カマキリには次の特徴があります。
- 体色は黄緑色、褐色(成虫)
- 体長は60~100mm程度(成虫)
- 複眼は大きく飛び出ている
- 前足が太く発達し、鋭いトゲが生えている
- 複眼は環境にあわせて色が変わる
- おでこにある3つの点は単眼
- オスよりもメスの方が大きい
体色は必ずしも黄緑色とは決まっておらず、個体差があるので褐色が雑ざった個体もいます。
触ってみると前足は外骨格のおかげで頑丈であり、トゲも案外しっかりしています。
翅は前後それぞれで2枚ずつあり、後翅はやや大きく扇状に広がります。
翅の形状や体重が重い事から、カマキリは長距離を素早く連続して飛ぶ事が出来ません。
複眼が緑色と黒色の個体の違いとは?
またカマキリの複眼の色は明るい場所だと、緑色に小さな黒点の2色となります。
逆に暗い場所では黒色が一気に増加し、緑色が見られなくなります。
これは光の反射の割合が変化する事で起こるのです。
食性および餌
カマキリは肉食系で、バッタやチョウチョなどの生きた昆虫類を積極的に捕食しています。
お腹が重いため動作が緩慢に見受けられますが、捕食時の前足は素早く獲物をサッと捕らえます。
また餌が足りない場合は共食いをする可能性が高くなります。
さて捕食後は前足が獲物の体液で汚れてしまう事が珍しくありません。
餌の食べ終わりまで観察していると、カマキリは前足の掃除を始めます
口で前足に付着した残骸を丁寧に掃除し、体を清潔に保っています。
天敵
カマキリの天敵は昆虫類、鳥類、爬虫類、両生類になります。
アリ・ハチなどの昆虫類に群がられ、モズ・カラスに啄まれたら強いカマキリもおしまいです。
水辺ではカエルなどの両生類もおり、小柄なカマキリだと一飲みです。
それからハリガネムシという寄生虫もカマキリの天敵になります。
ハリガネムシは水棲生物なのですが、成虫になるためカマキリに寄生します。
ハリガネムシに寄生されているか確かめる方法
一見するとカマキリがハリガネムシに寄生されているかは分かりません。
そこでカマキリのお尻を水に浸してみてください。
もし寄生されていたらハリガネムシがカマキリの体を破り、水に向かってウヨウヨと出てくるでしょう。
もちろん寄生されたカマキリは命を落としてしまいます。
SPONSORED LINK
カマキリの飼育について
カマキリを次の飼育方法で飼育してみましょう。
飼い方
用意するもの
- 昆虫ケース
- 木の棒(細すぎない)
- バッタ、コオロギ(生き餌)
ポイント
カマキリは生き餌しか食べませんので飼育がやや難しい昆虫です。
昆虫ケースは側面を上にして、縦長になるようにします。
そして中には掴まるための木の棒を縦に置いて完成です。
生き餌を放してやるとジリジリと忍び寄り、素早い動作で捕食します。
餌の食べ残しは小まめに廃棄して、昆虫ケース内を清潔に保ちましょう。
捕獲方法
カマキリを次の捕獲方法で捕まえてみましょう。
使用する道具
- 網
- 軍手
カマキリを探すには公園や草むらなどへ足を運びましょう。
ケガ防止のために軍手を装着し、発見したら網をソッと被せてください。
カマキリの上手な掴み方
腹部と胴の境目付近を親指と中指で掴み、平たい背中に人差し指を添えると安定して掴めます。
人差し指を添えて固定しないと、重い腹部と前足の揺さぶりで掴みにくいです。
また頭部付近の胴を掴むと、伸ばした前足が指に引っ掛かりやすくなります。
前方向にしか伸びなさそうな前足ですが、反るので掴んだ指が引っ掛かってしまうのです。
日本にいるカマキリの見分け方
種類別、体の特徴
日本にはオオカマキリ以外も様々なカマキリが生息しています。
以下の特徴に当てはまらない場合はオオカマキリと考えてもよさそうです。
コカマキリ
- 地域:本州、四国、九州
- 体色:褐色、所々に黒斑(成虫)
- 体長:40mm程度(成虫)
- やや小柄
- 前足内側に白黒の模様を持つ
ハラビロカマキリ
- 地域:本州、四国、九州、南西諸島
- 体色:黄緑色、褐色
- 体長:50mm程度(成虫)
- やや丸みを帯びている
- 前足に白黄色のイボが3個並ぶ
- 左右翅の両端に白い点を持つ
チョウセンカマキリ
- 地域:北海道、本州、四国、九州、西南諸島
- 体色:緑色、背部や腹部に褐色
- 体長:80mm程度(成虫)
- 体型は細長い
- 両前足の間がオレンジ色(カマとカマの付け根部分)
体長を比較すると、オオカマキリ>チョウセンカマキリ>ハラビロカマキリ>コカマキリとなります。
(※個体差があります)
卵鞘(らんしょう)から分かるカマキリの種類
そしてカマキリは卵鞘(卵のかたまり)から、どの種類の卵なのかが判別出来ます。
- オオカマキリ…明褐色/やや丸い/木の枝にある
- コカマキリ …やや白い/楕円/卵鞘の片端が細い
- ハラビロカマキリ…褐色/底部にカーブがある
- チョウセンカマキリ…明褐色/楕円/一部が盛上っている
卵が孵化する前にカマキリの種類が卵鞘から分かるのは面白いですね。
様々な場所へカマキリの卵鞘を探しに行ってみてください。
カマキリに見られている気がするのは何故?
カマキリを観察していると、カマキリがこちら側をじっと見ているように感じられます。
これは『偽瞳孔』と呼ばれる現象が起きているからです。
複眼は複数筒状の個眼が集まっています。
人間がカマキリの視線と合っていると感じる時は、筒状の個眼の底まで見えています。
複眼には光を感じとる細胞があり、その細胞は光を吸収すると黒くなります。
そして個眼はたくさんありますから、複数底が見える個眼があるのです。
なので各方面から底(光を感じる細胞)が見られるから、カマキリと目が合っているように感じられます。
SPONSORED LINK
合わせて読みたい記事