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ハシブトガラスの生態。ハシボソとの違い、対策(撃退・駆除など)について

2016/12/18

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東京など都会を中心に暮らす、日本では最も賢く、厄介な面もある野鳥です。
日本には人間の近くで暮らすカラスは2種類あり、中でもハシブトガラスは都会を中心に分布しています。
知能は鳥類の中でもトップクラス。様々な生活の知恵を駆使し、遊ぶことが大好きです。
「遊び」を楽しむというのは生活の余裕と知性がなければ成り立ちません。カラスはそれができる数少ない鳥類です。
厄介ながらも愛らしい隣人、ハシブトガラスは知られていないこともたくさんあります。

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ハシブトガラスの生態と特徴

分布

日本では、小笠原諸島を除く各地に分布しています。
都市を中心に、低地から亜高山まで広範囲な場所で暮らす留鳥です。
日本には4つの亜種があり、北海道~九州のハシブトガラス、対馬のチョウセンハシブトガラス、沖縄の奄美群島より南のリュウキュウハシブトガラス、八重山列島のオサハシブトガラスがいます。
いずれも、ハシブトガラスより少し小柄です。

世界的にはユーラシア大陸の東部から東南アジア諸国に分布します。森林性の鳥なので、森深い東南アジアのジャングルなどは絶好の住処です。

体の特徴

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スズメ目カラス科カラス族の鳥です。
全身真っ黒で、瞳も脚も黒いのが特徴です。幼鳥は瞳が青く、羽の色もよく見ると濃い青紫色です。
くちばしの先からしっぽの先まで56cm、翼を広げると1メートルに達します。日本の野鳥の中でも大きな鳥で、これほどの巨体が集団で暮らせるほど餌や巣材に困らないという証左です。

ハシボソガラスとの違い

よく対比されるハシボソガラスとは、一見すると区別がつきません。しかし、ポイントを押さえるとすぐに見分けがつきます。
・ハシブトガラスのほうが、少し大きめ
・くちばしが太く長め
・額がこんもりと盛っている(ハシボソガラスは、カササギや九官鳥のような流線型)
・鳴き声が「カー、カー、」と澄んだ声
・鳴くときは、のどを膨らませながら鳴く(ハシボソガラスは垂直に止まり、力を込めて鳴く)

※ハシブトガラス↓額に注目

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特に、こんもりした額はよく目立ちます。
一般的に都会で暮らす鳥ですが、農地などにも暮らし、ハシボソガラスと同じ場所にいることも珍しくありません。特に、森の深い地域ではハシブトガラスはよく見られます。

※ハシボソガラス↓額から頭部にかけてなめらか

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生息地

ハシブトガラスは英名で「ジャングルクロウ」と呼びます。その名のとおり、本来は深い森に暮らす鳥です。
彼らは高い木に止まり、優れた視力で隠れた餌や獲物を探します。巣も高い場所に作ります。
この環境は、森が都会化した後にも維持されました。大木は電柱やビルに、餌はまばらに散る動物の死骸からゴミ箱に変化しましたが、彼らにとっては昔ながらの習性をそのまま維持できました。
そのため、都会を中心に急速に数を増やしています。

寿命

ハシブトガラスの寿命は、野生下では約10年ほど、飼育下では20年ほどです。

優れた知能をもつ

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多彩な遊び方

鳥類の中でもずば抜けて高い頭脳の持ち主で、カラスの知能は三歳児並み、幼稚園児並みと言われることもあります。
遊ぶ姿はまさに小学生男児のようで、雪の中にわざと埋もれて遊んだり、屋根や車のフロントガラスで滑って遊び、枝を落として急降下し、地面に落ちる前に拾い、得意げにしています。
猛禽類の真似ごとのように地面に急降下したり、乱気流が吹き荒れるビルの間に翼を広げ、不安定さを楽しんだり、数え切れないほど多彩な遊びをします。

言葉も覚えるほどの記憶力

拾った餌を貯蔵する数百カ所の場所をすべて把握し、しかも腐敗しやすいものから消費します。
集団で猛禽類を追い払い、ごみ箱をひっくり返して餌を漁ります。縄張りの中の情報はすべて把握し、花の開花や果樹が実る時期、野良猫の出産時期や小鳥の巣立ち時期まで把握しています。
カラスはその地域ごとに方言があり、群の中で会話しています。ある地域のカラスを別の場所に移すと言葉が通じず、ノイローゼを起こすこともあると言われています。
そのため、人間に飼われたカラスは人の言葉を覚え、九官鳥のように喋ることもできます。その仕草はとてもかわいいと評判で、終生の良き伴侶になります。

集団でさらに強さを発揮

集団で行動しますが厳密な序列はなく、リーダーもいません。一見すると「烏合の衆」ですが、一羽一羽が賢く、自分の判断力で行動します。
ハシブトガラスは一羽でもかなり強い鳥ですが、集団になると自然界ではほぼ無敵です。
一対一なら決して勝てない猛禽類も、集団なら怖くありません。襲って餌を奪い取ったり、ひなを襲って将来の驚異を消そうとします。
もっとも、深入りしすぎて猛禽類に逆襲されるカラスもいます。カラスに迫害されて激怒したオオタカの若鳥が、カラスを食べることを覚えてしまうこともあります。

食性およびエサ

雑食性で、ハシボソガラスに比べると肉食を好む傾向があります。
くちばしも強く、肉を引っ張って食いちぎります。
あまり地面に長く滞在せず、エサを拾ったらすぐに飛び立ちます。上空や建物の上から獲物を補足し、襲い掛かります。

