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野鳥

雁(がん、かり)の生態について。

2016/09/27

magan

雁(「がん」または「かり」)はカモ目カモ科の水鳥の総称です。一般的には「白鳥より小さい、大型のカモ類」を指します。

かつては代表的な狩猟鳥で、文様や俳句、絵などに多く記されています。国語の教科書にも載った「大蔵じいさんとガン」には「残雪」という賢い雁が登場します。

しかし現在は非常に数が減り、狩猟は全面禁止されました。雁とはどのような鳥でしょうか。

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生態

生息地

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※マガン↑

日本では冬鳥で、主に北海道宮島沼、宮城県伊豆沼などに飛来します。

マガン数万羽、カリガネ、ヒシクイが少数訪れます。

現在は保護されていますが、現在も繁殖地の減少などが懸念されています。そのため、繁殖地のシベリアを抱えるロシアやカナダとは保護条約が締結されています。

鳥類は国境を越えて移動するため、一つの国だけで保護しても効果は限定的です。そのため二国間、または多国間で保護条約が締結されています。

雁が暮らす湖沼を保護することは多くの生物を守り、人間にとっても暮らしやすい環境になります。環境問題は国境を越えるため、雁の保護だけではなく環境そのものを守る効果があります。

特徴

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※ヒシクイ↑

日本には主にマガン、ヒシクイ、カリガネが飛来します。

他にもコクガン、ハイイロガン、サカツラガン、ハイイロガン、ミカドガンなどが少数飛来します。

小型カモ類と異なり、雌雄同じ羽をしているのが大きな特徴。主に草食で、刈り取りが終わった水田などで落ち穂拾いをしています。

くちばしには歯のようなギザギザの突起があり、舌の横面にも同様の突起があります。間近で見ると恐竜のような恐ろしい姿ですが、この突起で植物をかみ砕いていると考えられます。

マガンは全身が茶灰色で、白い線が走っています。くちばしの先からしっぽの先まで65cmほど、翼を広げると135~165cmある大きな鳥です。

鳴き声は非常に大きく遠くまで響き、「コアーン、コアーン」と聞こえます。

日本に飛来するマガンはカナダのアラスカ州、シベリア東部で繁殖します。繁殖地も湿原で、3~7個の卵を産みます。

雛はキツネやフクロウなどの天敵に襲われることもありますが、両親が必死に守り育てます。雛は1ヶ月ほどで飛ぶことができます。

飛び方(渡り)

雁の仲間はV字に編隊を組み、長距離を移動します。(雁行型とも呼ばれます)

鶴やハクチョウ、ウミウなども同じような編隊を組みますが、これは気流の流れを利用したもので、先頭以外の鳥たちが飛びやすい構造になっています。

V字編隊で飛ぶと翼の気流が後ろの鳥に伝わり、小さな力で飛ぶことができます。翼の横には上昇気流が生まれるため、斜め後ろに飛ぶと上昇気流を捕らえ、省エネルギーで飛べるという仕組みです。

ある程度大きな鳥でなければ揚力が出ないため、小鳥ではできない飛行法です。

先頭の鳥は体力がある者が担当し、時々入れ替わります。

保護の対象

マガンは狩猟などで急速に数が減り、一時は7000羽ほどまで減少しました。保護政策の効果か、現在は3万羽以上が飛来しています。

ヒシクイは「ヒシ」という実をよく食べることから名付けられました。その名のとおり菱形の形をした実で、日本に飛来した直後によく食べることが知られています。

全長100cmほどでマガンより大きく、絶滅危惧Ⅱ類に分類されています。

カリガネはロシア北部、スカンジナビア半島などで繁殖し、日本には伊豆沼に少数が飛来します。

世界的にも急速に数が減っている雁で、日本では絶滅危惧1B種に指定されています。

マガンの群に混じっていることが多く、マガンの群を観察すると見つかることも。マガンより一回り小さく、顔の前面が白いので、よく見ると見分けることができます。

カリガネは家紋のモチーフとしても有名で、「雁金」「二つ雁金」「結び雁金」など様々な文様があります。

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草食で、植物の茎や根、果実、種子などを食べます。刈り終わった田んぼに降りて、落ち穂を食べることもあります。

体が大きいため水に沈むことはできません。

飛来地の福島潟、霞ヶ浦では水田の保全活動が盛んで、雁たちのエサの確保を行っています。この地域で収穫された米は付加価値が付き、収益の一部を環境保全事業に当てています。

沼や水田など、淡水で食事をする種類がほとんどです。コクガンは河口などに暮らし、アオサノリなど藻を食べています。サカツラガンも河口に現れます。

天敵

ハヤブサが主な天敵です。

自分の体よりも大きな雁でもお構いなしに襲いかかってきます。鋭い鍵爪で雁を引っかけ、地面や水面に蹴り落としたり、組み伏せて捕らえます。

とどめを刺さずに生きたまま食べることもあり、一見とても残忍にも見えます。ハヤブサのくちばしでは大型鳥にとどめを刺すのは難しいのかもしれません。

かつては人間が最大の天敵でした。現在マガンは回復傾向にありますが、他の種類の雁は危機的な状況にあります。

エピソード

かつて雁と人間は深いつながりがありました。冬の季語でもあり、小説や映画、俳句などにも数多く登場します。

雁をかたどった「雁金紋」という家紋もあり、真田氏、柴田氏などが使っていました。

最近では顔が怖いと、口を開けたガチョウ(雁の家禽鳥)の画像が話題になったこともあります。

非常に賢く、警戒心が強い鳥でもあります。国語の教科書にも載っている「大造じいさんとガン」には、賢いリーダー格の雁「残雪」と、大造じいさんの知恵比べが書かれています。

大造じいさんは雁の狩猟を行っていましたが、残雪と名付けた雁が現れてからは狩猟成績が著しく落ちてしまいました。

残雪は大造じいさんの罠を何度も見破り、群れの仲間に知らせます。そのせいで雁を狩ることができません。

大造じいさんは何とか生け捕りにした雁を飼い慣らし、数年かけて雁の群れを自分に引き寄せるように特訓しました。しかしいざ放つと、慣らした雁がハヤブサに襲われてしまいます。

残雪は慣らした雁を助け、ハヤブサと争います。残雪はひどく傷つき、大造じいさんは残雪を保護します。

卑怯な戦術を取ったことを恥じた大造じいさんは、怪我が回復した残雪を放鳥すると、正々堂々と戦うことを誓ったのでした。

森鴎外も「雁」という小説を連載していました。
明治時代が舞台の小説で、東京上野の不忍池に石を投げたら雁に当たり、殺してしまったというエピソードがあります。当時は雁がありふれた鳥だったことが伺えます。

家禽のガチョウは、ハイイロガンやサカツラガンを飼い慣らしたものです。太りすぎて飛ぶことはできませんが、性質は雁そのもの。
警戒心が強く、知らない人を見るとガアガア鳴き騒ぎ、くちばしで噛んだりつついたりします。番犬代わりに使われることもある、頼もしい存在です。

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