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出世魚「ボラ」の生態と特徴。臭いが味は?飼育はできる?

2017/01/22

大阪の道頓堀川を、群れを成して遡上する大量のボラ。

数年に一度ニュースで放送される光景ですが、実際に目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

夏になると河口に小さな群れを作っており、頑張れば網ですくえそうなボラですが、水の振動を感知する能力にたけており、いくら網を振ろうがなかなか捕まらない魚でもあります。

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ボラの生態と特徴

生息地

ボラの仲間は主に南の方に生息しています。世界規模でみると、熱帯・亜熱帯を中心に分布しています。

日本では北海道より南に生息しています。基本的には海水魚に分類されていますが、幼魚や若魚はしばしば河口や汽水域に姿を現します。

水の汚れに強いため、都心の真ん中を流れる道頓堀川のような川でもよく見られます。

食性や体の大きさについて

ボラは何でもよく食べる雑食性で、主に石に付着している藻類や水底に積もった有機物(デトリタス)を餌としています。

上あごはほうき、下あごはちりとりのようにうまく使ってこれらの餌をこそぎ取り口に運びます。

ボラは泥ごと餌を食べることも多いため、胃の前にあたる「幽門部」の筋肉が非常によく発達しています。

この部分は「ボラのへそ」や「そろばん玉」とも呼ばれ、砂肝のように独特のこりこりとした食感があり珍重されます。

ちなみに、珍味として人気の「からすみ」はボラの卵巣を塩漬けし乾燥したもののことを言います。

天敵

大きさは種類にもよりますが、40から50センチ、最大で80センチほどに育ちます。

大型に育つボラですが、もちろん天敵もいます。

釣りの対象、外道として知られるように人間はもちろんのこと、小型の個体では同じく汽水域に侵入するスズキなどの肉食魚、サギやミサゴなどの水鳥が主な天敵です。また、大型の個体も敵なしなわけではなく、イルカなどにしばしば捕食されているようです。

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飼育について

ボラは人とのかかわりも深く、水汚染にもつよいので一見ペットとして飼育できるのでは、と考えてしまいます。

しかしながら、種類にはよるものの小さくとも30センチ、大きくなると80センチほどに育つ魚であることを考えると飼育対象としてはあまりお勧めできません。

また、海辺でしばしばみられるようにボラは高くまでときどきジャンプをします。

これは寄生虫を落とすため、などいろいろと言われていますが詳しくはわかっていません

このジャンプの威力は強烈で、成魚に体当りされた釣り人やサーファーの失神記録もあるほどです。

自分の屈強さに自信があり、かつ相応の設備をそろえるだけの資金力と情熱、スペースがなければ飼育は難しいでしょう。

出世魚

ボラはスズキやブリと同じく、大きさにより呼び名が変わる「出世魚」です。

  • 関東ではオボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
  • 関西ではハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド

と呼ばれています。関東関西どちらも最後は「トド」であり、「結局、いきつくところ」を意味する「とどのつまり」という慣用句はボラが「これ以上大きくならないこと」が由来とされています。

食べ方・・・臭いのは何故か

さて、釣りでは外道としてしばしば嫌煙されがちなボラですが、その理由は汚れた川で育ったものには独特の臭みがある、という説がまことしやかにささやかれています。

しかしながら、現在のように川の汚染が深刻化する以前は、ボラは味が良い高級魚として扱われていました。

臭みは内湾で育ったものは強く、外洋で育ったものの方が味がよい、と言われますが、主に血液が原因です。

このため、血を完全にぬき、かつ味噌などで臭みを消して調理するのがおすすめです。

特に、冬のボラは脂がのった「寒ボラ」として好まれます。

 

ボラについて注意したいのは、その紡錘形の体から繰り出される強靭なジャンプとボディーブローです。釣り、サーフィンなどの際は注意しましょう。また、その巨体から繰り出されるパワーはかなりのもの。釣り上げた際、竿先がおられないように用心して、たも網を用意した方が無難です。ボラは横向きに走ることもよくあるので、隣の人の仕掛けに絡む「お祭り」にも注意しましょう。

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