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ゴジュウカラの生態と特徴について

森や林で木の幹を自由に駆け回る小鳥がいたら、それはゴジュウカラかもしれません。
ゴジュウカラは目立たない小鳥ですが「木の幹で頭を下に向けて歩く」という珍しい習性があります。日本の鳥でこのような特殊な歩き方ができるのはゴジュウカラだけです。

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ゴジュウカラの生態

分布

ヨーロッパ諸国~ロシアまでユーラシア大陸の温帯~亜寒帯に広く分布します。スイスのような山岳地帯には基本的に住まず、比較的温帯を好みます。
留鳥であまり遠い場所には移動せず、一年中ほぼ同じ場所で暮らします。
日本には3種類の亜種がいます。北海道亜種のシロハラゴジュウカラは本州のものよりお腹が白くオレンジ色の部分がありません。本州のゴジュウカラ、九州に分布するキュウシュウゴジュウカラはあまり外見上の区別はできません。
日本でも留鳥ですが山岳地帯で繁殖することもあり、山生まれのゴジュウカラは冬になると里山や低い場所に移動します。

特徴

スズメ目スズメ亜目ゴジュウカラ属です。
くちばしの先からしっぽの先まで13.5cmと日本の鳥類の中でもかなり小さな小鳥です。
くちばしの根本から耳の後ろあたりまでに細い過眼線(目を覆う黒い帯)が伸び、背中は渋めの青混じりの灰色です。目の上には白い眉のような羽があります。
のどからお腹の上にかけては白く、足のあたりは橙色です。足は短いですが指が長く、強い爪でガッチリと幹を支えて歩きます。
ゴジュウカラのように幹に下向きの姿勢に止まることができる鳥は他にもいますが、下向きに歩くことができるのはゴジュウカラだけです。体の軽さと足指の強さ、絶妙なバランス感覚でこの独特の移動を行います。
木の幹を縦横無尽にぴょんぴょん飛び跳ねながら移動します。
バードウォッチングでは「背中が青くて幹に逆さまに歩いてる鳥がいたらゴジュウカラ」と気づくので比較的判別しやすい小鳥です。ゴジュウカラの画像や写真でも逆さまに幹に止まっている姿がよく撮影されています。

知能が高い鳥でヤマガラなどと同じく「貯食」をする習性があります。秋になると山ほど落ちている松の実を拾っては木の幹の皮に埋め、エサに乏しい冬に備えます。翌年の春まで残っていることもあり回収するころには芽が出ていることもあります。
貯食した木の実はすべて回収されないこともあり、森の形成に役立っていると考えられます。

小さな体なのに気性は荒く、自分の何倍もある大型キツツキのクマゲラ相手に執拗に騒ぎ立てて堀りかけの巣穴を奪うこともあります。
ゴジュウカラは木の幹に生活を依存する野鳥です。巣も木の洞やキツツキの古巣を利用し、天敵やライバルに潜り込まれないように泥で入り口を狭めて固めます。泥は巣の内壁や隙間にも塗られ、木の皮を敷いて産卵に備えます。
人間が設置した巣箱も利用することがあります。

3~6月ごろに繁殖期を迎えます。雌雄でなわばりを構え、5~7個の卵を産みます。雌だけが卵を温め18~20日で孵化します。
小鳥のわりには育児に時間がかかり、孵化してから20~25日で巣立ちを迎えます。
繁殖期が終わると他の小鳥と混群を作ることもあります。エナガやシジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、ヒガラ、メジロ、キクイタダキなどとともに暮らし、他の鳥に邪魔されにくい木の幹でエサを取りながら共通の天敵に備えます。

エサ

雑食で季節に合わせてエサを変えます。
春から夏は昆虫や節足動物が主なエサです。虫はヒナを育てるにも格好のエサで、木の皮に潜む虫をほじくり返して食べます。
秋から冬には果実や松の実、種なども好んで食べます。虫が乏しくなる冬には植物性のエサが多くなります。
ゴジュウカラのくちばしは細長く、木の皮をめくって虫を捕まえやすい構造をしています。

バードテーブルのエサに寄ったり、冬に人間が手から与えるピーナツなどに寄ってくることもあります。
他の鳥や仲間を蹴散らしてエサを独占することもあります。
ゴジュウカラの鳴き声は「フィフィフィ」と口笛のように聞こえます。「ピピピピィ」や「フィーフィーフィー」と大きな声で鳴くこともあります。

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エピソード

ゴジュウカラの名前の由来は諸説ありますが「老人」という意味があります。
江戸時代は人生50年が基本で50代は老齢と考えられていました。ゴジュウカラの背中の灰色が老人のように見えることからゴジュウカラと呼ばれたと言われています。

他にも「シジュウカラによく似た鳥」という意味で名付けられたという説もあります。江戸時代には望遠鏡がなかったので小鳥の観察は裸眼で行うしかできませんでした。
そのため小鳥の識別が現在よりはるかに難しかったようで、小林一茶は俳句で
「むずかしや どれが四十雀 どれが五十雀」
と残しています。

保護した時は

ゴジュウカラは気性が荒く、仲間同士や他の野鳥と喧嘩をすることも珍しくありません。
敵に追いかけられて勢い余ってガラス窓に激突して気絶することもあります。寒冷地では気絶したまま凍死することもあるので見つけたら早めに家に入れてやりましょう。

脳しんとうを起こしている程度なら段ボール箱の中に布などを敷き詰めて中に入れて温めると、やがて目を覚まします。元気よく飛び始めたら野生に戻せるタイミングなので早めに解放しましょう。
怪我をしているなら野鳥に詳しい獣医に電話して指示を仰ぎましょう。

注意点

ゴジュウカラはあまり数が多くないですが比較的人に慣れやすい鳥です。冬にエサを与えるとヤマガラやシジュウカラ、コガラとともにエサをもらいに来ることもあります。

動画で山や森で手から野鳥にエサを与える動画がよく公開されています。可愛い姿が人気で小鳥も簡単にエサにありつけるので一見すると良いことに見えますが、生態系を乱すおそれがあります。
高尾山では野鳥に餌付けすることが禁止されました。禁止された地域では絶対にエサを与えず、それ以外の地域でもごく少量に止めましょう。
餌付けして野鳥撮影するのはルール違反とみなされ、写真コンテストでも審査から外れるケースが増えています。

ゴジュウカラと他の小鳥の見分け方は比較的簡単です。
木の幹にずっと張り付いて、せわしなく移動しているならゴジュウカラの可能性があります。
コゲラとは違い背中に模様はなく幹をつつきません。逆さに移動していれば間違いないでしょう。

 

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