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野鳥

ガチョウの生態と特徴。アヒルとの違い、飼育やフォアグラ問題など

ガチョウはアヒルより大きな家禽の水鳥で、公園などで身近に見ることができます。
小学校の生き物飼育でお世話をしたことがある方もいるのでは?

日本ではあまり家禽としての利用はありませんが、欧米や中国では食肉にされることが多い鳥です。

童話やおとぎ話に登場することも多く、創作世界の中でも非常に身近な存在です。

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ガチョウの特徴

ガチョウはガン(雁)を家畜にしたものです。
そのためガンと同じく、カモ科ガン亜科に分類されます。しかし、体重が重いため、ほとんど空を飛ぶことはできません。
成鳥になるまで2年ほどかかり、家畜としての効率はあまり良くありません。しかし粗食に耐え、特に手間をかけなくても元気に育つので、現在も多くの地域で親しまれています。

日本で飼育されるガチョウは公園など公共施設や動物園などの展示飼育が多く、あまり食用にはされません。
戦前までは日本でもガンの狩猟をしていたため、ガチョウの潜在的需要が全くないとは考えづらいのですが、将来的には日本でもガチョウ肉の需要が増える可能性があります。

台湾や中国、欧米など、世界各地にガチョウのおいしい料理があります。それを堪能する日本人が増えると、徐々に日本でも需要が増えるかもしれません。
ガチョウの肥大させた肝臓、フォアグラはコンビニやファミリーレストランの食材にされたこともあります。

体の大きさ

体の大きさはガンより大きく、品種にもよりますが、くちばしの先からしっぽの先まで84cm~120cmほど。重さは重いもので6kgほどあります。
アヒルより二周りほど大きな鳥です。

アヒルとの見分け方

一見するとアヒルにそっくりですが、近づくと別の鳥であることが分かります。眼孔鋭く、くちばしには細かい歯のような突起が一面に並び、舌にはトゲがたくさん並んでいます。

ガチョウの顔は「恐竜の子孫」と言う方もいるほど迫力があります。
気性も荒く、見慣れない人間などを見かけるとガアガア騒ぎ立てて追い立てます。

寿命

寿命は非常に長く、大事に飼育すれば50年以上も生き続けます。飼い主によく慣れるので、池と広い飼育スペースが確保できれば生涯の伴侶として共に暮らすこともできます。

ガチョウの品種

ガチョウには大きく分けて二つの系統があり、ハイイロガンをルーツに持つヨーロッパ系種(ガチョウ)と、サカツラガンをルーツに持つシナガチョウがあります。

ヨーロッパ系種

ヨーロッパ系種もオランダやドイツなどで品種改良されたエムデン種と、フランスで改良されたツールーズ種に大別されます。

エムデン種は肉を穫るため、ツールーズ種は肝臓(フォアグラ)を穫るために品種改良されました。

シナガチョウ

シナガチョウの系統は、くちばしの上(額)にコブがあるので、すぐに見分けがつきます。

性格はどちらもあまり変わらず、人慣れする一方で見知らぬものへの警戒心が強く、大きな声で鳴き騒ぎ、勇敢に立ち向かいます。

番犬代わり

中国では昔からガチョウを番犬代わりに使っていましたが、西洋でも古代ローマから同様の使役をさせていました。
英国のスコッチウイスキー醸造会社(現在の資本はアメリカ)、バランタイン社の醸造所の警護も請け負っています。

エピソード

ガチョウはエジプトが起源

ガチョウ(ヨーロッパ系種)の起源は古代エジプトと言われ、紀元前5000年ごろにはすでに飼育が始まりました。
シナガチョウは紀元前1000年~紀元元年ごろに家畜化されたと考えられています。

古代エジプトの人々は冬になると河川や沼にやって来るガンを狩猟していました。ガンは体が大きく、味わい深く、人気のある食肉でした。
しかし季節限定のため、冬以外に食べることができません。そのために家禽化されたと考えられています。

インドでは聖なる鳥

古代インドでは創造の神ブラフマンが乗る聖なる鳥とされ、仏教でも浄土に暮らす6種類の鳥(六鳥)の一つ、白告鳥(びゃっこう)は白鳥やガチョウが起源と言われています。
純白のガチョウは純粋な仏の心を体現したものと考えられていました。

