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野鳥

カケスの生態。体の大きさや鳴き声、習性、種類などについて

2017/06/03

どこでもいるカラスを見て、(あれで綺麗な羽なら、ここまで嫌われることもないだろうに)と感じることはあるでしょうか。
カラスの仲間は真っ黒い羽のものが多いですが、中には白黒のもの、斑点があるものや、カラフルな色合いのものがいます。
カケスは、代表的な「カラフルなカラスの仲間」です。姿が美しく、しかも知能が高い鳥です。

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カケスの生態と特徴について

生息地

日本では九州(屋久島)より北の各地で暮らす留鳥です。
北の地域では夏鳥で、北で繁殖した個体は寒くなると南に渡ってきます。地元に食べ物が少なくなると、多くのカケスは南に移動します。

種類ごとの生息地

日本には3種類のカケスがいます。本州より南に分布するカケスと、北海道のミヤマカケス、奄美大島のルリカケスです。
ミヤマカケスはその名のとおり、奥深い森(ミヤマは「深山」と書きます)に生息します。カケスに比べて頭が茶色で、さらに綺麗な姿をしています。
奄美大島など離島の固有種、ルリカケスは絶滅危惧Ⅱ類に指定され、天然記念物にも指定されています。

絶滅危惧

ルリカケスは以前は絶滅の危機に瀕していました。しかし自然林の保護やマングースなど外敵を駆除することで、現在は回復傾向にあります。
離島の生態系は非常にもろく、一度絶滅の危機に瀕すると絶滅することも珍しくありません。ミヤマカケスは保護活動が実った好例です。
(現在もミヤマカケスは絶滅危惧Ⅱ種に分類されています)

見られる場所

春から秋にかけては、木がない市街地で見かけることはあまり多くありません。たいていの山や林、木が多い森林公園などに生息します。山沿いを歩くだけでカケスのにぎやかな声や姿が見られるでしょう。
冬になると、山で暮らしていたカケスが市街地にも降りてきます。エサ台にやって来ることもあります。

世界の分布

世界的にも分布が広く、ユーラシア大陸の中部~南部とアフリカ北部に広く生息します。
ギリシャ、ローマ時代からヨーロッパ人に広く知られた鳥で、ことわざや童話など様々な形で表現されています。

特徴

体の大きさ・特徴

カラス科カケス属の鳥です。カラスの仲間の中では体は小さく、ハトくらいの大きさです。
頭からしっぽの先まで33cmほど。
カケスは漢字で「懸巣」と書きます。高い木の枝に枝を組み合わせた巣をかけることから、この名が付けられました。江戸時代ごろからカケスの名が使われ、現在はこの名に統一しています。
平安時代には「カシドリ」と呼ばれていました。これはカケスがカシやナラの木の実、どんぐりを好んで食べることに由来します。

カラフルな羽で、頭から額にかけて白黒まらだ模様(ミヤマカケスは茶色)、喉は白く目の周囲と頬には太く黒いアイシャドウがあります。
背中と胸は葡萄色(オレンジと紫の中間くらいの色)や褐色、しっぽは黒です。翼の一部は青い部分、白い部分があります。
くちばしは濃い灰色で、ほかのカラスに比べて細くすっきりしています。これは昆虫やどんぐりを集めるのに都合がよい作りです。

貯食は森を広げる鳥

カラス科の鳥が行う「貯食」も行います。秋にどんぐりなど食料を貯め、地中などに埋めて保管します。
埋めたどんぐりの場所はすべて覚えていると言われていますが、冬の間に食べられなかった幸運なドングリは地中で芽吹き、やがて森を形成します。
カケスは森を広げる役目を担っています。

鳴き声

賢く、姿も美しいですが、鳴き声はあまり良くありません。ジャー、ジェーと仲間同士で鳴き交わし、敵を威嚇します。
騒々しい鳴き声で、英語では鳴き声に由来した「ジェー」と呼ばれます。
他の音の鳴き真似は巧く、うぐいすのさえずり、オオタカやクマタカなど猛禽類の鳴き真似、エンジン音など人間が発する音まで、ありとあらゆる音を上手に真似ます。

繁殖活動

繁殖は早い地域は3月下旬ごろ、一般的には4~6月ごろに行います。
アカマツやもみの木、アセビなど背が高く葉が繁る木の上に、枯れ枝を組んだ大きな巣を作ります。
カラスに比べて低い場所に巣をかけ、多くのカケスは3~5メートルほどの高さに巣をかけます。中には80cmほどの低い場所に巣を作るものもいます。
巣材の枝は地面から拾うだけでなく、生の枝をむしり取ることも多く見かけます。巣材を集めるのはつがいの片方で、あとの片方は追いかけるだけで熱心に巣作りをしないと言われています。

産卵~孵化~巣立ち

5個ほどの卵を産み、16~17日で孵化します。親に比べて雛は静かで、巣にいる間はほとんど声を上げません。これは外敵に狙われるのを極力防ぐためと考えられます。
雛の成長は早く、20日ほどで巣立ちを迎えます。しかしカケスは自立のために学ぶことが多いため、巣立ち後も1ヶ月以上は親とともに暮らし、生活の知恵を身につけていきます。
巣立ち後の雛はとても賑やかに鳴くようになり、エサをもらうときは大騒ぎになります。十分に学んだ若鳥たちはやがて親元を離れ、自立します。

