フクロウの種類と特徴。生息地と鳴き声、寿命や餌、飼い方について
2016/11/01
フクロウとは夜の猛禽類の総称で、世界各地に生息しています。
狭義の「フクロウ」は日本でも馴染み深い鳥で、里山や森などに多く生息しています。都会でも神社の森や公園などで見かけることも。
日本では4亜種が確認されています。
フクロウの生態と特徴
生息地
フクロウは、フクロウ科フクロウ属の鳥です。
英語ではUral owlと呼びますが、その名のとおりウラル山脈を含むユーラシア大陸の北部一帯と、日本に生息しています。
日本では九州より北に分布し、本州北のフクロウ、本州南のモミヤマフクロウ、北海道に生息するエゾフクロウ、四国や九州などに生息するキュウシュウフクロウがいます。
エゾフクロウはフクロウとは別種という意見もあり、将来は分類が変わるかもしれません。
温帯から亜寒帯の地域を好み、平地から亜高山地帯まで広く分布します。
森だけでなく里山など農耕地や草原、大木が揃った大きな公園、ご神木がある神社まで、様々な場所に適応します。
特徴について
体の大きさ
大きさはハシボソガラスとほぼ同じくらいで、くちばしの先からしっぽの先まで50~62cm、翼を広げると94~110cmほど。
日本で生息するフクロウの中では大きなほうで、数が最も多いのが特徴です。(山形県ではモミヤマフクロウは絶滅危惧1B類)
夜行性なのであまり人目に付きませんが、昼間でも木の穴に潜って眠そうにしている姿や、カラスに追い立てられている姿を見ることもあります。
ワシタカ類と同じく、雄より雌のほうが大きいのが特徴です。
顔や目
顔は平たく、丸い頭をしています。
鳥類は一般的に顔が長く、目が顔の横に付いていますが、これは視野を広くして外敵を察知しやすくするためです。
ほ乳類でも、馬などの草食動物は同じ作りをしています。
フクロウは狩猟動物なので、ライオンなどと同じく顔の中央付近に目が並んでいます。
両眼でものを見るため、視野は狭くなりますが遠近などの距離は見定めることができます。
夜のわずかな光を捉えるために眼は丸く大きく、眼の色は黒いのが特徴です。人間に近い顔つきなので、夜間に活動する鳥なのに人間に親しまれる傾向があります。
しかし、人間と異なりフクロウの眼球は動かすことはできません。その代わりに首がよく回り、180度に回転することができます。
羽とクチバシと足
羽の色は薄い灰色に、濃い茶色の縦筋が入っています。一般的に、北のフクロウは色が白っぽく、南のフクロウは色が濃いと言われています。
くちばしと足は黄色く、足の指は前に2本、後ろに2本付いています。これは、獲物を捕らえやすくするために発達したと言われ、握力がとても強い鳥でもあります。
羽に隠れて見えませんが、顔の両側に大きな耳の穴があり、左右で傾きが異なります。
立体的に音を捉えるのに適した作りです。
羽ばたいても羽音を立てず、音もなく獲物に襲いかかります。
鳴き声
鳴き声は意外と不気味で「ゴロスケホッホー」「ホーウ・・・ホウホホウ・・・」などとさえずります。(「ホーホー」と鳴くイメージですが、これはフクロウの仲間コノハズクの声です)
地鳴きは「ホッホッホッホホホホホ・・・」と聞こえます。
繁殖期になるとワンワンという犬のような声や「ギャア」と叫び声のような声を挙げることも。
ミミズクとの違い
ミミズクとフクロウはよく混同されますが、頭に付いた飾り羽の有無で分けられます。
頭に耳のような飾り羽がついた鳥がミミズクで、飾り羽のない頭なのがフクロウです。
食性およびエサ
生息地により若干異なりますが、主にネズミを補食します。
森林や里山のフクロウはモグラ、ヒミズ、モモンガ、リスなどの小さなほ乳類や小鳥類、カエル、トカゲからカブトムシ、セミなどの大型昆虫まで、動いて食べられそうなものは大抵捕まえます。
都市部のフクロウはスズメ、カワラバトなどの鳥類、繁華街などに生息するドブネズミ、アブラコウモリなどを食べます。
カラスを襲うこともある、夜の食物連鎖の頂点にいる鳥類です。主に耳で獲物を感知し、背後から鋭い爪で襲いかかります。
