ヒイラギ(魚)の生態と特徴。釣り~飼育、食べ方など
2016/10/04
「イワシの頭にヒイラギ」は節分の魔よけとして有名ですし、リースにも使われるため植物の「ヒイラギ」を知らないという人はあまりいないと思います。
実は、植物ではなく動物にも「ヒイラギ」という名前のものがいます。内湾や汽水域に入ってくる小型の淡水魚で、釣りの外道として有名です。
ぬるぬるとした粘液に覆われるため敬遠されがちなこの魚、ぶつ切りにして味噌汁に入れると淡泊でおいしい魚でもあります。小骨が多いので、丸ごとから揚げなどにしてもよいでしょう。
ヒイラギの生態と特徴について
生息地
ヒイラギは東アジア一帯の温帯を中心に生息し、国内では中部以南の西日本、国外では朝鮮半島、東シナ海、台湾にも分布しています。沖縄県では本島でのみ記録されています。
特徴
体長は最大でも15センチほどと比較的小型の海水魚です。体は左右に押しつぶされており楕円形で、植物のヒイラギとは違い体表にトゲはありません。
ただし、背鰭のトゲは鋭いことで有名です。ぬるぬるしているのでつかみにくく、おまけに背鰭のトゲが刺さると痛いという、なんとも釣り人泣かせな魚でもあります。体色は銀白色で、背中側に薄い黒色の斑紋があります。
引きも強くなく小型のため、再三言いますが釣りの人気は高くありません。しかしながら、フナのように口を伸ばすことができる、光るというなかなかに面白い生態を持っています。
食性、餌
ヒイラギは肉食性で、ゴカイの仲間や小型の甲殻類を餌としています。
このような餌は基本的に水底にいるため、ヒイラギではこれらを採りやすくなるように口を進化させました。
餌を見つけたヒイラギは口を筒のように伸ばして餌を囲い込み、掃除機のように吸い込んで捕食するというユニークな方法を編み出したのです。
また、喉の奥にある「咽頭歯」を上下にこすり合わせることで音を出すこともできますし、食道内に発行性のバクテリアを共生させています。このため、ヒイラギは暗い所で光ることができるのです。
天敵
ヒイラギの天敵はスズキのような大型の肉食魚のほか、水鳥が知られています。
背鰭のトゲが発達しているのは、鰭を広げて天敵に飲み込まれにくくするのに役立っているのでは、とされています。しかしスズキは1メートル近くと大型に成長する魚なので、ともすると丸呑みにされてしまいそうですね。
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飼育について
水槽
このように、生態的にきわめて面白い性質を持つヒイラギですが、飼育はなかなかに大変です。用意する設備はガラスまたはアクリル水槽、浄化槽、エアレーション、人工海水、ヒーター、底に敷く砂利などあまり特別なものは必要ありません。また、小型の魚なので水槽は45から60センチのもので十分です。
採集(釣り)
大変なのは、ヒイラギを採集することです。面白い魚ですがいかんせん極彩色の熱帯魚と比べると「地味な」見た目のためか、ペットショップで見かけることはほとんどありません。
そのため、飼育したいのならば釣りが中心になりますが問題なのはその方法です。
ヒイラギは皮膚がとても薄く、少しの刺激ではがれてしまい、そこから細菌が侵入して弱ってしまうという厄介な魚なのです。
また、釣ってバケツの中に入れている間に大量の粘液を出すので、バケツの水がすぐに汚くなってしまいます。
採集の際に気を付けることは、釣り針のカエシをつぶしておくこと、針を外すときは魚体に触れず、針の部分をひっくり返して対処すること、バケツの水はこまめに換え、汚れた水のまま放置しないことです。
これらに加え、エアレーションをきつめに行っておく、バケツの水の温度を下げるため氷や保冷材を使うのもおすすめです。特に水温を下げると魚は動きが鈍くなるので、疲れさせないためには良策となります。
注意
注意することは、釣った後に触るときに背鰭のとげが手に刺さらないようにすることです。毒はないものの棘はとても鋭く、痛みが続くのでギュッとにぎるのは避けるのが無難です。
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