繁殖に失敗したつがいは、6月ごろまでに巣作りを再開します。7月になると巣を作ることはなくなると言われています。

留鳥のはずが、秋の季語

留鳥ですが、俳句では秋の季語に分類されています。
カケスは状況変化に応じて一年中同じ場所に留まるか、渡りをするかを自分で判断する知能があります。
そのためエサが少ない年はエサが豊富な南に移動します。渡りをする個体は毎年大きく変化するので、地域によっては一年中ほとんど見かけないこともあります。
秋になると北から渡ってきたカケスが急に増えて目立つ地域もあるでしょう。俳句で秋の季語になるのは、これが原因かもしれません。

食性およびエサ

どんぐりを好む習性がありますが、一年中どんぐりを食べているわけではありません。むしろ、カケスにとってどんぐりは、秋から冬にかけて食べる非常食の役目があります。
昆虫類が主食で、機会があれば果実や種などを食べます。エナガなど小鳥の巣に頭を突っ込み、ヒナを食べてしまうこともあります。

カケスは他のカラスと同じく、貯食を行います。カラスの仲間は自分のなわばりに食べ物を隠す習性がありますが、食べ物の種類はカラスの種類によって異なります。
カケスはどんぐりの実をため込むことで有名です。
秋になると、森のあちこちにどんぐりや栗が成ります。これを片っ端から集めて、喉の奥にある袋に詰め込み採取します。そして地面や樹皮の間などに吐き戻し、埋めて保管します。これを冬の間、少しづつ消費して飢えから身を守ります。

何百もの場所に貯食を行いますが、カケスはすべて埋めた場所を暗記していると言われています。しかし、カケス自身が渡っていなくなったり、死亡したりなどで埋めたままになることも珍しくありません。
春になると難を逃れたドングリの実は芽を出し、成長します。森を広げる役目を担う動物は、カケスやリスなどがよく知られています。

カケスはどんぐりだけでなく、昆虫なども貯食します。
そして、どんぐりに比べて昆虫は腐敗しやすいエサです。
カケスは隠し場所だけでなく、なにを埋めたのかも記憶しています。この2つを貯食している場合は、昆虫を先に消費します。
ニコラ・クレイトンが飼育下のアメリカカケスやミヤマカケスに行った実験で、この優れた記憶力(エピソード記憶)が実証されました。

どんぐりや栗など、堅い殻の実を食べるときは両足ではさみ、くちばしでつついて中身を割って食べます。
カケスがどんぐりを丸飲みしているときは、他の安全な場所で食べるか貯食するときです。

天敵

成鳥はあまり多くの天敵はいませんが、ハイタカなど猛禽類が最大の天敵です。
ハイタカは枝だらけの森の中を自在に飛び回り、陰から不意打ちで襲ってきます。主に小鳥が狙われますが、カケスも狙われることがあります。
オオタカ、クマタカなど大型の獲物を襲う猛禽類もいます。カケスがこれらの猛禽類の鳴き真似をするのは、天敵を攪乱するためではないかと言われています。

卵やヒナは、他のカラス類も天敵になります。カラスにヒナを奪われることも珍しくありません。

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注意点

カケスは知能が高く、人間が多い地域では人慣れしやすい鳥です。
ハシブトガラスのように人間に巣を奪われることもないので、カラスほど人に敵意を向けないと言われています。
登山客が多い兵庫県の六甲山では、子育てシーズンですら人間が覗いても気にせず子育てしているほどです。
しかしこれは山に人が多い地域特有の事例です。春から夏にかけては、できるだけカケスに近寄らないようにしましょう。

冬に庭にエサ台を置くと、カケスがやってくることがあります。
姿が良いので歓迎したいところですが、カケスはエサ台のエサを独り占めしてしまい、他の鳥が寄りつかなくなります。
これでは野鳥観察にならないので、カケス対策をする必要があります。
小鳥しか潜れない籠にエサを入れておく、吊り下げたココナッツの殻の内側にラードを塗って木にぶら下げるなど、工夫をすることで小鳥にもエサを与えることができます。
体が重いカケスでは、ぶら下がったエサを食べることは難しいでしょう。

エピソード

カケスは賢い鳥ですが、人間には「ずる賢い」「間抜け」と揶揄されることがあります。
他のカケスが貯食したエサを盗んだり、小鳥のヒナを襲って食べたり、騒々しい鳴き声なのもあり、西洋では「(祭りなどではしゃぐ)騒々しい人」の暗喩に使われがちです。
「もの忘れが激しい人」という意味もありますが、これはカササギが埋めたどんぐりを忘れてしまう(ように見える)ことに由来します。日本でも同様の言い回しがあります。
姿が美しいわりには人間にあまり好かれない傾向がありますが、カケスをていねいに観察する機会がほとんどの方にないことが原因かもしれません。

カケスは森の情報を把握し、クマなどの猛獣やタカなど猛禽類が現れると騒ぎ立てて威嚇します。
カケスの動きを見れば、森で起こっていることがある程度把握できます。そのため「森の情報屋」「森の新聞屋」と呼ばれることもあります。
山に登るときは、カケスの声に気をつけていれば、クマの遭遇を避けられる可能性があります。

昭和のアニメ「山ねずみのロッキーチャック」には、カケスのサミーというキャラクターが登場します。サミーは情報屋としての特徴を発揮した悪役で、「ニュースだよ!ニュースだよ!」と騒ぎ立てます。
姿の美しさや能力の高さのわりには、あまり良いイメージがない鳥ですが、観察できる機会があれば、いかに賢い鳥か実感できます。

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