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チョウゲンボウの生態と特徴、飼育方法について。鳴き声や寿命、餌など

最近は都市部でも見かける機会が増えたチョウゲンボウ。
ハヤブサの仲間で体が小さく、ひらひらと飛びながら虫や小鳥などを捕まえます。
大きな瞳がとても目立ち、球形に近い体型はとても愛らしく、ペットとしても人気があります。
しかし猛禽類なので、飼育はかなり大変です。気軽な気持ちで飼ってしまい、死なせてしまう事故は後を絶ちません。
正しい知識と接しかたを学び、心して迎えましょう。

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チョウゲンボウの生態や特徴

生息地

日本では北海道~本州中部で繁殖し、冬は西日本などに移動する者もいます。留鳥または漂鳥です。
世界では極北を除くユーラシア大陸からアフリカ大陸の地中海沿岸、中部~南部に広く分布し、多くの亜種がいます。日本では留鳥の亜種チョウゲンボウと、朝鮮半島から渡ってくる亜種チョウセンチョウゲンボウが観察できます。
生息域は広く、平地、山地や河川の崖、ビルが建ち並ぶ都市部、河川敷、埋め立て地などに好んで暮らします。
近年は繁殖数が増えたためか、西日本でも繁殖例が増えています。

チョウゲンボウは近年、都市部の環境を利用した営巣や生活に成功した鳥類の一つです。冬の一級河川の河川敷などで観察すれば、比較的よく見かけることができます。

種類(近縁種)

近縁種に冬鳥として全国に飛来するコチョウゲンボウ、迷鳥としてごくまれに飛来するヒメチョウゲンボウ、九州北部などに一時滞在する旅鳥(渡りの途中で立ち寄るだけの鳥)のアカアシチョウゲンボウがいます。
アカアシチョウゲンボウは黒と白のコントラストが美しい、インコのように派手な姿をしています。お腹がオレンジ色で、大変よく目立ちます。
アカアシチョウゲンボウはモンゴルなどで繁殖し、アフリカ南部で越冬する長距離の渡りを行います。

特徴

大きさ

タカ目ハヤブサ科の鳥類です。ハヤブサの中でも小さな種類で、小さな体を活かした適応力の高さで生息地を広げています。
小さな猛禽類は小さな獲物を食べます。自然界には小さな動物のほうが多いため、比較的多くの数が生存できます。

大きさはドバトとほぼ同じサイズの、小さな猛禽類です。
くちばしの先からしっぽの先まで30~35cm、翼を広げると70~80cmほど。
体のわりに尾が長く、飛ぶ姿はスマートに見えます。ひらひらと飛んだりホバリングなどを行いながら狩りを行います。

鳴き声

鳴き声は「キィキィキィキィ」と甲高い声で、よく響きます。雄が巣にいる雌に獲物を渡すときなどに鳴きます。

体の特徴

全身が赤褐色で、お腹や翼は細かいまだら模様です。飛んでいると、尾の先の黒い線が目立ちます。
頬は白く、目の下にまっすぐ赤褐色の線があります。鼻と足はレモンイエローで、小さくても猛禽らしい色合いです。
お腹側は白が目立つまだら模様です。白いお腹は空の色にとけ込みやすく、獲物に悟られない効果があります。

雄の頭と尾は青みの強い灰色で、雌とすぐに識別できます。この灰色の頭が髪を剃った僧侶に似ていることから、「長元坊」(=ちょうげんぼう)と名付けられたと言われています。
猛禽類なので雄より雌のほうが大きく、幼い雛を守るのは主に雌の仕事です。

繁殖

交尾は2月ごろから行うこともありますが、繁殖期は4月ごろから始まります。
4~5月ごろに崖の横穴、平たい岩の上、樹洞、桟橋の下、鉄塔などに営巣します。枝などで簡単な巣を作ることもありますが、直接卵を産むことも。
カラスなどの古巣を利用することもあります。
4~6個の、まだら色の卵を産み、主に雌が卵を暖めます。27~29日で孵化し、雛は27~32日ほどで巣立ちを迎えます。
しかし小さくても猛禽類なので、餌を取る技術を身につけるのは大変なことです。雛は巣立っても1ヶ月以上は親元で暮らし、狩りの方法を学びます。
やがて成長した雛は親の縄張りから追い出され、自力で生きていきます。
猛禽類の中では成熟は早く、1年で性成熟します。

食性およびエサ、狩りの方法

※ツバメを狩るチョウゲンボウ↑

草むらなどに無数に潜むネズミを好んで食べます。
チョウゲンボウには紫外線を識別する能力があります。ネズミの尿は紫外線を反射するため、チョウゲンボウにはネズミの粗相をはっきり視ることができます。
体を斜めに傾けてホバリングを行い、急降下して獲物を襲います。まれに歩いて獲物を探すことも。
高い場所で小鳥を観察し、襲うこともあります。

