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野鳥

アヒルの生態と特徴、歴史などについて。飼育時の餌や寿命は?

2016/10/14

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身近な池には大抵飼われているアヒルは、身近な家禽(かきん)の一種です。

現在の日本ではペットとして飼われることが多いですが、家禽として優れた鳥でもあります。

肉や卵は食用に、羽は羽毛布団やダウンジャケットに活用されています。

身近な鳥、アヒルはどのような鳥でしょうか。

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生態

特徴

アヒルはガンカモ科のマガモを家禽化したもの。「家鴨」の読み方はアヒルです。

鳥類の中では鶏に次いで飼育されている家禽で、現在でも世界中で年間6億羽も飼育されています。

食肉用、採卵用、観賞用など、様々な種類があります。

卵は年間200個ほど産み、食用にされます。

アヒルは、雄よりも雌のほうが声が大きい傾向があります。

体の特徴

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くちばしの先からしっぽの先まで50~80cm、体重3~5kgほど。マガモに比べて大きく太っているのが特徴で、空を飛ぶのがとても苦手です。

ガチョウによく似ていますが、ガチョウとアヒルは大きな違いがあります。

ガチョウは首をまっすぐ立てるのに対し、アヒルは軽く曲げています。

大きさもガチョウのほうがひと回り大きいので、すぐに見分けることができます。

卵は薄い緑色で、30日ほど温めると雛が孵ります。

雛はふわふわした産毛に覆われ、大変愛らしい姿です。成長はとても早く、6か月で成熟します。

繁殖

繁殖期は春から秋まで、雌を巡って雄同士で争うことも珍しくありません。

番いは長い間関係を結びますが、時々カップルが入れ替わることがあります。

寿命

寿命は5年から20年と非常に長く、長い間共に暮らせるペットにもなります。

赤ちゃんから育てると非常によく懐き、生涯を共にする家族の一員になります。

水に浮く秘密

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アヒルが水を浮いていられるのは、皮脂が多いため。

腰のあたりに皮脂腺があり、それをクチバシにつけて羽繕いしながら脂を全身に塗ります。

この脂が水をはじき、水面に浮くことができます。

食性・餌

雑食性で、穀物を中心に野菜や油かす、果物、肉、魚などを混ぜて与えます。

粗食に耐え、オカラや魚の内臓など、栄養価の低い餌でもすくすく育ちます。

アヒル用の飼料もあり、これらの原料がバランス良く配合されています。

飼われていた池から脱走し、野良化したアヒルもたくさんいます。野生に還ったアヒルはマガモと同様、草や昆虫類などを食べて暮らします。

ほとんど淡水で暮らしていますが、物理上は海上で暮らすこともできます。

種類(世界のアヒル)

アヒルの種類は非常に多く、主に食肉用、採卵用、観賞用に分かれます。

世界各国で品種改良され、現在でも多くの種類があります。

ペキンダック

中国で開発され、アメリカでさらに改良された品種です。

真っ白な姿で飼いやすく、肉を取るために飼われます。

足が赤いのが特徴。

ナキアヒル(コールダック)

小型のアヒルで、現在は観賞用やペットとして飼われています。

つぶらな瞳と小さな体が大変愛らしく、人気の高い品種です。

もとは鴨狩りの囮のために生み出されたアヒルで、小さな姿なのに声が大きいのが特徴です。そのため都市部の一般家庭で飼うのは難しいでしょう。

白だけでなく、グレー、黒やミックス色など、様々な色合いがあります。

雄の尻尾は軽く巻いています。

アオクビアヒル

外見はマガモにそっくりのアヒル。空は飛べません。

シキアヒル

卵をたくさん産む品種で、年間250個ほど産みます。

カーキーキャンベル

卵をたくさん産む大型の鴨。外見は太ったマガモのようで、羽毛がカーキ色なのでこの名が付きました。

ザクセンアヒル

ドイツ原産の大型のアヒル。もとは採卵用でしたが、現在は愛玩や観賞用に飼育されています。

ルーアンアヒルやペキンダックを掛け合わせて生まれました。

ルーアンアヒル

フランスで人気の高いアヒル。外見はマガモにそっくりです。

カンムリアヒル

頭に冠のような羽飾りが付いたアヒル。白い飾り帽子を被ったような姿が大変ユニークです。観賞用。

ムラード

名前は「混血」という意味。近縁種のバリケンを改良したムスコビーアヒルとペキンダックを交配させた、一代雑種です。

繁殖力はありません。

肉用、フォアグラ生産用に飼育されます。

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飼育について

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アヒルは水浴びや土いじりが大好き。
そのため、これらの環境を整える必要があります。
室外で飼育することが多いですが、室外は天敵に襲われないように囲いをして飼育しましょう。