番犬ならず番鳥

古代ローマでもガチョウは聖なる鳥と考えられ、盛んに飼育されていました。そして、本当にローマを救う活躍を見せます。

ローマは様々な周辺国と争っていましたが、その中でも強敵の一つにガリア帝国がありました。そのガリア軍がローマに奇襲をかけようと試みたことがあります。

夜間でローマ兵はみんな眠ってしまい、だれもガリア兵に気づきません。しかし、ガリア兵がまさに進行しようとした時、異変に気づいたガチョウが一斉に鳴き騒ぎ、ローマ兵に敵襲を知らせたのでした。

その功績があり、スコッチウイスキーの老舗、バランタイン社は自社の醸造所を守らせるために1950年からガチョウをたくさん放っています。

もとはウイスキー工場を作った設計者が鳥好きで、オーナーにガチョウを番鳥にすることを勧めたと言われています。

このガチョウたちはスコッチ・ウォッチと呼ばれ、半ばマスコットとして世界各地に知られています。現在は警備は人間の警備員や自動監視システムも併用しているため、ガチョウたちの警備能力がどこまで役立っているか不明ですが、宣伝効果は抜群です。

バランタイン社ではガチョウの繁殖も試みているため、あまり育児に熱心でない雌のために、代理母の雌鳥も一緒に飼育する念の入れようです。

ときどきキツネに襲撃されることもありますが、貴重なウイスキーを守る仕事は完璧にこなしているそうです。

畑の保全に草刈りガチョウ

たんに肉や卵を穫るだけの目的でなく、草刈り要員としても活躍することもあります。

公園で離されているガチョウは芝生などを適度に刈り込んで食べるため、環境保全に役立っています。アメリカ南部では「草刈りガチョウ(ウィーダー・グース)」と呼ばれ、たばこ畑に生える雑草を食べる仕事に従じます。

体が大きなガチョウは草を食べる量も多く、山羊のように草刈り動物として役立つ面があります。

伝統的な欧米の農村では、ガチョウを飼育することが一般的でした。ガチョウは畑の雑草などを食べるため、畑の保全にも役立ちました。

現在はEUなどの影響で小規模農家は減る一方で、このような伝統的な飼育も廃れつつあります。ポーランドでは伝統品種の保護のための飼育者寄金が設立しました。

ガチョウのイメージ

非常に役立つガチョウですが、寓話や喩えでは「愚か者」「詐欺などの被害者」というイメージが強い傾向があります。日本語にもカモネギという言葉がありますが、ガアガアうるさく鳴き騒ぎ、あまり知性を感じられないためと考えられます。(実際は賢い動物です)

14世紀、スウェーデンがある街を侵攻したとき、住民は愚か者を象徴するガチョウを掲げて侵略者を罵りました。それに怒ったスウェーデンの王はガチョウごと街を焼き払ってしまいました。
この故事をもとに、希望を台無しにすることを「ガチョウを料理する」と言われるようになりました。

一方で「富を産む者」という面も強く、イソップ童話の「金のガチョウ」では黄金の卵を産むガチョウが登場します。
この寓話の顛末をもとに、目先の利益にとらわれ、利益の元を台無しにすることを「金の卵を産むガチョウを殺す」と言います。

