始祖鳥(アーケオプテリクス)の特徴と進化について
2016/10/01
- 食性:昆虫、木の実
- 体長:約50cm
- 出現時期:ジュラ紀後期
- 発見場所:ヨーロッパ
- 分類:鳥網 古鳥目 アーケオプテリクス類
始祖鳥とは、誰もが学校で習う化石の一つであり、太古の生き物の中でも最も重要な存在と位置づけられています。
なぜ重要であるか、それははるか昔に絶滅した「恐竜」と、現代に生ける「鳥類」とをつなぐ鍵だと言われているためです。
始祖鳥とは、恐竜と鳥類の両方の特徴を持つ生き物であることは知っていると思います。
では具体的にどのような体を持っていたのか。まずは、上から順番にご紹介しましょう。
始祖鳥の特徴
ます前提として、始祖鳥の姿は基本は現代の鳥と同じように、くちばし、羽、尾、脚を持ち、全身が羽毛で覆われています。
見た目では鳥類としか思えないですが、爬虫類の特徴である”歯”を持っています。もし仮に歯を持つ鳥類を見たことがある方は、すぐに古生物研究所に連絡して下さい、歴史に名を残せます。ただ、鳥類は産まれてすぐは歯を持っています。これは卵歯といって、卵のカラを破るためだけに存在します。成熟するに連れ無くなるので、もしこれが残っていれば歯を持つ鳥類が誕生するかもしれません。
…話を元に戻します。
2つ目に鳥類と異なる点が、前脚に指があること。
本来鳥類の前脚は、完全に翼になっています。この指があることで、木を掴むことができました。また後脚の親指が前向きに付いていることもそのためだと考えられています。これも鳥類との違いです。
3つめが尾に骨があること。
長く綺麗な尾を持つ鳥はたくさんいますが、骨はありません。
このようにいくつかの点で恐竜の特徴が残っている始祖鳥ですが、なぜこんなにも有名になり、世界中に広まったのか、それはあの有名なダーウィンに関係しています。
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進化論
1859年に「種の起源」が出版され、進化の歴史に大きな転機が訪れました。
それまで無関係とされてきた生き物に、共通の祖先が存在することを示唆したダーウィン。その進化論において、始祖鳥の重要性に気付いた研究者達はこれを「最古の鳥類」と位置づけました。
この時点で恐竜との関係性において議論がなされた訳ではないですが、後にこの奇妙な生き物について様々な仮説が飛び交うようになりました。
またその論争の中で根本的な問題として取り沙汰されたのが、「そもそも鳥類の祖先が恐竜であるはずがない」という考え方です。
進化論では、進化の過程で退化したものは、再度現れることはありません(例:哺乳類として進化したイルカは、生活環境が水中になってもエラ呼吸に戻ってはいません)。それにも関わらず、鳥類が飛翔する際に最も重要な”さ骨”が、恐竜においては退化した部分であったことがこの説の主張でした。
その後、さ骨を持つ恐竜の存在が明らかになり、結局説は否定されましたが、普通に考えれば恐竜から鳥類が進化したとは考えにくいという気持ちも分からなくもないです。
恐竜の子孫は「ワニ」とかの方がしっくり来ます。この鳥の祖先が恐竜なのか?という論争の中に、新たな一石を投じたのが、中国で発掘された羽毛恐竜の化石です。
これにより、恐竜が鳥に進化したという説が一気に有力となり、始祖鳥は恐竜から鳥類に進化する中間動物であるという結論になったのです。
また始祖鳥が教科書にも載るほど貴重であることには違いないですが、一つだけ誤解しないで欲しいことがあります。
確かに始祖鳥は最古の鳥類の可能性が高いですが、この始祖鳥から現代の鳥類が進化し、誕生した訳ではありません。
ここまで来て何を言ってるの?と思われるかも知れませんが、始祖鳥は「恐竜という分類の中での鳥類」(古鳥類)であって始祖鳥よりも以前に別の進化を遂げたものが、原生鳥類の直接の子孫だったと考えられています。直系ではないにしても、始祖鳥がミッシングリンクであったことは間違いなく、この研究が進められ恐竜から鳥類への進化の仕組みを解き明かすために、日々研究が続けられています。
ところで余談ですが、もう一つご紹介したい説があります。それが「BCF理論」です。BCFとはbirds came first、つまり「鳥が先!」という仮説。
かつてとある研究者が、始祖鳥よりもはるか昔に、始祖鳥よりも鳥類に近い進化を遂げた生物(=ダイノバード)の化石を発見し、鳥が徐々に恐竜に進化したという全く逆の発想によるものです。
今ではその化石の状態からでは判断がつかず、証拠にならないとして否定されていますが、個人的な見解としてはとても面白いと思います。
始祖鳥の化石もあまり多く見つかっている訳ではないので、ダイノバードの完全な化石が発見された時、どちらが最古の鳥の称号を得ることになるのか、非常に興味深いですね。
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