イワシの生態や特徴について
2016/09/27
マイワシといえば、かつては呆れるほど水揚げされたのに、最近はめっきり漁獲量が減ってしまった魚として有名です。
スーパーで見たマイワシの値段の違いに、「どうして!?」となった人もいるのではないでしょうか。
実は、マイワシのように表層を回遊する「浮魚」類は大規模な資源変動をすることでも知られています。
生態
生息地・分布、種類について
日本近海のマイワシは、九州南部から北海道の太平洋。日本海沿岸までほぼ全域に、国外ではロシアの樺太、中国近海の南シナ海にも分布しています。
マイワシの仲間は外洋ではなく沿岸域に生息しており、日本周辺、ヨーロッパから地中海、北アフリカ、南アフリカ、オーストラリア・ニュージーランド、北米の太平洋岸、南米の太平洋岸の5海域に5種がそれぞれ分布しています。
ただしこの分類には諸説あります。遺伝子解析の結果、これらの海域の仲間はすべてヨーロッパを起源としているとされ、それぞれを1種にまとめ、南アフリカ‐オーストラリア、チリ‐カリフォルニア、日本近海の3亜種にするのが妥当であると主張する科学者もいます。
日本のマイワシは、産卵場や回遊状況をふまえ、太平洋(関東‐紀伊半島)、足摺(瀬戸内海および四国沖)、九州(九州西岸‐山陰沖)、日本海(日本海沿海)の4つのグループに分けることができます。
体の特徴
マイワシは全長30センチほどに成長しますが、大半は20センチほどです。
成魚だけでなく、「シラス」として利用されるため、幼魚も水産上大変重要です。
マイワシは別名「ナナツボシ」とも呼ばれ、体側に7つの斑点があります。ただし、子の斑点は1列ではなく2列のもの、濃いものと薄いもの、などのように個体差があります。
カタクチイワシやウルメイワシに比べて、体の断面が平たいことでも区別できます。
鱗は薄くはがれやすいので、調理する際は簡単に掌についてしまいます。
食性・餌、天敵
マイワシの餌は珪藻などの植物プランクトンです。
マイワシは大群をなして沿岸を回遊する習性を持ち、大きく口を開けながら泳いで海水からプランクトンをこしとります。このときに役立つのが、鰓蓋をあけると見える「サイハ」と呼ばれる器官で、櫛状になっているため細かいプランクトンをこすのに適しています。
一方、天敵となるのはアジ、サバ、カツオ、マグロ、サメのような魚食性魚類、サメ、水鳥、イカなど広範囲に及びます。
これは、マイワシが食物連鎖の下位に位置するため、上位の捕食者が多いことが理由です。
ある意味、マイワシは海の食物連鎖を支えているともいえます。
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飼育
マサバと同じく回遊性の魚類のため、マイワシは飼育には非常に不向きな魚です。
なにせ、家庭とは異なり大規模かつ最新鋭の飼育設備を備える水族館ですら飼育が困難と来ています。
というのは、イワシがもともと移動に弱いからです。漢字では「魚へんに弱いと書いて鰯」とよむイワシですが、漁獲してから水族館の水槽に運ぶまでが至難の業、大半がすっかり弱ってしまうそうです。
ですので、どうしても過程で飼育したい、という場合にはどれだけ運搬中に弱らせないかがキモとなります。
飼育環境について
水槽は大きめのもの、最低でも90センチ水槽を用意しましょう。設備としては、エアレーション、フィルター、底にしく砂、水温計、蓋、ライトなどが必要です。
釣り・採集について
採集するには、サビキの仕掛けがお勧めです。
マイワシの口はデリケートなので、針を外す際には注意します。
針はあらかじめカエシをつぶしておき、かかったマイワシの針をペンチなどで返し、魚体に触れずにバケツにいれましょう。
鱗がはがれると感染症になりやすくなるので、十二分に注意します。運搬の注意点はマサバと同じですが、マイワシは輪をかけて繊細です。
家を出るとすぐに釣り場、といった環境以外では飼育をあきらめるのが無難です。
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