この派生系と思われる表現に、他人の計画を台無しにするという意味の「人のガチョウを料理する」があります。

グースステップ

軍隊の行進で、ひざを曲げずまっすぐに伸ばした足を上げる行進を「グースステップ」(ガチョウ足行進)と呼びます。

東ドイツのプロイセンが起源とされ、ナチスドイツや旧共産圏の軍が多用していました。そのため独裁の象徴と揶揄されることもあり、廃止した国もあります。

しかし見栄えがするため、衛兵の行進としてアメリカなど世界各国で採用されています。

羽毛布団の原料

ガチョウは肉や卵だけでなく、羽も羽布団などに利用されます。安価でたくさん手に入るので、かつては安い羽布団によく使われていました。

かつてガチョウの羽を大量に輸出していた国の一つが中国です。しかし中国が豊かになるにつれ、ガチョウ肉の需要が減ってしまい、羽の輸出まで減ってしまいました。

そのため世界的にガチョウ羽の原価は高騰しています。
現在はポーランドなど東欧で多くのガチョウが飼育され、日本の大手通販会社と提携した羽布団が販売されています。

ガチョウの飼育について

飼育環境

ガチョウは大型の水鳥です。出来るだけ大きな池がなければ飼育は難しく、都会で飼うのはお勧めできません。

最低でも2メートル四方の水場が必要です。そのため現在の日本では個人が飼うよりも、学校や公園、動物園などで飼育される傾向があります。

ガチョウは足が弱く、体重を長時間支えることができません。体を水に浮かべて足を休ませることで健康を保つことができます。
地上生活が長すぎると、足の間接が曲がってしまいます。

飼育小屋も作り、直射日光が入らないようにします。近所に樹木などがあると、日陰になって快適に過ごせます。
一方で、ある程度の日光は必要です。ジメジメした環境は避け、風通しの良い場所で飼育しましょう。

エサ

飼育下のガチョウは、にわとりのエサに青菜を刻んだものを与えます。
にわとりのエサにはトウモロコシや大豆などが配合され、バランス良く栄養摂取できます。

野外で飼育すれば、芝や雑草、虫など様々なものを自力で採取します。
粗食にも耐えると言われますが、それはある程度自由にエサを取れる環境があってこそ。完全にオリの中で飼育するなら、エサの配合には気をつける必要があります。
ときどきミミズなどの虫を与えると良いでしょう。

エサやりと清掃

エサは1日2回、朝と夕方に与えます。水はその都度入れ替え、清潔にしましょう。
フンをたくさんするので、池や小屋の掃除はこまめに行います。小さな池なら毎日の掃除が欠かせません。

多頭飼いOK

集団生活に耐えられるので、4坪で10羽ほどのガチョウは飼育できます。

ガチョウには順列があり、上位の者はボスらしい堂々とした振る舞いをします。

病気について

具合が悪い、ずっとうずくまっている、お尻が汚れている(下痢のため)など、普段と様子が違うときは、獣医さんに診せましょう。
年老いると皮脂の分泌が悪くなり、毛艶が悪くなることもあります。40才以上のガチョウは気をつけて観察しましょう。

フォアグラ問題

ガンは渡りの前、たくさん餌を食べて肝臓にたっぷり栄養を貯めて渡りのエネルギーを蓄えます。
ガチョウも栄養過多になると肝臓にたっぷり栄養を貯める体質が残り、この肥大した肝臓はフォアグラです。
フランス料理などに珍重され、最近は日本でも比較的手に入りやすくなりました。

しかし、その製造方法が残酷だと物議をかもしています。ガチョウを首だけ出して土に埋め、むりやり餌を突っ込んで食べさせるため、特に近年はEU圏を中心に反対運動が苛烈になっています。
フォアグラのメッカ、フランス国内ですら国民の半数がフォアグラの製造に反対するほどで、強制給仕を禁止する方向に動いています。
一方で、フォアグラ農家はガチョウにとって苦痛を伴ったら良いフォアグラに育たないと反論し、フランスやハンガリーでは農家を保護する動きもあります。

何れにせよ、大量生産する飼育工場の環境が劣悪だったことは事実で、身動きできない状態でフンなどで汚れる環境は批判されています。フランスでは2016年までに最低でも3羽が自由に翼を広げられる広いケージで育てることを求められています。

ガチョウ料理

ガチョウの丸焼きは欧米や中華圏ではごちそうで、クリスマスなど特別な日で食べられます。
フォアグラはフランス料理の高級食材で、ソテーなど様々な調理法があります。フォアグラをパテ状にしたものが缶詰や瓶詰めで販売され、日本でも百貨店などで入手できます。

台湾ではガチョウの肉だけでなく、脂も人気です。
ガチョウの精製脂を白米にかけた「ウーヨウバンファン」は、ガチョウのうま味やコクが楽しめます。ガチョウ肉とともに頂くと、美味しさが倍増します。
ガチョウの脂は中華街などで入手できます。フランスでもガチョウ脂を料理に使うことがあります。

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