ハヤブサは高速で獲物に襲いかかりますが、チョウゲンボウは獲物に襲う直前に尾を広げ、減速します。
大きな獲物をねらうハヤブサは加速するパワーが必要ですが、チョウゲンボウがねらう獲物は小さく、捕まえるのに大きな力はいりません。
チョウゲンボウは地面の獲物を狩るため、速度を出して襲って外れたときは地面に激突するリスクがあります。それを避けるために、捕まえる直前に減速するのかもしれません。

昆虫やミミズ、トカゲ、カエルなども好んで補食します。スズメ、ムクドリ、セキレイなどの小鳥類やモグラも好みます。時にはカモに襲いかかることも。
チョウゲンボウはハヤブサと異なり、安全だと判断した環境ならその場で食事を始めます。

雛がまだ未熟な頃は雄が雌にエサを渡し、雌は皮剥きや羽をむしって下ごしらえをしてから巣に戻ります。エサを丸飲みできるほど成長したら、下ごしらえせずにそのまま与えます。
たまに雄から雌へのエサ渡しが失敗することもあり、せっかく捕らえたネズミを落としてしまうことも。

余った獲物はカラスのように貯食する習性があります。

天敵

ハイタカなど大型の猛禽類や、カラスが主な天敵です。
カラスは猛禽類を敵視し、チョウゲンボウのような小さな猛禽にもしつこく追いかけ、嫌がらせを行います。しかし、何故かチョウゲンボウと並んでくつろいでいるカラスも観察されています。
カラスの社会では猛禽類を襲う決まりはあるものの、それに忠実に従う個体ばかりではないようです。

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飼い方

野鳥は飼育禁止だが・・・

日本の野生にいるチョウゲンボウを捕獲したり、飼育すると法律違反になります。
しかし、インターネットで調べるとチョウゲンボウを販売する業者が複数見つかります。これらは国内やヨーロッパなどで人工繁殖させた個体で、生まれながらの飼い鳥です。
猛禽でありながら可愛い姿で好奇心が旺盛、室内飼いもでき、人に慣れやすいため、ペットとして人気があります。
そのため初心者向きと言われることもありますが、決して気軽に飼える鳥ではありません。

エサやり、体調管理

飼育環境下なら、エサは冷凍マウスなどを与えます。マウスを捌く必要があり、かなりグロテスクな作業になります。
毎日体重を量り、体調管理をしっかり行わないといけません。
猛禽類は身近な者に体調不良を隠す習性があります。懐いている飼い主にすら、弱みはまず見せません。
たとえ調子が悪くても、病気でもそれを表に出すことはまずありません。そのため、気づいた時には手遅れになることも少なくないのです。

本当に飼えるのか…しっかり考えましょう

専門病院の数も少なく、ペットホテルでは断れるのがふつうです。何より情報収集は欠かせません。
売りっぱなしのいい加減な店ではなく、親身に相談できる専門知識が豊富な店で迎えましょう。実際にショップに通い、本物のチョウゲンボウを観察し、本当に自分が飼えるのかを自問自答することも大事です。
安易な気持ちで飼うのは絶対に避けましょう。

寿命

寿命は約10年ほどと言われています。値段はブリーダーにもよりますが、10~30万円ほどが相場と言われています。
ショップではチョウゲンボウや、カラフルな色合いのアメリカチョウゲンボウも販売されています。

チョウゲンボウの由来

長元坊というお坊さん

チョウゲンボウは漢字で「長元坊」と書きます。奇妙な名前ですが、由来は諸説あります。
ある凶作に苦しむ村に、旅の僧侶がやって来ました。彼の名は長元坊といい、仏に祈って村に豊作をもたらしたと言われています。
長元坊は亡くなってしまいましたが、やがて秋が深まると村の畑に小さな猛禽が飛んできました。
お坊さんのような頭のその猛禽は、畑の作物の実り具合を確かめるようにホバリングをしています。それを見た村人は長元坊が帰ってきたと考え、この鳥をチョウゲンボウと呼ぶようになったと言われています。

破壊僧

別の説もあり、こちらは殺生を行う破戒僧として描かれています。
長元という破戒僧は、ネズミやモグラを捕まえては食べていました。それを見た人々は彼に姿や仕草がそっくりな猛禽をチョウゲンボウと呼ぶようになったという逸話もあります。
ネズミなど小動物しか狩らないチョウゲンボウは鷹匠から嫌われていたため、こんな残念な逸話が残ったのかもしれません。

トンボの方言が由来説

飛ぶ姿がトンボのように見えることから、トンボの方言「ゲンザンボー」が由来ではないかという説もあります。

全国でチョウゲンボウの数は増えていますが、減少している地域もあります。
国の天然記念物に指定されたチョウゲンボウの集団繁殖地、長野県中野市の十三崖では繁殖数が急激に減っているという報告があります。
ほかの猛禽類に比べると将来は明るいと言われますが、局地的には生存しにくい環境が発生しています。

チョウゲンボウの未来

全国でチョウゲンボウの数は増えていますが、減少している地域もあります。
国の天然記念物に指定されたチョウゲンボウの集団繁殖地、長野県中野市の十三崖では繁殖数が急激に減っているという報告があります。
ほかの猛禽類に比べると将来は明るいと言われますが、局地的には生存しにくい環境が発生しています。

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