出世魚、ブリの生態と釣り方・飼育方法について。
2016/09/22
ブリと言えば家庭の味でお馴染み、ブリ大根に照り焼きと様々な料理で食卓にのぼる大衆魚です。
とはいえ、切り身ならばともかくまるまる1匹の姿で見たことがない、という方もいるのではないでしょうか。
ブリは成長段階によって呼び名が変わる出世魚であり、関東と関西でも呼び名が違います。では、ブリは一体どのような魚なのでしょうか。
ブリの生態や特徴について
体の特徴
ブリはアジ科に属し、最大で全長150センチになると言われますが、普通は100センチほどの個体が多いようです。
背側は暗い青色、腹側は銀白色で、体側に1本の黄色い縦縞が入ります。
ちなみに、魚では頭を上、尾を下にしたときに体軸と平行となる線を縦縞、垂直となる線を横縞と言います。
ブリの幼魚はモジャコと呼ばれますが、このモジャコには横縞が数本存在するのも面白いですね。
生息地
ブリは北西太平洋に分布し、東シナ海からカムチャッカ半島まで広く生息しています。
日本全域が分布域に含まれますが、特に多いのは北海道南岸から九州の太平洋岸、日本海の南部とされています。
群れを作る回遊魚で、春から夏には北上し、初冬から春には逆に南下してくるという習性をもっています。
食性および餌
食性は肉食で、小魚をはじめ、甲殻類やタコ、イカなども捕食します。
天敵について
大型に育つと天敵はほとんどいなくなりますが、小型のうちは、スズキやヒラマサといった魚食性の強い肉食魚、海生哺乳類はもちろん、水産重要種のため、人間も天敵となります。
出世魚・呼び名について
ブリは以前に述べたとおり、成長により名前が変わる「出世魚」です。
関東ではモジャコ(稚魚)→ワカシ(35センチ以下)→イナダ(35~60センチ)→ワラサ(60~80センチ)→ブリ(80センチ)、
関西ではモジャコ(稚魚)→ツバス(40センチ以下)→メジロ(60~80センチ)→ブリ(80センチ以上)と呼ばれるケースが多いです。
この他に、地域によってはさらに細かく大きさで分けることもあります。ブリは古くから人々の生活に欠かすことのできない水産重要種であったため、地方名も豊富にあります。
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ブリの自宅飼育は可能か
ブリは回遊魚であり、極めて大型に育つため、飼育は非常に難しいと言えます。
養殖方法が確立されていることから案外簡単にできるのでは、と考える方もいるかもしれませんがそう簡単な話ではありません。
生簀のように広いスペースを確保できる場合とは異なり、家での飼育スペースは非常に小さいからです。
どうしても飼いたい、という方は、小型の個体を短期間飼育する、というふうに割り切る方が賢明でしょう。
釣りで採集するには
飼育難易度の高さと大型に育つことから、ブリは本来ペット向きの魚ではありません。そのため、店舗で見かける機会はまずないといえるでしょう。
養殖に使うブリの種苗は大半が天然海域で採集されたモジャコです。
モジャコはホンダワラなどの流れ藻についているため、流れ藻ごと採集すればモジャコを一網打尽にできる、というものです。
しかし、この漁がおこなわれるのは沖合であり、防波堤や波打ち際まで流れ着いた藻にはまずいません。
どうしてもブリを釣りたい、という場合には、夏場に投げ釣りで採集することをおすすめします。
ただし、狙って釣れるほど簡単ではありません。秋には、ツバスやワラサの群れが回遊してくるため、潮通しの良い沖一文字ではツバス、時にはブリクラスを数本釣り上げることができます。ただしこれらはすでに大型ですので、運搬がほぼ不可能なサイズでもあります。
飼育環境について
ブリの稚魚を飼育する場合、余裕をもって最低90センチの水槽を用意しましょう。
本来は回遊魚のブリは運動量豊富なので、狭い水槽では非常に窮屈な思いをするからです。
水温計、フィルター、エアレーションを用意します。エアレーションはきつめにきかし、フィルターは水の浄化能力が高いものを選びましょう。
底には砂利か砂を敷き、餌には魚の切り身、エビなどを与えるようにします。
驚くと水槽から飛び出すこともあるので、水槽には必ず蓋をしておきましょう。
注意点
ブリを飼育、釣り・採集する際の注意点は、「絶対に素手で触れないこと」です。
ブリの皮膚は薄いため、人が触ると体温で即座に火傷をしてしまいます。
また生餌は水を汚しやすいため、餌の量はほどほどにしましょう。
ブリは配合飼料にも比較的慣れやすいため、手に入るならば生餌よりも配合飼料を与える、という方法もあります。
いずれにせよ、ブリは家庭での飼育には不向きな魚であることをよく覚えていてください。
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