小さな獲物は丸飲みにして、ゆっくり消化します。ほかの猛禽類と同様に、羽や毛など消化できないものはおなかの中で丸めてペリットにして吐き出します。
ペリットをほぐして観察することで、その地域のフクロウの食性や、地域の生物多様性を推し量ることができます。
繁殖について
営巣場所
※フクロウのヒナ↑
地域により異なりますが、2~4月ごろから繁殖シーズンに入ります。
大木の樹洞を巣穴にすることを好みますが比較的適応力が高く、あちこちに巣を作ります。
地上の穴や大きな木の根本にも営巣し、屋根裏や神社の軒下などに巣を作ることもあります。
世代を越えて20年以上も同じ家の屋根裏に巣を作ることもあり、猛禽類の中でも最も人間に近いところで生息しています。
産卵、孵化、子育て
3~4月に2~4個の卵を産み、1ヶ月ほど温めると孵化します。
雛は食欲旺盛で、生後2日で1日50グラムほどのエサを食べます。
雛がまだ幼いうちは、雌が巣で雛を守り、雄は狩りに出かけます。1日数回ほど雄から雌に獲物を渡し、雌が雛たちにエサをちぎって与えます。
雛の成長~巣立ち、寿命
雛同士はとても性格が穏和で仲が良く、兄姉は妹弟にエサを譲る傾向があります。そのため、数日遅れで成長する末っ子もほぼ同時に育ち、仲良く巣立ちます。
2週間ほどで雛の羽が生えそろい、保温ができるようになると、雌も家を空けて狩りに出かけます。最盛期には1羽で200グラムほどのエサを食べるので、2馬力で狩りをしないと追いつきません。
35~40日ほどで巣立ち、数ヶ月ほどは両親から狩りの方法などを学びます。9月ごろから11月ごろに雛は若鳥に成長し、親元を離れて自立します。
自然下の寿命は約8年で、3~4歳で繁殖可能になります。
天敵
食物連鎖の頂点なので、命を狙う天敵はほぼいません。
しかしカラスには目の敵にされているため、昼間にうたた寝しているところをカラスの襲撃に遭うことがあります。
比較的、環境変化に対応しやすい鳥ですが、人間の開発が最大の驚異です。
巣箱でも営巣できるので、出来るだけフクロウ用の巣箱を用意したり、里山や森を残すなどの配慮が必要です。
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飼い方
日本の野鳥はフクロウを含めて、捕獲は禁止されています。日本で飼育されているフクロウは保護鳥か、海外からペットとして輸入された鳥です。
フクロウは肉食なので、エサは冷凍マウスやヒヨコなどを与えます。血や内蔵に栄養があるので、これらを手さばきする度量がなければ飼育できません。
餌代だけでも1ヶ月1万円ほど必要と言われ、猛禽類を診る獣医も限られています。
かわいいと評判ですが、生半可な覚悟では保護も飼育もできません。初めて飼うならネット情報だけでなく、身近に相談できるベテランがいることが前提になります。
春先に注意
フクロウは春先に繁殖期に入ります。
その時期の鳴き声は叫び声のように聞こえるので、女性が襲われていると勘違いすることもあります。
基本的に穏やかな性質ですが、ヒナを育てている時だけは攻撃的になります。巣に近づくだけで頭上から攻撃され、目や耳などを攻撃します。
失明するおそれがあるので、巣がある場所には絶対に近寄らないようにしましょう。
エピソード
現在では「知恵の象徴」「不苦労」などと言われ、とても愛されている鳥です。
フクロウの置物は縁起物の代表格で、招き猫と並んで土産物店でよく見かけます。
知恵の象徴とされるのは古代ギリシャ時代に、知恵の女神アテネの象徴だったことが源流とされています。
人間に近い顔つきでじっと動かず、動くときは俊敏なので、英知のある動物と考えられたと推測します。
一方で、古代中国では凶兆とされ、「成長したヒナが母を食べる親不幸者」と考えられていました。(実際のフクロウにそのような習性はありません)
野ネズミをよく食べるため、日本では益鳥と考えられていました。江戸時代から畑に止まり木になる杭を打ち、フクロウが畑に滞在しやすい環境を整えています。
畑のそばに巣箱などを設置し、フクロウを呼び寄せる国もあります。
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