風通しが良く、適度な日当たりと木陰ができる環境を選びます。
庭の土に異物がないことを確認してから離しましょう。
コンクリートなどの床は、足を滑らせる恐れがあります。人工芝などを敷いて歩きやすい工夫が必要です。

水浴びは、セメントをこねる巨大な四角い箱、通称「プラフネ」が重宝します。
清潔な水を毎日入れておくと、水を飲んだり泳いだりできます。
段差はなるべくできないように、レンガなどで階段を作ってあげると怪我の心配がありません。

庭に池があるなら、中央に足場を作って離しても良いでしょう。
庭の足場でアヒルが毛づくろいできるからです。
足場は中央に作らないと天敵に襲われる可能性があります。

室内で飼育する際は、日当たりの良い場所で飼いましょう。
風呂場でも水浴びはできますが、アヒルのご機嫌が分からないなら室内に水場を作りましょう。

アヒルは鶏よりも飼うのが大変で、飼育環境の周囲は汚れがち。
賃貸住宅住まいの方は、必ず大家さんと管理会社に許可をもらってから飼いましょう。

天敵

イタチ、キツネ、ネコ、タヌキはもちろん、モグラまで天敵になります。
特にモグラは地面の下から攻撃するので、注意が必要です。
アヒル小屋を作る際は、できるだけ床を作りましょう。

イタチよけに、飼育する周辺は囲いで覆います。網は破られないように頑丈なものを、地面の下まで入れてガードします。

エピソード

人間とともに暮らし、イラストや絵本、お風呂のおもちゃなど、様々な表現で親しまれています。アヒルの形をしたボートもあります。
お風呂に浮かべて楽しむアヒルのおもちゃ「ラバーダック」は世界各国で様々な種類があり、大英博物館では様々なコスプレをしたラバーダックのお土産が人気です。
平たいクチバシは「アヒル口」と言われ、若い女性が真似することも。

鴨の家禽化は、1.900年ほど前にローマで始まったと言われています。
鴨は大変美味しく、需要が高い食材でした。しかし鴨が飛来するシーズンは限られ、通年手に入れることができません。
そのために鴨の家禽化=アヒルの誕生は自然な流れでした。

のちにヨーロッパ中に広まり、中国にも移入されます。中国で開発されたペキンダックは非常に有名で、現在も盛んに飼育されています。
飴色に輝くアヒルの丸焼き(燒鴨)は有名ですが、中国本土では多種多様な料理に使用されます。
アヒル肉の塩漬け、干し肉、燻製、煮込み、麺類など。
レバーや砂ずりを始め、舌、血、水かき(足)まで食用にします。
血の料理は中国やドイツ(血と香辛料を詰めたソーセージ)などで食べられ、中国では煮凝りのように固めて使います。
なお、アヒルの丸焼きは中国本土では皮だけ食べ、台湾では肉も食べます。肉は脂身とうま味が少なく、独特の臭いがあります。

アヒルの卵は細菌が多いため、生で食べることができません。中国ではピータン(鹹蛋または咸蛋)にし、前菜やお粥の具にします。
ピータンはアヒルの卵を石灰や塩、もみがらなどで包み、熟成させたものです。白身は黒飴のように黒く漉け、黄身は真っ黒です。外見はあまり良くないですが、適度な味と濃厚な旨みが楽しめます。
中国本土で作るピータンは固く、台湾製のピータンは柔らかい傾向があります。
ピータンは鉛が混入する事件が時々起こるため、台湾産の無鉛ピータンのほうが安心です。

日本にアヒルが移入されたのは比較的最近で、150年前ごろに入りました。当時は長崎で盛んに飼われ、やがて大阪アヒルなどの品種が生み出されています。
食肉に飼育されることがほとんどで、「合鴨肉」と呼ばれて流通されています。
肉の色は赤く、脂肪はぶ厚く、こってりした濃い味わいが楽しめます。
京都などでよく食べられる鴨肉入りのうどん(そば)「鴨南蛮」や、スライスやつみれにして鴨鍋の具材にして楽しみます。
脂が多いので、人によっては湯通しして余計な脂を落とすことも。肉はブロイラーに比べると固く、噛みごたえがあります。

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