ちょっと毒あり、ジョロウグモのオモシロ生態。名前の由来など
2016/10/19
ジョロウグモはクモ目・ジョロウグモ科の虫です。
ジョロウグモは庭木があるお宅のお庭でよく見られる種類のクモです。
この他にはたまに自転車にクモの巣が付いていませんか?
もしかしたらそれはバルーニングで飛んできたジョロウグモかもしれません。
また分類上、脚が8本あることから厳密には昆虫ではなくクモ綱の虫となります。
生態
生息地
ジョロウグモの生息地、見られる時期は次の様になっています。
地域:本州、四国、九州、南西諸島
場所:庭先、雑木林
時期:9月~11月
基本的に寒冷な北海道を除いた全国各地域で生息しています。
秋頃から数が増加し、冬の11月にジョロウグモのメスは産卵して命を終えます。
秋の虫ですが夏にも庭先で見られる場合もあります。
特徴
ジョロウグモには次の特徴があります。
体色
- [成虫メス]全体的に黒地に黄色模様、腹部には赤色、背部には薄青色か黄色、手足は黒色と黄色の縞模様
- [成虫オス]褐色、脚には黒色と褐色の縞模様
- [幼虫]手足は暗褐色、腹部は薄赤色
オス・メスわかりやすい動画です↓↓
体長
- [成虫オス]15mm程度
- [成虫メス]40mm程度
特徴
- オスよりもメスの体長が大きい
- 毒はあるが非常に弱い
- 成虫は越冬できないが卵は卵のうの状態で越冬する
- 目の細かい馬蹄型のクモの巣を張る
- 脇から見た巣は3重に見え、金色の糸を分泌する
- 腹部は楕円型
まずジョロウグモはどこにでも生息しており、体長が大きいのがメスで小さいのがオスになります。
ですから交尾をする際に運が悪いとオスはメスに食べられてしまうのです。
オスはメスが餌に気を取られている間に交尾を試み、終了後はすぐに脱出するなど大変そうです。
またメスの作った巣の端に控えながら交尾のチャンスを窺う複数のオスもいます。
それから毒はありますが、特に人体には影響がない程度です。
なのでみだりに心配する必要はないでしょう。
日本においては噛まれると健康被害が及ぶ毒グモはほんの一握りです。
卵のうの状態では越冬ができますが、成虫は残念ながら死んでしまいます。
越冬した卵のうからは翌年の春先頃に幼虫が続々と出てきます。
不思議ですが、横から巣を観察すると3重に見えるのもジョロウグモならではの糸の張り方です。
さらに成熟するにつれて糸が金色に見えていきます。
黄色という表現が正しいのかもしれませんが、光の当たり具合では金色に見えます。
エサ
ジョロウグモは成虫も幼虫も自身で作った巣にかかったハムシやチョウチョを餌にしています。
目が細かい巣を作りますので、ハエなどの小さい昆虫がくっつきやすいです。
糸に獲物が引っ掛かったらジョロウグモがすかさず毒を注入し、弱らせてからモグモグ食べます。
すぐ食べたらお腹が空いてるのでしょうし、放っているのであればまだ余裕があるのかもしれません。
虫を捕らえてジョロウグモの巣に付着させ、捕食の様子を観察してみてはいかがでしょうか?
天敵
ジョロウグモの天敵は昆虫類、爬虫類、両生類、鳥類になります。
黒色や黄色の警告色で威嚇するものの、スズメやカラスやスズメバチに捕食されてしまいます。
また糸を空中に張って生活するクモは、地上では脚が遅い場合が多いです。
なので万が一地上に落ちてしまってアリやカマキリなどに発見されると、すぐに捕食されてしまいます。
この他には足の速いトカゲもいるので、できるだけクモの巣から落ちないようにしています。
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飼育について
ジョロウグモを次の飼育方法で飼育してみましょう。
飼育環境
必要な道具
- 昆虫ケース、段ボール
- 木の枝
- ハエ、ハムシ
飼育に適した場所と気温
- 直射日光の当たらない日陰
- 気温は25度前後
ポイント
まずジョロウグモが巣を張れるように昆虫ケースに木の枝を何本か立てましょう。
ジョロウグモのサイズに応じて木の枝を立てる間隔を調整してあげると営巣しやすくなります。
巣が完成したらハムシなどの小昆虫類を昆虫ケース内に放せば完成です。
縦長の昆虫ケースがない場合には段ボールで代用してもいいでしょう。
オスメスがうまく交尾をすると秋頃にメスが産卵します。
白い巣のようなものがあれば、それはジョロウグモの卵のうです。
その中には真っ赤な卵が多数入っており、春先5月頃に孵化します。
捕獲採集方法
ジョロウグモを次の捕獲方法で捕獲してみましょう。
使用する道具
- 網
- 棒
- 軍手
ポイント
まずジョロウグモを見付けたら網で捕まえます。
または棒でクモの巣を綿あめのように巻きながら、ジョロウグモを手繰り寄せる方法もあります。
毒はありますが微弱ですので素手でも構いませんが、念のため軍手をはめて接触しましょう。
虫が多く生息している雑木林では大型の個体がいるかもしれませんので、足を伸ばしてみてください。
注意点
ジョロウグモに関しての注意点を集めました。
ジョロウグモの毒はどのようなものか?
