ブラックバスの種類と生態。飼育・放流・リリース禁止。
2016/09/27
ブルーギルと同じく、悪名高き外来魚の代名詞となっているのがブラックバスです。とはいえ、悪いのはブラックバスではなく後先考えずに不用意に持ち出した人間なのですから、若干かわいそうな気もします。
さて、ブラックバスとは1種類の魚を指すのではなく、近縁の 種類をひとつにまとめたものの呼び名であることをご存知でしたか。
生態
特徴
ブラックバスというグループは、北米原産の淡水魚です。日本では、個体数や知名度がオオクチバス(ラージマウスバス)について抜きん出ていることもあり、ブラックバス=オオクチバス、と認識している人が多いです。
ブラックバスグループには、最大体長が40㎝ほどのものから80㎝に達するものまで、様々な大きさの種類が含まれています。
このグループは8種類で構成されていますが、日本ではこのうちオオクチバス、コクチバス、そしてグループの最大種のフロリダバスの生息が確認されています。
生息地・分布
ブラックバスの故郷は、五大湖周辺からミシシッピ川の流域、フロリダ半島まで広く分布しています。
大口バスは、1925年に日本の実業家、赤星鉄馬氏の手によって神奈川県の芦ノ湖に初めて移植されました。
その後、進駐軍やルアー釣りブームにのって分布を拡大し、現在は日本の各地で生息が確認されています。ブルーギルとは異なり、日本には何度ももちこまれたとされています。このことは、遺伝子解析の結果からも支持されています。
オオクチバス、フロリダバスは止水域を好み、湖沼やダム湖のような環境を好みます。
コクチバスはこの2種よりも冷水性が強く速い流れの場所を好むため、河川の上流部にも生息することができます。
食性・餌
オオクチバス、コクチバス、フロリダバスの食性は似通っており、すべて強い魚食性を示します。
餌となるのは、魚の他に甲殻類や水生昆虫が挙げられます。ですが、口に入る大きさのものはなんでも食べてしまうため、ときにはカエルやネズミ、小鳥すらも餌になります。
産卵~子育て、天敵
オオクチバスでは、産卵後も雄が卵や仔魚を保護することが知られています。
しかし、父親は子がある程度の大きさに育つと、自立を促すために今まで保護していた子を食べ始めます。
この過程で、子の実に半分が淘汰されると言われています。このように、同種の他個体が天敵となりうる他、日本ではハス、ウグイといった魚食性の強いコイ科魚類、雷魚やナマズが挙げられます。
しかし、大きく育ったブラックバスはこれらの種と同じく生態系の頂点に君臨するため、天敵がほとんどいなくなります。
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ブラックバスは特定外来生物
飼育は禁止
ブラックバスは、現在特定外来生物に指定されています。そのため、新たな飼育は禁止されており、飼うことはできません。また、生きた状態での運搬も禁止されています。
以前はキャッチアンドリリースが主体であったバス釣りですが、近年ではリリースをすると罰金など措置を取られることもあり注意が必要です。
密放流の現状
このような対策が講じられているにもかかわらず、ブラックバスの駆除および拡大防止策はいまいち成功していません。
その最大の理由が、釣り人の手による密放流です。
1925年に放流されたオオクチバスとは異なり、コクチバスおよびフロリダバスは近年になってから各地で生息が確認されている種です。
特に、ブラックバスのグループ最大種であるフロリダバスは、1990年代後半に日本に持ち込まれたと推定されており、2000年に奈良県の池原ダムで初めて生息が確認されました。
しかし、以後の十数年間で確実に分布域を拡大していることなど、いくつかの理由から密放流が現在も行われているとされています。
ブラックバス問題は人間の問題であり、直接生物が悪いというわけではありません。
彼らは故郷から遠く離れた島国に連れてこられ、天敵の少ない天国で一生を謳歌しているだけなのです。
とはいえ、決まりは決まりです。かわいそうだから、もっと大きな魚を釣りたいから、といった個人的な理由で法を破ることがないよう、バス釣りの際には各都道府県の条例などをあらかじめ調べておきましょう。
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