白亜紀
2016/10/04
●時期
約1億4550万年前~6600万年前
●大陸の状態
北半球のローラシア大陸が、現代でいうアジアとアメリカに分裂、南半球のゴンドワナ大陸も幾つかに分裂し、海に隔てられてしまった陸地間の移動は不可能となった。その代わり、独自の進化を遂げた生き物が多く誕生した。
●環境
それぞれの地域で異なる気候を持つようになり、全体的には現代の気温より10℃以上高い超温暖化状態だった。(後期になるにつれて変化)
●陸地の生き物
恐竜以外→プテラノドン、レベノマムス、デルタテリジウム
恐竜→ティラノサウルス、トリケラトプス、トロオドン、オルニトミムス
●海の生き物
デイノスクス(水辺)、アーケロン、アンモナイト、モササウルス
●植物
花弁を持つ被子植物、メタセコイヤ
恐竜天下の時代、白亜紀 ~前編~
白亜紀の地層について
中生代最後の時代である白亜紀。三畳紀に誕生し、ジュラ紀で多様な進化を遂げた恐竜が、ついに完全に地球を支配する時代です。
ジュラ紀と白亜紀の間では、生物の大量絶滅などは起こっていません。地質時代の同定は、あくまで地層から判断される地球の地表状態の区切りであって、必ずしも生態系の変化と同じではありません。
白亜紀という名前も、「ドーバーの白い壁」で知られている西ヨーロッパの細かな白土(といっても生き物の殻など)の地層から名付けられており、長い時間をかけて作られた白い層がこの時代を表すのに適していたという訳です。
余談ですが、学校などで使われるチョークはもともと白土、つまり白亜という意味で、かつては実際に石灰層から切りだされていました。恐竜が繁栄した「チョーク紀!」だとなんだかぱっとしないですね。
ってどうでもいい話はさておき、続けます。
白亜紀の環境について
植物の変化
白亜紀に入ると水位の上昇に伴い、多くの陸地は水没しました。それまで大きな塊だった大陸が細かく分けられ、現在の配置とほとんど同じになりました。
恐竜たちは、それぞれの大陸で個別に進化し、ジュラ紀にも増して多様化することができました。その要因の一つとして大きかったものが植物相の変化です。
基本的に温暖で、適度に湿度もある陸地では、今で言う四季も訪れるようになり、その結果、それまで繁栄していた裸子植物に代わり、きれいな花弁を持つ被子植物が現れました。
草食恐竜の進化
それらを捕食するため、草食恐竜の仲間(プシッタコサウルスやイグアノドン)は、多数の小さな歯、発達したアゴの構造と強い筋肉などをもつように進化したのです。
食事には困らないようになりましたが、肉食恐竜の脅威にも対応しなければなりません。強力な牙や爪に対抗するため、ただ守るための装甲ではなく、反撃に使用する武器を持つものも増えました。その代表が、アンキロサウルスやトリケラトプス。
最強の肉食恐竜と言われるティラノサウルスでさえも、彼らを襲う時にはそれなりの覚悟が必要だったでしょう。このように、白亜紀は中期から後期にかけて、現代でも有名な恐竜たちが多数存在したと考えられています。
一方そのころの哺乳類は一体どんな進化をしたのか。実はこれが白亜紀における”哺乳類VS恐竜”第三ラウンドの重要な鍵を握ることになるとは、その頃の哺乳類も全く気づいていなかったでしょう。
(第一、第二ラウンドはそれぞれ三畳紀とジュラ紀参照)
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哺乳類VS恐竜、ついに決着! ~後編~
哺乳類の進化
ジュラ紀から白亜紀にかけて、哺乳類は常に捕食者の危険に晒されるようになりました。
唯一の救いが恐竜など大型の爬虫類は変温動物だったため、夜の活動が少なかったこと。つまり哺乳類は、その恒温性を活かし、恐竜に襲われる危険が少ない夜間に密猟捕食という形をとっていました。
光が少ない状況で、小さな昆虫などを見つけるために哺乳類は聴覚や嗅覚、触覚などを同時に機能させる必要がありました。結果的に脳が刺激され、肥大化し、大脳新皮質(知性や記憶を司る部位)を獲得する唯一の種となったのです。
さらに、安全に子どもを産むために、胎生を身につけました。これは多くの外敵から胎児を守ることができるだけでなく、幼少期の死亡率が下がり、子どもを産む数も少なくてすみます。
あくまで身を守る、生き残るといった防御本能からの進化であり、この時点ではまだ起死回生の一手にはなりませんでした。しかしその後、ある出来事が起こり事態は急変します。
それは、隕石衝突でも火山の大噴火でもなく、一つの生物がとった行動によるものだとは、誰も予想だにしなかったでしょう。
被子植物の繁栄が生態系に変化
今まで完全に劣勢だった哺乳類に、希望の光りが差し込みます。それは、被子植物の繁栄です。
あれっ?さっき出てきてなかったっけ。とお思いの方へ、先ほどはあえて重要なことには触れずしれーっと流していまいましたが、実は植物相は、現代の森林と同じような状況にまで変わっていました。
植物が多くなって困ることは、現代にはありません。むしろ少ないことが問題ですが、当時は二酸化炭素が多く温暖な気候でした。だから変温動物である恐竜も繁栄できたと考えられます。
ところが、植物は光合成をします。この光合成により、大気中の二酸化炭素が減り、酸素が供給されるようになりました。ここまでくれば察しがつくと思いますが、二酸化炭素が減ったことで気温が徐々に下がりました。
白亜紀中期と後期では7度ほどの温度差があったと考えられています。
たった7度、されど7度です。恐竜達はこの温度変化に対応できず、ゆっくりと数を減らしていきました。対して哺乳類は、なんだそんな事かと、ぬくぬくと巣穴でのんびり子育てをしていました。ついに哺乳類が優位に立ったのです。
ついに来た隕石
第三ラウンドの結果は一体どうなるのか。…とここで恐竜サイドにタオルが投げ込まれました。なんと突然の試合終了!かなり追い込まれた哺乳類が見事逆転勝利です。この投げ込まれたタオルこそ、白亜紀末期に起こった大量絶滅の原因の一つと考えられている”隕石衝突“です。
これにより哺乳類VS恐竜は決着し、勝利した哺乳類は、その後の地上を支配できるという権利を手に入れました。この熾烈な戦いが終わった時代であり、負けはしたが恐竜が最も繁栄していた時代であること。これら2つが白亜紀において、最も重要な点ということを覚えていただければ幸いです。
最後にお伝えすると、恐竜に勝利した後も、哺乳類達は生き残るために様々な逆境を乗り越えてくれたのでしょう。そのおかげで今の人類があるとすれば、ネズミさんにも感謝の意を表すべきだと思うので、見かけた際には一礼を差し上げていただければと思います。
恐竜の絶滅についてに続く
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