まず人間に対しては微弱なため、噛まれても問題はありません。
しかし昆虫に対してはそうではなく、筋肉を麻痺させる働きがあります。
こうして神経性の毒を注入し、動きを悪くさせてから捕食をスムーズに行うのです。
さてジョロウグモが有する毒は『JSTX-3』というものです。
興奮作用のある神経伝達物質であるグルタミン酸の働きを鈍らせる効果があります。
JSTX-3ですが現在製薬メーカーや研究所が人間への薬として役立てられないかと研究をしています。
ジョロウグモを増やさない方法
庭に出るとクモの巣があって邪魔、日没後に引っ掛かったなど気分が悪くなることもあります。
以下の2点の対策をすると、ジョロウグモがこれ以上増えないかもしれません。
- 庭木を整理する
- 昆虫を駆除する
まずジョロウグモは必ず巣を張って獲物を捕食します。
つまり生存するには、巣を張るためのポイントが必要となるのです。
ですから庭木が密集していたら糸を張れないようそれぞれ剪定し、木の間隔を広げます。
するとジョロウグモは糸を張れませんから、他の場所に移動していきます。
もちろん庭木に限定されず、自転車や物置小屋の配置も同様です。
都会では庭木が少ないため、自転車のブレーキ部分やクルマのミラー部分にジョロウグモが目を付けています。
それから昆虫を駆除することも大切です。
ジョロウグモは昆虫を捕食しています。
つまりジョロウグモがいるということは、それだけその場所に獲物となる昆虫が多いことを示します。
ですから昆虫を駆除してしまえば、ジョロウグモは餌を求めてよそへと移動するしかありません。
コラム
ジョロウグモのちょっとしたコラムを紹介しましょう。
ジョロウグモは騙されない!
ちょっと人間がジョロウグモの巣を指で揺らしてみると、ジョロウグモは驚いて端の方へ逃げてしまいます。
逆にコバエやハムシなどの獲物がかかると、すぐさまジョロウグモが寄ってきてあっという間に喰いつきます。
実はジョロウグモは糸から伝わる振動により何が巣にかかったか、どのような状態かを判断することができるんですね。
ですから人間がジョロウグモを騙そうと無遠慮に糸を揺らしても、うそだと分かっているので全く寄ってこないのです。
この様子からジョロウグモは振動などを感知する能力に優れていると言えるでしょう。
面白い実験ですが、巣を壊されたりからかわれるのは可哀想なのでほどほどにしてください。
クモの巣に獲物がかかる割合は人間が思うよりもはるかに少なく、ジョロウグモはいつもお腹を空かせています。
そっとしておきましょう。
いつの間にかイメージが悪くなったジョロウグモ…
ジョロウグモのイメージを他の人に訊ねると、男性を誑かす女性・悪女という答えが返ってきます。
さてジョロウグモを漢字表記にすると女郎蜘蛛となります。
辞書を引いてみると女郎とは遊女という意味を持ち、人々がジョロウグモに抱くイメージと合致します。
しかし辞書には『上臈蜘蛛』という表記も載っています。
実は元々の表記には女郎蜘蛛だけではなく上臈蜘蛛というものもありました。
こちらの由来は昔の人が色とりどりの色をまとうジョロウグモを見て、身分の高い上臈(じょうろう)と例えたことに因んでいます。
上臈とは身分の高い女性という意味があるのです。
しかし月日が経ち、いつの間にか良い意味の上臈は立ち消え、悪い意味の女郎という表記が固定されてしまいました。
言葉の変化についての理由はハッキリしませんが、もしかしたら一つの巣にオスが多数存在している様子や、グロテスクな容姿が影響しているのかもしれません。
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