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エピソード

東京で激増したハシブトガラスの順応力

ハシブトガラスは、本来は深い森に暮らす野鳥でした。東京のある一体は、もとは原生林に覆われていました。
東京の地名を見ると、かつては自然豊かな場所だった名残があります。渋谷は渋い谷=人里離れた谷という意味です。
江戸時代からの開拓で森は人里になり、やがて都市になりました。その課程で多くの生物は山地などに追いやられましたが、ハシブトガラスは真っ先に対応できました。

東京都は皇居をはじめ、緑地が多く残る都市でもあります。
全く緑のない地域よりも、わずかでも森が深い場所が残っている場所のほうがより多くのハシブトガラスが暮らすことができます。
東京都は長らく、ハシブトガラスの被害に苦しんでいました。2001年からカラス対策プロジェクトが発足、罠を仕掛けたり巣を撤去するなどの対策を施した結果、一時期は3万羽以上いたカラスを1万羽強ほどまで減らすことに成功しました。
都民も生ゴミを荒らされないように工夫し、繁華街でもカラスが活動しない夜間にごみ回収を行うなど、行政と都民が協力したのも結果に結びつきました。

ハシブトガラスの神話、ヤタガラス

ハシブトガラスの神話で最も有名なのは、熊野に伝わる三本足のカラス、ヤタガラス(八咫烏)でしょう。
神武天皇が熊野の深い森で道に迷ったとき、タカミムスビという神がヤタガラスを遣わし、道案内をした話が特に有名です。
もとは三本足ではなくふつうのカラスの姿をしていましたが、平安中期ごろに古代中国の三本足の霊鳥が伝わり、現在の形になりました。

ヤタガラスは太陽の化身とも言われています。古代中国や古代ギリシャ神話でも太陽神のお使いとされ、類似点が指摘されています。
現在は日本サッカー協会のシンボルマークで大変有名になりました。
軍の意匠にも使われ、戦前には鷲や鳶などと並んで広く用いられていました。戦前から偵察部隊に好んで用いられ、現在は陸上自衛隊中央情報隊や、中部地方情報隊の部隊マークに採用されています。
カラスが世間を見聞きして神様に伝える神話は各地にあるため、偵察部隊にはぴったりの霊鳥です。

人間とカラス

子育てシーズンには非常に攻撃的になり、人間が巣に近づくだけで襲ってくることも。頭を攻撃され流血することもあるので、非常に危険です。
一方で愛嬌があり、公園で食事をしていると、目の前にやって来て首をかしげてねだったり、どんぐりを人間の前に持ってきて、踏んで割ることを依頼することも。
人間にカメラを向けられると、持っていた餌を分けてくれるような仕草を見せた写真がネット上で人気です。
人間に近いところで生きる野鳥なので、エピソードには事欠きません。

保護した時は

初夏はハシブトガラスの巣立ちシーズンです。
カラスの赤ちゃんや巣立ち雛に遭遇しやすい時期でもあります。
地面に落ちた雛を守るために両親が必死に外敵(人間)を追い払うこともあります。もし雛を助けたいときは完全に防備した上で木の枝などに止まらせてやりましょう。

大変よく人慣れする鳥ですが、一般的に害鳥とされ、狩猟対象にもなる鳥です。しかも野鳥なので勝手に飼うこともできません。カラスの飼育や餌付けはお勧めできません。
餌付けしたばかりにカラスが人間に慣れてしまい、エサ欲しさに迫ったり襲ったりすることもあります。安易な餌付けは辞めましょう。

カラス被害と撃退法

ハシブトガラスは都市部で数が多く、様々な問題を引き起こします。
ゴミを散らかす、騒音やフン害、農作物を荒らすことは有名ですが、ほかの野生動物の子供を襲うことが知られています。
野鳥の雛はもちろん、上野動物園ではアヒルやプレーリードッグの子供まで被害に遭い、フェンスやワイヤーなどで動物を保護しています。野外飼育のペットも同様の被害をこうむるおそれがあります。
プランターで栽培していた野菜を食い荒らす被害も報告されています。

人間が持っている食べ物を奪うこともあります。公園やスーパーの前などで被害に遭いやすいので、カラス注意の看板がある場所では食べ物を見せないようにしましょう。
スーパーなどでもらう袋は透明で目立つので、中身が見えないエコバッグを使うことがお勧めです。
子供には、できるだけ食べ歩きさせないようにしましょう。

カラスの撃退や駆除は都市、地方に関係なく大きな問題です。カラス駆除のための罠には若いカラスしか引っかからず、成鳥はまず捕獲できません。
カラス撃退法は一筋縄ではいきませんが、様々な方法を併用して「カラスを慣れさせない」ことが大切です。
地方なら発砲音などを出して追い出すこともできますが、都会ではそうもいきません。そのため、レーザーポインタなどで驚かせます。
緑色の光を出すレーザーポインタを向けると、非常に驚いて逃げまどいます。これを根気よく行えば、周辺のカラスを威圧することができるかもしれません。

最近では、鷹匠がカラス撃退に駆り出されることもあります。ただ周辺に猛禽類を飛行させるだけでも、カラスにとっては威圧になります。
ただ、若い鷹を使うとカラスに舐められて攻撃されてしまうこともあるそうです。鷹も逆襲されるリスクがあるため、熟練した鷹匠と鷹でなければ危険を伴います。
鷹の訓練中に、カラスが物陰でじっと見張っていることもあります。

最大のカラス撃退法は、生ごみを食べさせないことです。きちんと町ぐるみでゴミの管理を行い、ゴミ袋に網などを被せてカラスにつつかれないようにしましょう。

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