アンモナイトの化石がキレイな状態で見つかる理由
2016/10/04
- 食性:肉食(動物性プランクトン、小さな甲殻類)
- 体長:数cm~2m以上?
- 出現時期:古生代シルル紀末期から白亜紀
- 発見場所:世界各地、北海道
- 分類:無脊椎動物 軟体動物門 頭足網 アンモナイト類
古代生物の化石の内、最も有名なものがアンモナイトです。
古生代シルル紀末期から白亜紀末までのおよそ3億5000万年の間、海に繁栄していました。アンモナイトは貝の仲間ではなく頭足類、つまりイカやタコに近い種になります。
生きた化石として有名なオウムガイがいますが、多くの点からアンモナイトとは近縁ではありません。ちなみに、オウムガイの方が地球の歴史上先に誕生しています。最も古い頭足類の祖先からオウムガイが登場した後、アンモナイト類が現れました。
アンモナイトの特徴
ほとんどの人が見たことがあるアンモナイトは、巻き貝のように殻がぐるぐる巻きになっていると思いますが、あれは一部の種類であり、他に様々な形の殻を持つものもたくさん存在します。
もともとアンモナイトの殻は巻いておらず、真っ直ぐだったと考えられており、進化するにつれて最終的に落ち着いたのがあの巻いているものだったのです。
アンモナイトの名前の由来も、ギリシャ神話の羊角を持つ神「アンモーン」から来ており、巻いてないアンモナイトが先に発見されていれば、また違う名前になっていたかもしれません。
殻の構造
では、アンモナイトの殻の中はどのような構造になっているのでしょうか。
これは原生貝類とは全く違う特殊な構造で、産まれてすぐのアンモナイトは、自分の体が入る小さな殻しか持っていません。これを初期室と呼び、以降この部屋を基準に殻が成長します。
体が大きくなり、初期室に入らなくなると、今度はもっと大きな部屋を作ります。この時、初期室の手前に新しい部屋ができ、これが住房となります。
さらに大きくなると、部屋の数がどんどん増えて、種類によっては内側に巻いたり、異常巻き(といっても突然変異などではない)という、規則的な方向ではなくランダムに伸びるものもいました。
空いたスペースは最初は体液で満たされていますが、その後排出され空気が入ることで気室となり、浮袋の役目を果たす訳です。
体のサイズに合わせて自動的に浮力が増えるようになる仕組みは、過去の生き物としては画期的な方法だったでしょう。ただしこの構造を持つことによって、アンモナイトには潜ってはいけない領域が存在します。
海の深くになればなるほど、気室の中の空気圧と、水圧の差が大きくなり、海水が気室内に大量に入り込んできます。そうなると空気が少なくなり、浮力が生み出されず、再浮上できなくなります。これを浮上限界深度といって、これを超えたものは一生その深度以下で暮らします。
もちろんそれでも生きて行くことはできますが、なんとなく寂しい。もし友達だったアンモナイトがうっかりそのラインを超えてしまったら…二度と会うことはできないのです。
とまあ、ネガティブになっても仕方がないので、前向きに考えましょう。
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化石がキレイに見つかる理由だった!
この性質のおかげで、アンモナイトの化石が綺麗な状態で発見されることが多いです。もし死骸が海の底ではなく、水面近くに浮いていたとしたら、他の生物に捕食されるか、牡蠣などの貝類が付着し完全な状態ではなくなります。
さらに海底は土や泥などが堆積しやすく、最も化石として残りやすい環境とも言えます。世界中で多くの化石が発見されるのもそのためで、結果として、アンモナイトは示準化石(時代区分を決める化石)として認められ、過去の地球を知る上でとても重要な生物になりました。
※アンモにゃイト↓
ですが、アンモナイトの軟体部はまだ見つかっていません。図鑑にのっている絵は想像でしかありませんので、いつの日かどんな顔だったのか判明することを願っています。
恐竜よりもはるか昔に登場したにも関わらず、白亜紀の最後に絶滅するまで、何度も過酷な環境を乗り越えてきたアンモナイト。時に海中の酸素がなくなり(デボン紀の大絶滅)、時に火山が吹き出し(ペルム紀の大絶滅)、最後の隕石衝突(白亜紀の大絶滅)に至るまで、壮絶な運命であったこと。そして今日の恐竜研究に役立っていることも含め、心からの賛辞を送りたいと思います。
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